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基調的なインフレ率とは?

日本は表面的な消費者物価指数では目標の2%を達成している。しかし日銀は基調的な物価は目標に達していないと言っている。基調的な物価水準とはなんだろうか?

ニューヨーク・タイムズのクルーグマンのコラムでも基調的な物価上昇の指標とは何かについて論じている。

アメリカでは生鮮食料品とエネルギーを除いたコアCPIを基調的な物価指標として利用してきた(日本の場合はこのエネルギーまで除いた指標をコアコアと呼んでいる事に注意)。

しかし、コロナ禍で在宅ワークが増えると家賃の高騰が激しくなってきて、コア指標ではその部分が基調的とは呼べなくなっているという。

クルーグマンはコア指標から中古車価格や住居費用を除いたスーパーコアと呼ばれる物価指標に注目しているらしいが、それでも控除している係数が多すぎて古代ローマ人の占い師が動物の内蔵で予想したのに近いと留保した回答をしている。

ただ、賃金については労働統計局の雇用コスト指数というものに信頼をおいているようだ。これは今週の金曜日に公表されるようだが、その動向に大注目だそうだ。

日本の場合、日銀はコアコアCPI、つまりアメリカのコア指標の先行き2年程度の予想値を重視しているように、最近の植田新総裁のコメントを見ると伺われる。

(2023.4.28)追記
本日金融政策決定会合が開かれ、現状維持が決定した。決定会合後の総裁記者会見では、「基調的な物価指標とは具体的に何か?」と問われたが、どうも「コアコアCPIが基調的な物価です」と断言するわけでなくいろんな指標を見ていくというような回答だった。感覚としてはGDPデフレーターを見るみたいなイメージか。

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