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フランスの人々が私に自転車文化を教えてくれた

自転車雑誌に携わったことで、私の趣味に自転車が加わりました。新型コロナウイルスの影響であらゆる乗り物に乗れなくなったいま、私が唯一乗っているのが自転車です。改めていい趣味をもったもんだなと思っています。

自転車ツーリズムを観光資源にする自治体が増え、サイクリングロードは全国に展開され始めていますが、それでも日本の道路はまだ自転車が走るようにできていません。何より、道路交通法で自転車は軽車両として車と同様に扱われていますが、それを理解していない人がとても多いです。信号無視で簡易裁判所に出頭を命じられることもあります。自転車事故で人が亡くなっているということを、私も日々頭に入れておかないと、と思っています。

フランス・リヨンに留学していた学生時代にも、私は自転車に乗っていました。学内の掲示板で売り出されていた自転車を確か20ユーロ(当時は3,000円程度)で買い取ったんだと思います。受け取ったとき、両輪がパンクしていました(その人、教えてくれなかったんですよね)。ロードバイクと言うにはあまりにぼろく、私はその自転車に「ロシナンテ」と名前をつけていました。まったくと言っていいほどフランス語をしゃべれない状況で1年間の留学に飛び出した私は、「ドン・キホーテ」に違いなかったですし。

それまでも自転車には乗っていましたが、私はそのフランスでの生活で、初めて自転車文化を知りました。一般の方に「逆走は危ないよ」と注意されたことで、私は初めて逆走という定義を知りました。駐車している車のドアが急に開き、駐車中の車の側を走るときは気をつけた方がいいということを知りました。そして留学が終わる2カ月前に自転車を盗まれ、どんなに頑丈な鍵をつけていても自転車は家の中に入れないと駄目だということを知りました。

街の端から端まで自転車で駆け抜けました。この道はどこに続くんだろうというドキドキ感はいまもあります。

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