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日銀保有国債の含み損について

日銀の保有国債の含み損が10兆円を超えるというニュースが流れてきた。日銀はそもそも時価会計をやっていないわけであまり気にする必要はない。含み損がいくらになろうとも満期まで保有してしまえば実現損にならないからだ。

ただ今後に波風は立つ。金利を上昇させていく方向性にあるからだ。

日銀が金利を上昇させていくために国債売りオペが実質できないことが露呈した。売りオペをする場合、時価で国債を売るわけで、どうしても実現損が出てしまう。それも国債発行残高の半分以上の金額で巨額の実現損が出てしまう。

どうすればいいか。国債売りオペを封印し日銀当座預金金利を引き上げていくのだろう。この場合日銀の資金調達コストとして金利払いが発生するわけで、債務超過にならずとも日銀が単年度赤字にはなる可能性はある。日銀は利益を国庫納付金として収めているわけで、赤字になればそれがなくなるだけの話ではある。実質増税みたいな話だろう。

問題点としては発行残高の半分以上が日銀に保有されたまま10年以上塩つけにするということで、量的緩和政策が長期間に渡って続くことになる。日銀当座預金金利を上げ続けることも難しいだろうから、量的緩和政策+実質ゼロ金利政策が長期間続くことが予想される。

これは人為的に長期金利を低位に抑圧することを意味するので、別名金融抑圧とも言う。これは巨額の財政赤字を時間をかけて解消するほぼ唯一のやり方で、財政再建という面からも整合的である。短期的に財政再建させようとするには戦争でもやってガラガラポンするしかない。

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