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ソーシャル・アントレプレナーシップを醸成するゲーム開発 顧客調査編その1

こんにちは。
ソーシャル・アントレプレナーシップ
まちづくりゲームの企画開発プロジェクトメンバーの
みなみづかおーきです。

今回は、ゲーム開発を事業に見立てた場合における「顧客」について、
その解像度をあげるための取組について
記録したいたいと思います。

このゲーム開発とは別の活動ですが、
私は最近、新規事業の立ち上げに興味関心を持ち、
どうしたら事業は立ち上がるかという問で勉強をしていました。

主に参考にした書籍は次の3冊です。

馬田隆明「解像度を上げる」2022年

麻生要一「新規事業の実践論」2019年

田所雅之「ストーリーでわかる「起業の科学」|超入門|」2021年。

また、書籍による理論の勉強に加えて、
「ドリプラ信州」https://peraichi.com/landing_pages/view/dreplashinshu/
という、一般の方に対する事業化支援に関わり、
参加者が夢をかたちにする過程を
少しだけですが、トレースさせていただきました。

その過程で学んだことは、
新規事業に重要なことは「顧客」の解像度をあげること。

「解像度」とは、上記の馬田隆明氏の著書によれば
次のとおり定義されます。

物事への理解度や、物事を表現する時の精細さ、思考の明晰さ

馬田隆明「解像度を上げる」

そして、解像度を上げるための視点は、

一つの事象を、深く広く要素分解した上で構造化し、その中でも特に重要なポイントが特定できる。さらに、時間の影響も考慮できる。

同上

さらに馬田隆明氏によれば、
解像度が足りない中で最もよくあるパターンは、
「深さ」が足りないこと、と論を展開されています。

際限なく調査や分析ばかりしてしまい、現場に行かないために深さを十分に確保できず、解像度を一定以上に上げられない状況はしばしば。
表面的にはアイディアをうまくまとめられているようには見えるけど、具体的な顧客の課題を掘り下げれていない。
課題を特定する前に解決策を作って磨きこんでしまい、そのあと課題がまったくないことが分かったらどうか
誰からも欲しがられないような製品を作ってしまったり、必要とされていない機能を作ってしまったりすると、費用的・時間的な無駄が生じる。まずは課題の解像度を上げる。

同上

個人的に、グサグサ刺さる指摘です・・・。


次に、田所雅之氏の主張を引用します。

新規事業でハマりやすいワナは、新規事業には「アイデアのひらめき」が大事と思いこむ。
新規事業の起案で、常に軸にすべきことは「誰の」「どんな課題」を解決するか。最初に出したアイデアはあくまで「仮説」出あり、「仮説」は常に「覆される可能性」があることを認識する必要がる。
具体的な想定ユーザー「ペルソナ」を設定するが、ペルソナは一度決めたら終わりではなく、実際のユーザーとの対話やフィードバックを通じて更新していくもの

田所雅之「ストーリーでわかる「起業の科学」|超入門|」

あぁこれまで、
誰か(声の大きい意思決定者)の発案について、
都合の良い証拠集め、数字合わせをし、
正しくするための理論武装の糊塗に
どれほど時間をかけてきたか・・・。

田所雅之氏によれば、
仮説は覆してアップデートしていく姿勢が重要なのに、
往々にして、立てた仮説に固執しやすいことが指摘されています。

そして、顧客課題もはっきりしていない中で
精緻な事業計画を立てると
サンクコスト(埋没費用:どう頑張っても回収できない費用)
を生み出してしまし、
「事業を成功させること」よりも
「かけたリソースを損切りしたくない」
という思いが強くなり、
無理をしてでも事業計画の達成を目指すという、
本末転倒の状態に陥ることが多々あると論じられています。

あぁこれまで、
走り始めたら最後、途中でおかしいと思っても
やめられない仕事が何度もありました・・・。

人や時間のコスト、加えて、幹部レクも一つの大きなコストになり、
「もう、やるって説明しちゃったから」
という理由でやらざるを得ない仕事は山ほどありました。

田所氏の主張するとおり、
自己都合の供給視点ではなく、
徹頭徹尾、顧客視点で考えることが必要です。

麻生要一氏の「新規事業の実践論」でも、
顧客起点であることを
新規事業の立ち上げ期に必要なことだと主張されています。

新規事業開発の立ち上げ期に登場すべき単語は「たった2つ」。「仮説」「顧客」です。
「仮説を顧客に持っていき、修正する」のサイクルをひたすら回すのが、ENTRY期〜MVP期(立ち上げ期)のチームがやるべき唯一のことです。

麻生要一「新規事業の実践論」

そして、麻生要一氏は上記のサイクルの必要な回転数は、
300回
と主張されています。

この3冊の書籍だけで、
既存の組織においてどうして新規事業がうまくいかないか、
何となくわかります。

さて、上記の新規事業に関する論理を、
私たちのゲーム開発に当てはめて考えた場合、
マネタイズを目指さないという大きな違いはあるものの
留意すべき示唆があると考えます。

それはつまり、
私たち開発メンバーが供給目線で
ゲームの目的や内容を考えることは危険で、
必ず顧客視点を重視すること、
ということです。

顧客をなおざりにすれば、
出来上がったゲームは自己満足に終わってしまうでしょう。
「あの人も、この人も」のための八方美人のプロダクトは、
結局、誰の心も刺激せず、体験者のマインドをシフトする
という目的は達することはできないでしょう。。
ゲームという時間と設定の限られる体験なら尚更です。

このような考えがあったため、
私は、発起人代表のフカサワさんに、
アントレプレナーシップについて
顧客として想定している大学生の
当事者としてのマインドを聴くことを提案しました。

心強いことに、ゲーム開発のメンバーの中には、
大学生とのつながりが強いメンバーがいて
実際に信州大学の学生にヒアリングができる予定です。

ヒアリングの設計、実際の内容は次回に。

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