気がつけば、空前の怪談動画ブーム。観てみると、内容、話術、ともにクオリティが激高なものばかりだが、このブームはいつまで続く?
織田祐二 最近知ったんですが、怪談YouTubeというのが大流行りで
ライター・ニイゼキ(過去、サイゾー系、コアマガジン系などで執筆) もう4、5年くらいになるんじゃないですか(苦笑)。2019年暮れにこんな記事がありました
織田 うむ。我ながら、相変わらず時流に疎い
ニイゼキ まあ、YouTubeはジャンルごとに好みの傾向で流れてくるようですし、こちらから自覚的にシフト、セレクトしていかないとなかなか巡り会わない難しさがあると思いますがね
織田 島田秀平さんの本格的な怪談YouTubeが始まったのが2019年8月のこと。現在のブームを考えると、そのあたりが源流になるのかもしれない
ニイゼキ 芸人コンビのナナフシギの動画のスタートが2020年4月。2020年の春からコロナの影響が直撃しますから、その時期あたりからジャンルとして大きく飛躍したといえるんじゃないでしょうか
織田 あの頃、自分はエル・カブキの時事ネタ動画ばかり観ていたなあ。いや、“聴いていた”か
ニイゼキ 一時の島田さんの動画は再生数が100万超えを連発。最高で250万回とかですか。やはり、コロナ真っ只中の時期がピークと言えそう
織田 元グラドルにして、モノホンの霊能力を持つ松嶋初音さんが満を持して怪談動画にシフトするようになったのが2021年の夏ぐらい。あらためて、流れを振り返ると非常にわかりやすい
ニイゼキ 事件モノや都市伝説系の筆頭で、フォロワー数230万超えのメガチャンネル『たっくーTVれいでぃお』が心霊系にも幅を広げてきて、シーンはさらに盤石になった感も
織田 ここ数週間ぐらい、あれこれ集中的にじっくり観てきて思うのは、やはり、ネタの数ですよね。1人で何個も体験談持ってるケースは限られるわけで、フツーに考えて、いずれネタは尽きる
ニイゼキ だから、視聴者にネタを募ったり、人気怪談YouTuberをゲストに招いて、語り合うパターンが増えてくる
織田 あ、この怪談は、以前あっちでも話してたヤツだと
ニイゼキ そういうのは気になります?(苦笑)
織田 いや、いまのとこそこまでは(笑)。何度も話すということは鉄板の怖さがあるわけで、と同時に、事実じゃなければこんなには話せないだろうというリアルさが担保されるという……
ニイゼキ ただ、互いに出演し合うというのが何度も続くと、ちょっと興醒めしたりも
織田 確かにそう。それはある。コラボ動画と称してあっちでもこっちでもやられると、思うところはある。ただ、まあ、それがYouTubeなわけであって。そういう中からいかにフレッシュな人材を見つけて出演させていくかが、評価のポイントになっていくはず。って、怪談系に限った話ではないですが
ニイゼキ 特化してる分、狭き流れになっていく……? いや、すでになっているのは否めず
織田 それはそのとおり
ニイゼキ 一方で、過去、テレビでは何度もそういう怪談・怪奇ブームがありながら、非科学的な側面からその都度フェードアウトしていったわけですが、YouTubeならスポンサーとか世間の否定的な声とか、よけいなことを気にしなくていいという利点はありますよね
織田 うむ。一番の問題はやはり、当たり前ですが、再生回数。時事ネタ系にしろ、未解決事件モノにしろ、芸能人公式のヤツにしろ、やるほどに数字が取れなくなっていくのが常。特に同ジャンルのライバルが増えてくると、もろに影響を被るのは仕方がない
ニイゼキ 観るほうも時間は限られていますからね。新しいおもしろいチャンネル見つけた分だけ、いままで観ていたものが切り捨てられるのは物理的な道理というしかない
織田 時事ネタの考察系YouTuber界隈と比べて思うのは、同時期にネタが被らない分、コスパ的なよさ、見応えはありますよね。怖さのレベルも、語りの上手さも、いまのとこ、どれも一定のものが保たれている印象
ニイゼキ 特にネタを1個とか2個とかしか持ってないゲストの話は、本当に怖いものが多い
織田 とっておきの話ですからね
ニイゼキ この前、「この流れはいつまで続くんだろう」って話してましたが、まだまだ当面は安泰じゃないですかね
織田 思わぬところへの影響などで、なにか問題が起こらない限りは……
ニイゼキ ああ、飽きられるんじゃなくて?
織田 いや、それはもちろん大前提なんですがね(苦笑)
ニイゼキ いつになく煮えきらないような(笑)
織田 テレビの動きも気になるところですね。おそらく、人気怪談YouTuberへの局側からの接触はいずれあるはず。特に怪談が得意な吉本芸人に対して……。そこからどう推移していくのか?
ニイゼキ テレビの過去の歩みを考えると、テレビでの怪談は諸刃の剣ですからね。都市伝説ならまだいいですが。なるほど、危惧する意味の一端がちょっとわかりました
織田 あえて、いろんな思惑を有した局が近づいて、その結果……という危惧。陰謀論的な危惧ですがね(苦笑)。あと、陰謀論的にひとつ挙げると、怪談動画アイドルで話題のお二人、松嶋初音さんと山崎真実さんはともにミスマガジン2004の出身で。自分的にはめちゃめちゃ感慨深いものがある
ニイゼキ ミスマガジンは早急にミス怪談部門を作るべき、ですか(苦笑)
織田 で、実はミスマガジン2004にはもう一人、一番コワい子がいたというオチ
ニイゼキ えーと、もう一人って………。なるほど、彼女(笑)。自分もあの頃から長らくアイドル原稿書いてきましたから、とても印象深いわけですが
織田 いま、彼女は再びがんばってるようで
ニイゼキ YouTube観たら、そうみたいですね
織田 怪談動画ブームの動きは今後も引き続きチェックしていくつもり
ニイゼキ そういう結論ですね
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