見出し画像

「歴史の終わり」と「文明の衝突」

ベルリンの壁が崩壊して東欧社会主義国が雪崩をうって民主化したときとほぼ同時期に、フランシス・フクヤマという米国人政治学者が『歴史の終わり』という論文を発表し、世界的センセーションを巻き起こした。人類史は自由民主主義国が社会主義国に勝利し、イデオロギー闘争のような大文字の歴史は終焉したのだと主張したものだ。『歴史の終わり』論文は書籍化され、渡部昇一によって翻訳されているが、渡部昇一は主張の偏りから一部で蛇蝎のごとく嫌われており、別の人に新訳を出版してもらうべきといういわくつきでもある。

大論争が巻き起こっていたときに、サミュエル・ハンチントンという人が『文明の衝突』という本を書き、歴史は終わってなどいない、キリスト教文明VSイスラム教文明にように「文明の衝突」が続くのだと主張した。ハンチントンは大文明に一つに「日本文明」を上げており、日本人にはファンが多いことでも知られている。

歴史はその後イスラムテロ組織との戦い、中国の急激な経済成長、ロシアのウクライナ侵攻と中露VS米欧日の対立懸念などが起きている。フランシス・フクヤマはフォーリン・アフェアーズの論文や新著で「元々の論文は『歴史の終わり?』と?マークがついていた」と言うなど論調は変わって来ている。

「歴史の終わり」も「文明の衝突」は両方とも当てはまっているところと、少しピントがずれているところがあるが概ね2つの観点を合わせて世界情勢は見るべきではないかと個人的には考えている。2つに共通して予想できていなかった大きな点は、中国の台頭とロシアのウクライナ侵攻、G7からG20への拡大などがあげられる。

また、中露(権威主義体制)VS米欧日(自由民主主義)体制、という構図がより高まってくればさらに先行きの見通しは不透明なものになるだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?