推しのためにできること エンタメ業界マーケティング担当の端くれから

推しのことが好きなら文句を言うより推しを応援できることをしよう!
ということで、一応8年エンタメ業界(ぼやかします)でマーケティングや宣伝広報を仕事にしてきた人間の視点で「推しのためにできること」を書きたいと思います。

今回も長文になってしまったので目次入れます。

推しのためのマーケティング

  1. 外に見える数字に貢献
    推しが2次元でも3次元でも人気商売なら、数字がめちゃくちゃ大事です。
    この数字は主にYouTube、Tver、Instagram、X(Twitter)、TikTokです。
    誰かや何かの人気にあやかって商売をしたいと考えた時、社内でも社外でも「平均⚪︎万回再生」「フォロワーは⚪︎万人」という指標が企画立案時に参考にされます。
    もちろん他のデータも調べますし、コラボ商品開発系の企画の際には過去の売上や購買層などいただける内部データも参考にします。

    でも一番わかりやすく、とりあえず見られるのがSNSの数字です。

    見る専用でいいからアカウント作ってフォローして、とりあえず高評価とかハートボタンは押す。これだけでも意味があります。

    推しの公式アカウントはもちろん、ゲストとして出る番組や雑誌、ネタとして取り上げてくれるウェブメディアのアカウントや投稿にもリアクションするのが大事です。
    「この人使うとこれくらいの数字」というのが見られています。

  2. Xでの実況ポストや肯定的なポスト
    テレビなどでタレントさんが「エゴサします」って話をすることも多々ありますが、企業の人間も自分の担当案件はエゴサします。
    中にはSNSに疎い人、忙しすぎて追えない人、繊細すぎて直視しない人もいますが、その人達にも周りが「トレンド入りました」「評判こんな感じです」と伝えます。
    担当も人間なので、売上とか関係ない次元でユーザーからの高評価は嬉しいしヤル気になります。
    良いファンがついてるな〜と思われたコンテンツやタレントさんは次の起用につながります。

    時には「これはXでのトレンド入りからの認知拡大を狙うための宣伝施策です」と目標値として設定することもあります。

  3. 布教、拡散
    友人の紹介やネット上の口コミは、新規顧客参入の、最重要と言えるくらい大きな入り口です。
    「なんか周りがみんな話題にしてる」「名前は聞いたことがある」状態から興味を持つ。課金する前には「経験者のリアルな声」を調べる。
    あるいは「友人に勧められて一瞬で沼落ちした」。
    このファンが拡大していく流れを作りたくて企業側もアレコレ努力してみますが、強制して上手くいくわけでもなく。

    プレゼンシートやレポなど企業視点では中々作りづらい「生の声」が入ったオススメポイントのまとめは助かりますし、フォロワー数の多い素人さんの一声で売上が動いたりもします。

    でもそこまでの影響力がなくても、1ファンが学校や職場で「あの人⚪︎⚪︎のファンで推し活いつも楽しそうだよね」と思われることが、意外と大事なんです。

    ただし、関係性が薄い人に大量買いしたCDをばら撒いたり、興味のない友人にしつこく勧めるのはNGです。
    これは企業の人間視点ではなく自分の体験談として、興味のないものを押し付けるのはやめてください。

SNS推し活のTIPS

YouTube再生回数カウント方法や急上昇、インスタの発見、Xのトレンドやオススメタブに乗せる方法は明示されていない上、仕様がコロコロ変わるので、SNS担当でも把握しきれないのが正直なところだとは思いつつも、
2023年10月現在こんな感じかな…というのを載せておきます。

・エンゲージメントをあげる

YouTube、X、インスタ、TikTokいずれも「オススメ」「トレンド」的な機能があります。
アカウントを運用している側からするとフォローしていない一般層にリーチできる重要な機能ですが、そのためにはエンゲージメント数、つまり、
・閲覧数
・高評価
・コメント数
・シェア数
・広告への導入率
加えて、
瞬間風速的な話題性=同時間帯の反応の急増
あたりが影響していそうです。

企画立案など内側の数字のためだけじゃなく一般層へのリーチという意味でも、高評価やシェアは重要になります。
旬なタイミングで色んなリアクションをしてください

・YouTube再生回数

これは難しいんですが、
【同一IPアドレスからの24時間以内の再生は1回とカウントする】
が有力な通説かなと思います。

同一IPアドレスなので、家に引いてるネット回線で1回、5Gで1回とプロバイダを分ければ2回とカウントされうる。
ただし、IPアドレスより何より真っ先にGoogleアカウントでユーザーの同一性は認識されているはずなので、同じGoogleアカウントならIPアドレスを変えても意味はないと思われます。
IPアドレスを変える際は、とりあえずGoogleアカウントをゲストアカウントにして(Google Chromeを使っている場合はブラウザアカウントからもログアウトして)視聴した方が良さそうです。

XでシェアされたものはIPアドレスが追えないので、XでYouTube動画を再生するのも有効という説もあります。

一方で、「連続再生はNGだけど10分くらい空ければ(同一IPでも)カウントされる」という説もあります。
こうなると根性で沢山再生すべしという域になってくるので、結局は自分のできる無理ない範囲で再生しようという精神で良いかなと思っています。

動画閲覧時に都度検索するという方法もあります。
これは検索自体がエンゲージメントの一種になるはずなので、効果はありそうです。

いずれにせよ不正判別のアルゴリズムは公開されていないので、自分に都合の良い方法を信じて回すのが良いと思います。

・YouTubeクリップ

シェアの1種ですが、YouTubeは公式に切り抜き利用が認められています。
「YouTubeのクリップ機能」の使い方は下記をご参照ください。

クリップ作成は許可するかどうかを選べるので、許可されているということは「歓迎」と言われているようなものです。

後述しますがスクショ切り抜きはアカウント運用側としてはネガティヴも大きいんですが、YouTubeクリップでの再生は公式アカウントへ還元されるので有効な拡散方法です。


最後に至極当たり前のことを言うと、売上に直結するのが一番なので、商品を買って、ライブやイベントのチケットを買ってくれるのが、正直何よりありがたいです。
ただまあそれは、楽しんでお金を落としてもらうように価値のあるものを企画して宣伝するのがこちらの仕事なので。

一方で、ファンの皆さんの「推し活」は企業が介在せずファンの中で作られる空気感が重要で、コントロールしたくてもできないという思いを抱えています。
「推し活」に推しはもちろん企業もめちゃくちゃ助けられています。


個人的な「これはやめとけ」

ここからは企業のマーケティング担当としての意見というより個人的な愚痴に近いです。
推し活のためのSNSなのにネガティブな行為してませんか、という注意喚起です。

・違法アップロード・転載
言わずもがなですね。犯罪です。
ライブ円盤や雑誌、動画配信など有料コンテンツはもちろん絶対NG。

特にテレビはみんなやってるし宣伝になるし、の意識でスクショ切り抜きや転載が横行してますが、関係者の心象は悪いです。

切り抜き拡散も必要に応じて公式が行いますし、権利上切り抜きができない時も多々、多々あるのです。

公式リンク、公式のアカウントをシェア、YouTubeならクリップ機能を使うのが鉄則です。

無料で見聞きしてる画像や動画でも著作権があります。
タレントさんやキャラクターを使う場合は各版元かなり厳しいルールに倣って画像や動画のクリエイティブを監修してるので、まれに「この使い方は…わざわざ通報しないけど版元にバレたくないな」というものもあります。

また、インスタであげた画像をXに転載されたり、LINEの登録者にしか配布していない画像がインスタに転載されて困るのが「公式の数字につながらない」ということです。
フォロワーを増やしたかったりリンクを踏んで課金コンテンツへ誘導したいというアカウント運営側の気持ちが、簡単にスクショ転載されてしまうことで無駄な努力になってしまいます。

推しはフリー素材じゃないので…お気をつけください。

・憤怒、思い込み、比較
主にXですが、怒りに塗れたポストや「⚪︎⚪︎のせいで推しが売れない」といった勝手な思い込み、「⚪︎⚪︎に比べてうちの推しは最高」といった不要な比較は、界隈が荒れます。
別界隈の荒れたファンアカウントのポストが回ってくると、この界隈は民度が低そうだなという印象を持ちます。
自界隈だと「厄介が暴れてる」とゲンナリします。
発言は自由ですが、感情的にケンカを売って界隈全体の空気を悪くするのはファン離れを起こす悪手です。


オタクは前向きに団結しよう

日向坂オタクnoteですが、今回は一企業の"運営側"の人間として書いてみました。
きっかけは、みーぱんブログです。

これからもみんなで協力し合って?って言うのが正解なのかな?

おひさまも仲間と言わせてください。

仲間みんなで頑張りたい。日向をもっともっと大きなグループにしたい

佐々木美玲個人ブログ「心の中の言葉⭐️」

いや、みーぱん素晴らしいですね。
今の日向坂では目標に届かない。
だからファンもみんなで協力しあうんですよ。

こんな素敵ブログを受けてネガティヴな行動に走るなんてオタクもったいなすぎる。


ざっくり言うと、けやき坂結成からファンを増やし続け、日向坂でデビューしてコロナで停滞したものの、3回目のひな誕祭まで右肩上がりでファンを増やし、以降はファンを増やすことに難航してます。

そんな実情はきっと、ライトファンがどれだけ離れてコアファンがいつ何を契機に離れて、どの地方にどれだけファンがいて、というデータとともに、マーケティング担当が一番向き合ってます。

色々妄想して運営が無能だと感じるのは勝手ですが、推しのためにファンがすべきなのは、原因が何で運営がどう変わるべきかなんてプロデューサー気取りの妄想や運営への要求の押し付けではなく、ファンにできるファンとしての行動です。

日向坂には、運営批判やオタク同士の揉め事が頻発してる界隈より、バカみたいに見えても「ファンもできること頑張ろうよ!」って声が目立つ界隈になってほしいので。
前向きに楽しくオタクして良いグルーヴ作っていきませんか!

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