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アベノミクスの帰結は実質賃金の低下である

10年間に及んだ日銀黒田総裁の任期が終わった。アベノミクスとは本丸は黒田総裁による異次元緩和政策によるリフレ政策であったわけだから、植田総裁による新日銀体制には当然注目が集まる。安倍さんももういない。10年間の異次元緩和の帰結とはなんであったのか?

それは結論から言うと「実質賃金の低下」であった。

消費者物価指数の前年比はヘッドラインで、目標とする2%を軽く超えるように上昇した。春闘は満額回答を示しているようだが、毎月勤労統計調査ベースによると物価ほどの賃金上昇にはなっていない。これは実質賃金の伸びを計算してみるとそれがマイナスであるということ。つまりは実質賃金は低下しているので生活自体は悪化要因という意味だ。一般に一般物価水準の上昇を名目賃金の上昇を上回ることはないんじゃないだろうか?

これは当初から意図していたことなのか。マイルドなインフレを起こすことで実質賃金を下げて企業収益改善を目指すという事実を意図的にか忘れてか指摘せずに政策実行してきたのではないか。

「国の形はデフレによって国全体の競争力も落ちて平等に貧しくなる状態」から「国の形はマイルドなインフレで新技術開発や設備投資が増えて国全体の競争力は上がるが勝ち組と負け組で格差の大きな状態になる」ということを意味する。

民主的な正当な意思決定としてそういう国柄になることを選んだとするならそれはしかたがない。だけどアベノミクスで実質賃金は下がるなんて聞いてないよって人も多いのではないか?岸田さんはひょっとしたらそういう声をなんとなく耳にしてアベノミクスから転換しようとしているのではないか?

アベノミクスが駄目と言ったところで経済政策は、金融政策と財政政策と構造改革の3つしかないのだから、新しい政策総合パッケージと言ってもなかなか出てこないものであることも悩ましい。

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