グローバルリベラリズムの理念
北岡伸一の『覇権なき時代の世界地図』新潮選書を読んでいて同意できる記述があった。
"私はG7などのいわゆる西側が体現している近代の理想──自由、民主主義、法の支配など──が死んだとは毛頭思っていない。今なお、重要な原則だと思っている。中国やその他の新興国に、世界にアピールする普遍的原理があるだろうか。"という記述だ。
かつてフランシス=フクヤマという人が自由と民主主義が人類史の最終段階であって歴史は終わったと言ったときに、世界はそう単純じゃない、イスラム原理主義の台頭など文明の衝突が起きているではないかと批判された。現代ではロシア・中国を中心とした権威主義体制の国が主導してグローバルサウスと言われる非グローバルリベラリズムの国々が台頭してもいる。
しかし、自由と民主主義以外に世界を説得力を持って主導できる理念はあるとは思えない。代替の思想がないのだ。
しかも経済発展には自由な取引と公正な法システムという基礎インフラが必要である。当然軍事力という暴力装置によって担保されているわけだが。
G7諸国も反省すべき点はあると思う。北岡伸一は以下のようにも言っている。
"しかし、西側が近代の理想を世界に広めるにあたって、強引で無神経なところはなかっただろうか。ダブル・スタンダードはなかっただろうか。そうした面を反省して修正を加えることによって、近代の理想は生き返ると思っている。"
これにも同意する。
グローバルリベラリズムは主張され続ける他ないのだ。
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