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ソーシャル・アントレプレナーシップを醸成するゲーム開発 顧客調査編その2

こんにちは。
ソーシャル・アントレプレナーシップ
まちづくりゲームの企画開発プロジェクトメンバーの
みなみづかおーきです。

前回に引き続き、
ゲーム開発を事業に見立てた場合における「顧客」の解像度を
あげるための取組について記録したいたいと思います。


なお、前回同様に
参考にした書籍は次の3冊です。

馬田隆明「解像度を上げる」2022年
麻生要一「新規事業の実践論」2019年
田所雅之「ストーリーでわかる「起業の科学」|超入門|」2021年。


最初に、麻生要一「新規事業の実践論」を参照して、
私たちプロジェクトの進捗状況を確認したいと思います。

麻生要一の著書のポイントは、
新規事業が立ち上がるために必要なステージの理解であり、
新規事業ができあがるまでには、
いくつもの段階が存在し、
その段階ごとの適切なプロセスがあると
述べられています。

ステージの中で最初のステージが「ENTRY期」であり
ここで目指すべきは、
「事業仮説を構築する」ことです。

「事業仮説」とは次の4点セットです。

  1. 顧客

    • 顧客は誰か・・・この「誰か」を定義することが全ての新規事業の出発点。課題を持った人や企業を見つけ、明確に言葉で定義する。

    • 重要なのは、その定義の「きめ細やかさ」。ペルソナを設定することもよくある。定義された人や企業が「確かにこの世界に存在する」とイメージできること。リアリティが必要。

  2. 課題

    • 課題は何か・・・顧客候補が直面している課題について明らかにする

    • それがどれほど根深いか・・・「お金を払ってでも解決したい」と思う根深い課題を持っているのか。

  3. ソリューション仮説

    • その顧客のその課題はその方法で解決できそうか

  4. 検証方法

    • 顧客、課題、ソリューション仮説が成立するための検証方法は何か

私たちこのステージにいて、
1と2を検討していることがわかります。
先日のミーティングを踏まえて、
ペルソナの案が示されました。
では、ペルソナが直面している課題は何でしょうか?

課題設定における注意点を麻生要一は次のように記しています。

創業リーダーは顧客の課題に対して思い込みが激しくなりがち。本当はそこまで根深くない課題を「根深い課題だ」と解釈したり、思い込みで走ったりしてしまいがち。

麻生要一「新規事業の実践論」

また、田所雅之も新規事業で重要なこととして、
次の点を指摘しています。
それは、
「Product Me Fit」という失敗の可能性の回避です。

顧客視点で考えないと、人が欲しがるものではなく、自分たちが作りたいものをつくってしまうケースが発生します。これを「Product Me Fit」と呼びます。
そのため、「Product Market Fit」の達成、つまり、ユーザーが本当に欲しがるものを作れている状態を目指す必要があります。

田所雅之「ストーリーでわかる「起業の科学」超入門」

課題を把握するにはどうするべきか。
それは、顧客インタビューを繰り返すことです。
仮説を顧客にぶつけて修正する、
この繰り返しが重要とされます。

顧客のインタビューにおいて大事な点を、
田所雅之は次のように主張しています。

インタビュー相手から本音を引き出すコツは、行動やプロセスを訪ねる。意見や感想などは、口では何とでも言える。
「どう思いますか?」という意見や感想を訊くのではなく、過去に顧客がどんな行動を取ったか、その時にどんなプロセスだったかを訊くのが有効。
重要なのは、顧客の行動情報から、顧客の課題に気づいていくこと。予期せぬ回答から、顧客の抱えている課題を炙り出していく。顧客も気づいていない課題に気づくことが大事。

田所雅之「ストーリーでわかる「起業の科学」超入門」


馬田隆明も上記の著書の中で
同じような指摘をされています。

顧客にインタビューする際、最も気をつけたいのは、顧客の意見ではなく、事実を聞くことです。
顧客の意見をきいて、その意見の通りに何かを作ったり改善したりしても、大抵うまく行きません。顧客自身が認識している課題の解像度や解決策の解像度がそれほど高くないことはとても頻繁に見られる現象です。
事実を集めて、その事実を基に考え、自分たち自身で洞察へと変えていきます。

馬田隆明「解像度をあげる」


顧客ですら見逃していることや、
まだ言語化できていないようなことにも
気づかなければいけません。

麻生要一は、
「仮説を顧客に持っていき、修正する」
といったサイクルの必要な回転数を
経験則から300回と言われています。

流石にここまでできませんが、
ゲーム開発のメンバーの中に、
大学生とのつながりが強いメンバーがいて、
とてもありがたい事に、
彼の調整で実際に信州大学の学生にヒアリングができることになりました。

顧客と課題の解像度をあげる
とてもよい機会です。


最後に、
MVP(Minimum Viable Product)に触れます。

MVPは
最低限機能するものを作り、
それをユーザーに使ってもらい、
ユーザーからのフィードバックを経て
学びを得るサイクルを回すことです。

田所雅之は様々な形のMVPがるとし、
一つに「顧客フィードバック用MVP」を取り上げています。

これは、
事業コンセプト・欲しい機能に関するフィードバックが得られるMVPで

 1 事業コンセプトを説明した営業資料、スライド、パンフレット、ライディングページ
2 事業コンセプトを伝えるイメージデザイン、動画
3 事業コンセプトを伝える広告バナー

田所雅之「ストーリーでわかる「起業の科学」超入門」

MVPで重要な点は作りこみすぎないことです。
その段階における十分な情報が盛り込まれていればよく、
決して費用や労力をかけない。
資料そのものより、フィードバックを重視して、それを踏まえて仮説を修正する

今回の学生インタビューにおいても、
MVPを作成して仮説をぶつけてみたいと思います。

インタビュー結果は次回に。

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