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柿泥棒には、レモンをあげません。因果応報とはこの事か。

あんなに満開だったレモンの花が、あんなに付いていたちっこいレモンが、なくなっている。今年こそはと思ったのに、全然ない。
難しいな。
おまけに、あんなに元気だったミントも、なんだか黄色い葉っぱが増えてきて、シュンとしてる。暑いのかなあ。なんとかしなければ。

今日は知り合いの眼科受診にかこつけて、一緒についていった。その後、ランチをする約束だったから、眼科の近くのコメダに入って本を読みながら待つことにした。コメダっていっぱい仕事してる人がいるんだなあ。って思いながら、キーボードの音が鳴り響く空間にいると、お仕事してる気分になった。

隣の席に座った男の子も、座るなりブックを開いて何か始めた。みんな忙しいんだなあなんて思ってると、そこへ男の子のところに店員のお姉さん。
「お決まりですか?」って。
男の子は「はい。ウインナーコーヒーで。」って。
わあ、ウインナーコーヒーってなんだか久しぶりに聞いた気がする。と思ってしばらく本を読んでいると、店員さんが隣の席にやってきて、「お待たせしました。たっぷりカフェオレです。」と言った。
馬鹿な私は、とっさに「えっ?」と声に出してしまった。
店員さんも隣の男の子も一瞬フリーズした後、男の子が「あっ、違います。ウインナーコーヒーです。」と。「あっ、申し訳ありません。」と店員さん。

やってしまった。いらないお世話だよね。だって明らかにウインナーコーヒーって聞こえてたから、考える間もなく「えっ?」って。本当、とっさに。

でも、その後食事を頼んだ時もその同じ店員さんは、私たちの食事をその隣の男の子のところに持って行こうとしたんだよね。でも、ハッと気づいてこっちに体を向け直して何事もなかったように「お待たせしました。」って。
もしかしてあの店員さん、隣の男の子に興味があったのかなあ。まあ、同じくらいの年齢ではあった。邪魔した?

去年はこんなに丸々した芋虫さんもいたのに、
今年は芋虫さんも来ていない。

帰ってきてさっきまでしつこくレモンの観察をしてみたけれど、やっぱり1個もちっこいレモンがない。ちょっと、後で色々策を練らなければ。もう、今年は無理なんだろうか。
以前住んでた家の近くに、毎年、レモンが鈴なりになってるお家があった。季節になると「お好きにお持ちください。」と書いて、そのお家のブロック塀の上にレモンを並べてくれていた。私も何度かいただいて、いいなあ、ものすごく羨ましい。自然の恵みっていうか、なんかこういうのいいなあ。っていつも思ってからレモンの木を買ったのに、どうしてなんだ。地面に直接植えてないと難しいのかなあ。

そういえば子供の頃、柿泥棒したことがある。あるお家の塀からはみ出てた柿を、その塀によじ登ってちぎった。その家の人は誰も収穫しないのか、わんさか実っていたから、いらないならいいかなあと思って。しかし、悪いことはできないもので誰かが見てて、学校にバレた。理由は「あんな所に登ったら危ないから。」という理由だったらしい。月曜日の全校集会で注意された。いやいやそれってクラスの朝のお話の時でもいいのでは?と思った。全校集会って・・・。そしてそこには校長先生のウイットが隠されていた。
「当校の生徒が、親子2代で柿泥棒をしました。泥棒されたお家の方が教えてくれました。柿が欲しい時は声をかけてくれればあげますから、危ないので塀に登らないようにとの事です。分かりましたか?〇〇さん。」名前、言う?全校集会で?そして、親子2代でって。聞いてないよ、そんな話。

意外と優等生で通っていた私を「そんなことするなんて、信じられないです。」的な目で驚いたように見つめるみんな。私といえば、その瞳を全身にうけながら、人間にはいろいろな面があるのだよ。勉強になったでしょ?くらいの感じでしれっと立っているだけ。
それより、お父さん!何やってんだ!と、自分の事はさっさと棚に上げて、子供の頃悪いことしてたんだなあ、あいつ。なんて思っていた。これこそ、自分には柿泥棒に至った正当な理由があるんだ、私は違うんだ、みたいな思いっきりの犯罪者心理。結果、やってることは同じことです。ごめんなさい。
しかし、謎なのは、どうして今更お父さんのことまでバレちゃったんだってこと。

帰って聞いてみると、あっさり「あーーーあの角の家でしょ?教頭先生の家だったんだよね。お父さんが小学生だった時。」って。「よく覚えてたなあ、すごいね。」って。いや、そうじゃなくて。柿泥棒の件だよ。
しかし、なるほどねえ、教頭先生だったんだあの家の人。だから覚えてたんだ。そんでもって、現行犯の時に注意しないで学校に連絡するとか、やってくれるじゃん。

いや、別に、柿が買えなかったわけじゃなくて、果物屋さんとかに売ってるものが自然に木になってるっていうことが、羨ましかっただけで、なんかそっちの方が特別なもののような気がして、どうしても気になってしまうんだよね。言い訳するする。

そういえば、友人とヨロン島に行った時も、人のお家の庭先にマンゴーの木を見つけて、友達が止めるのも聞かずによじ登ってちぎろうとした。そうしたら、お家の人が出てきて「何やってんの?」みたいに言われて「あーーーマンゴーがなってる木なんて見たことがなかったから・・・。」って言いながら、うわってなってたら「黙ってとっちゃだめだー、言ってくれたらとってあげるのにー。それに、なってるマンゴー食べると、唇が腫れることがあるよ。」って親切に教えてくれて、マンゴーもくれた。どうして先に「マンゴー、下さい。」って言えないんだろう、私。

そんな悪いことしちゃったから、私のレモンはなってくれないのかなあ。
因果応報。
あの時、花盗人のように、いっそ柿の木に縛り付けられて、イカした歌を読んで許してもらった方がよかったかなあ。って、イカした歌なんて詠めないじゃん!


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