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おうち性教育

親はつい何事も
「この子が失敗しないように!!」
と考えて先回りしてしまうけれど…

親の考えを伝えた上で
そこから先は子どもに決めさせる

その選択で失敗しても
受け止めることこそが
親の役割なんだ

たとえそれが望まない妊娠であったとしてもね

『おうち性教育はじめます』 フクチマミ 村瀬幸治 より抜粋

********************

性教育。

どうしたもんかな。

って感じですよね。

そもそも自分がちゃんとした性教育は受けていないし。
自分がいま持っている性の知識にもそんなに自信があるわけでもない。

でも、無知ほど怖いものはない。
そもそも性について知らなければ、性被害にあったとしても、それを認識すらできない。
もしかしたら、加害者になることだってあり得る。

そんなわけで、もう何年も、あれこれ模索中。
性教育に関する本。
性に関する犯罪についての本。
性教育の絵本。
性教育をどうやれば良いかというセミナー。
YouTube。

知識は塗り重ねられて確立していくものだと思うので、少しずつ勉強していくのはとっても大事。

子供たちにも折に触れ絵本を読んだり、さりげなく性に関する子供向けの本を置いて置いたりしています。

でも、これでいいのかな?

という不安もあるし、十分でないことも自覚している…。

そして、手に取ってみたのがこの本。
アルテイシアさんの本でも「スカートめくりはダメ」「小さい子のおしりをお母さんがふざけて触ったりするのもダメ」のくだりで触れられていたので、より興味深く読みました。

特に印象的だったのが冒頭で引用した、村瀬さんの言葉です。

「たとえ望まない妊娠であったとしても、受け止めることこそが親の役割」という言葉に、正解のない答えの終着点のようなものを見た気がしたのです。

これは、「子どもはいつからセックスしていいんだろう?」という疑問の回答。

性のこと。セックスのこと。避妊のこと。
正しい知識を、「価値観をくっつけずに」伝える。

男女は平等だけど、セックスの結果として受け取るものは平等じゃない。
女性は、妊娠・中絶をしたら、心と体に大きな負担がかかる。

そんなことも、ちゃんと伝える。

親が、どういうふうに考えているかも、伝える。

そのうえで子どもに決断を委ねる。

それが、どんな結果でも、受け止める。
行為を批判しても、人格は否定しちゃいけない。

これは、いつならセックスしていいか、ということだけじゃなく、子育ての基盤になる言葉でもあるな、と思います。

「子どもを信じる」
って、親の思い通りなるような、希望的観測を信じる、ってことじゃないよな。
ってことにも気づかされました。

失敗しても、寄り添う。助ける。
大事なのは、親の覚悟。

そして、そんな大きな覚悟を持った親のもとにあれば、子供も無茶はしないんじゃないかとも思う。

私の友達でも、親に内緒で中絶した、という子は何人かいた。
みんな、真面目で努力家で、いい子ばかり。
今は優しいママになっている。

親も社会的にちゃんとした人で、傍目に悪い人じゃない。
むしろ優しくていい人そうだ。

でも、みんな親には絶対言えない、とひとりひっそりと病院へかけこんでいた。きっと、その後の痛みや処置もつらかっただろうに、ひとりで頑張ったのだ。

親たちは、大変な思いをして娘がかつて中絶したことを知らない。
実は、孫がもう一人いたかもしれないことを知らない。
娘が、「あの子を産んであげられていたら、この子くらいかな。」
とよその子を見ていることを知らない。

自分がその「親」の立場だったら…と思うとゾッとする。
そんな、心身ともに大変な思いをしている娘が、自分の命より大事な娘が。ひとり自分の知らないところで苦しんでいるなんて…。

「たとえそれが望まない妊娠であったとしても受け止める」

この言葉で、思い出したのが、去年熊本の慈恵病院で内密出産をした女性だ。確か「自分の母親との関係を壊さないため」に内密出産を決めたのだ。

色々な葛藤があったと思うけど、それでも慈恵病院に赴き、赤ちゃんを産む、という行為から、赤ちゃんへの愛情やその方の賢さが推測される。

この方のお母さんが、この「受け止める」覚悟を持てていたなら…。
そう思いながら、この本を読んだ。

そして、自分自身も、どんなに言いにくいことがあっても、「話せる」母でいたいな、と改めて思ったのだった。


もう一つハッとなったのは、
「高学年以上は、同性の親が伝える。」
「異性の親から話されると抵抗感が強い。」
ということ。

娘が小学校で生理について教わったとき。
男子は外でドッジボールをさせられていた、と聞いて憤慨した私。

生理休暇を遠慮せずに取りましょう、という流れの世の中なのに、そもそも生理についての知識が身についてないと、ダメでしょ!
男の子も一緒でいいじゃないか!そんなことするから生理がタブーな感じになって生理痛を我慢して無理して苦しむ人が出るんだ!

と怒っていたのだ。
でも、「思春期以降は異性の親から話されると抵抗感が強い」という言葉で我に返った。

そうか。
男の子の知識云々じゃなくて、性に関する話をするときに、異性がいることに抵抗を感じてしまうものなんだ。だから、男子はドッジボールなんだ。

とはいえ、男子にも生理のことは知ってほしい。
男子にも精通の授業を設けて、そのとき女子はドッジボール。
生理の話もその時に、みたいな時間があるといいな、と思う。

でもたぶんそんな時間はなかなか実現されないので、我が家は私が伝えておこう。

子どもにどう伝えるか、という視点で書かれた本ではあるけど、子供3人産んだ私でも知らなかったこと、勉強になることがいっぱい。

特に性的指向については、私が子供のころなんて、社会的にも偏見に満ち満ちていたから、まだまだ勉強不足だ。本の中に「まず親が自分の中にある偏見や誤解を解消するために勉強を始めてほしい」とあった。うん。少しずつでも色々本読んだりしよう。

性に関することに限らずだけど…。
子どもにとって、私が安心できる心の居場所でいられるようにいよう。
そんな決意を新たにした一冊でした。



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