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大阪から福井県おおい町に移住して一年。移住後の感想をまとめてみました。

こんにちは。大阪からおおい町に移住して一年が経った、地域おこし協力隊の張本と申します。

今回は地方移住に関心のある方にむけて、僕自身が移住後一年間の生活のなかで感じたことを、移住検討者へのアンケートで上位にある「自然環境」「子育て」「生活コスト」「田舎の人間関係」の項目で振り返っていきたいと思います。より納得感のある移住につながるよう、参考になれば嬉しいかぎりです。

それでは、まずは僕自身が移住したおおい町がどのような町か、どのような経緯で移住したのかについて書いていきます。

移住に関心があった理由

おおい町は福井県のなかでも関西よりに位置する、人口7800人ほどの町です。日本海に面しており、森林面積が町の90%以上を占めるなど、自然が豊かな町でもあります。そんなおおい町に、2023年の3月末、大阪から妻とともに移住しました。

移住を考えはじめた頃を思い返すと、忙しない日々に疲れを感じて、より自然に囲まれた地域で生活したいという気持ちが高まっていたのだと思います。世間的な移住に関心がある理由について調べてみても、同じような動機で移住されている方が多いそう。

参照:アフターコロナの若者移住に関する調査(一般社団法人 移住・交流推進機構)

そんな中、知人に「地域おこし協力隊が向いていると思う」と言われたことを思い出し、協力隊の求人を調べはじめました。それまでゲストハウス運営やライティングなどの仕事の経験があったので、それらを活かせそうな募集を探しているとおおい町の募集に行き着きました。そして、一度訪れたり、担当者の方にオンラインで相談したりして地域おこし協力隊に応募したのです。

おおい町をはじめて訪れたときにつよく印象に残ったのは、澄んでいる空気と穏やかな海の眺めでした。ありきたりな表現ですが、本当に「空気っておいしいんだな」と思いましたね。また、商業的なエリアがあり、そこには多くの子ども連れのご家族がいて、なんだか温かい雰囲気を感じる町だなぁと感じた記憶があります。そうしておおい町に移住することを決めて、地域おこし協力隊としての活動を昨年から始めました。

移住後の感想

ここでは、僕自身が移住前に気になっていた部分でもあり、先述したアンケートでも上位にあるような「自然環境」「子育て」「生活コスト」を、自分自身が体感したことをベースに感想をまとめました。また、移住を妨げている要因として紹介されている「田舎の人間関係」についても触れていきます。

参照:アフターコロナの若者移住に関する調査(一般社団法人 移住・交流推進機構)

・自然環境

移住に興味のある理由で堂々の一位だった「山・川・海などの自然にあふれた魅力的な環境」ですが、個人的にも移住してよかった理由の一位です。空気が澄んでいること、散歩やランニングコースに海があること、夜には星が見えること、四季がハッキリしていること……これらが休日の旅行だけではなく、日常にあるのが本当に素晴らしいことだと感じています(とはいえ、都会の雰囲気も好きなので週末にはよく京都や大阪に出掛けたりもしています)。

山に囲まれた穏やかな小浜湾
佐分利川沿いの心地のいいランニングコース

そして、自然が近くにあると農業、林業、漁業と一次産業との距離も近くなります。新鮮な魚がスーパーで手に入ったり、見知った生産者さんが育てたお米を食べられたりと、情緒的な豊かさを感じることも多いです。また、そうした魅力だけでなく課題もより身近なものになり、学びたいことも増えました。一年間おおい町に住んでみて、期待していた以上に自然の魅力を実感しています。自然に惹かれて移住された方もいるので、自然に関心がある方は以下のインタビュー記事を読んでいただけると面白いかもしれません。

"都会に住みづらさを感じているのは、もしかしたら、木が少ないからじゃないかって思ったんですよね。そしたら森林に囲まれた仕事や生活に関心が湧いてきた。森林に関する本を読んだり、休みの日には妻と遊びにいったり、いつの間にか森林ファンになっていました。そして、おおい町名田庄の森林組合で初心者でも林業に携われるという求人があった。それで家族で移住してきました。"

・子育て

子育てに関しては「子育てに適した自然環境」「子どもの教育・知力・学力向上」が、移住に興味を持つ理由の上位に食い込んでいましたね。

僕自身は当事者ではないのでわからない点も多いのですが、教育面で驚いたことが何度かあります。まずは、タブレット端末が小学生から全校生徒に配布されていると知ったときです。福井県ではそうしたICT教育が進んでおり、学力テストでは全国トップクラスみたいです(ちなみに、体力テストも)。

また、ふるさと学習も面白く、伝統料理の作り方や魚のさばき方を学ぶような調理実習があったり、町の魅力や課題を自ら探し、解決に取り組むような探求学習が小学生の頃から行われていたりします。

伝承料理「焼き鯖の五目ずし」

ちなみに、数年前に移住された方のお話を聞くと「妊婦さんの医療費をおおい町が出してくれる。それはすごくありがたいと思う。保育園(こども園)も町に何個かあって、待機児童とかも関係なく見てもらえている」と町の支援制度が充実していると答えられていました。

「子育てを機に、移住してみたい」と感じている方は、一度その町を訪れてみて役場や地元の人に話を聞いてみたり、公園や学校、スーパーなどをぜひ周ってみることをおすすめします。

当然、色々とネガティブな側面も見受けられると思います。例えば、おおい町では交通網が充実しているわけではないので、「子どもの部活動での送り迎えが大変だ」と聞いたことがあります。そうした面は実際に話を聞いてみないかぎり、移住前に知ることは難しいのではないでしょうか。

自治体によっては、移住に関する滞在支援や交通費支援などを行っているので、この辺りを調べてみると訪問にかかる費用を抑えられておすすめです!

*おおい町のお試し住宅に関する情報はこちら

・生活コスト

移住したい理由にも妨げる理由にもなるローカルの生活コストや給料。ほとんどの方が気になるポイントだと思います。多くの場合、都会にお住まいの方がローカルに移住すると給料が下がるのではないでしょうか。また、生活費においても、家賃は低いものの車社会なため、車と保険代などを含めば意外と生活コストは下がらないという……

ただ、いまの生活において食費や娯楽費が大きい場合は生活費が下がる可能性が高いです。僕が住んでいる地域だと、徒歩圏内のお店は片手で数えられるほどしかなく、色々な選択肢を持とうとすると外食するにも車で数十分かかります。一方で、スーパーや道の駅での地元の食材などは充実しているので、自然と食事にかかる費用は減っていきました。

道の駅うみんぴあ大飯

また、物欲も和らいだり、消費せずに楽しむ趣味が増えたりして、娯楽費も下がりました。例えば、職場の先輩は庭でキャンプやBBQを楽しんでいたり、僕はランニングが趣味になったり。こうして都会とローカルでは、お金の使い方や時間の過ごし方がすこし変わる感覚があります。生活コストに関して総合的に見ると「手元に残るお金はすこし増えたかな」くらいが実情です。

・田舎の人間関係

移住のことを調べていると、「ご近所付き合いがしんどい」「監視されている感覚になる」といったネガティブが意見を見かけることがありました。だから、移住前は僕もすこし不安でしたが、移住してみるとただの杞憂でした。

僕が住んでいる場所は地の人以外も住んでいて、京都の京丹波から福井の敦賀までをつなぐ国道27号の近くで比較的オープンな雰囲気を感じる地域です。また、ご近所さんに移住者が来ることに対してどう思うかを尋ねてみたことがあるのですが、その方は「20年ほど前から関西の人がよく来てるから慣れたなぁ」と言っていました。そのうえ、畑で採れた野菜や果物をくれる方もいて、こうした関係性は移住前にはなかったので素敵なことだと感じています。

移住後に「田舎の人間関係」で思うのは、やっぱり地域差が大きいということ。同じ町でも、地域によって人付き合いの仕方や関係の濃さは全然違います。また、地域の側だけではなく、移住者個人の心構えやコミュニケーションの仕方によって起こる問題も多々あるのでしょう。

人との心地の良い距離感は個人差が大きいので、本当に人それぞれなのだと思います。やはり人間関係においても不安があれば、何度か訪れてみて地元の人との交流を重ねてみることをおすすめしたいです。

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以上、移住してからの一年間で感じたことを「自然環境」「子育て」「生活コスト」「田舎の人間関係」の4つの項目でまとめました。移住を検討されている方にとって、何かしら参考になればうれしいです。おおい町でなくても、多くの自治体が移住相談を受け付けていると思います。知りたいことや不安なことは、ぜひ気軽に問い合わせてみることをおすすめします。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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