見出し画像

お遍路スイッチ 56【逆打ち2020】

4年に1度と聞くと、オリンピック ! 来年は「東京2020」となりますが、私にとって4年に1度は、逆打ち ! 来年は「逆打ち2020」となります。
ちなみに「逆打ち2020」は、私が勝手に言っているだけで、全く世間には浸透しておりません。あしからず。



2020年は、四国八十八ヶ所霊場が逆打ちの年にあたります。沢山の方がお参りに来られます。今回は、簡単ではありますが、noteをご覧の皆様に逆打ちのご案内です。

◆逆打ちとは

まず「打つ」とは、なんぞや ? と。

四国八十八ヶ所では、お参りすることを「打つ」といいます。

四国を時計回りに、番号順通りにお参りすることを「順打ち」
四国を反時計回りに、番号を逆にお参りすることを「逆打ち」


ただ、四国八十八ヶ所は、お参りの順番に決まりはありません。番号をバラバラでお参りしたっていいですし、4年に1度といわず、いつ逆打ちをしたって構いません。もちろん、スタートもどこでも大丈夫。1番~88番までの全てのお寺をお参りして、結願(けちがん)。いわゆる、お参り終了 ! となります。

私がご一緒するようなツアーでは、逆打ちのスタートは88番大窪寺となりますが、スタートはどこでも大丈夫です。大事なのは、反時計回りに番号を逆にお参りしていくことです。

◆4年に1度 ! ご利益3倍 ! ~衛門三郎伝説~

逆打ちには、よく使われるキャッチコピーがあります。

「4年に1度 ! ご利益3倍 !」

なんとも、ありがたいキャッチコピーではありますが…。
なぜ、4年に1度なのか ? ご利益3倍なのか ?  そして、なぜ、来年なのか ? 

全ては、「衛門三郎伝説」というお話に由来します。

画像1

この座っている方が、衛門三郎です。まずは、衛門三郎のお話。

衛門三郎伝説 (Wikipedia参照)

天長年間の頃の話である。伊予国を治めていた河野家の一族で、浮穴郡荏原郷(現在の愛媛県松山市恵原町・文殊院)の豪農で衛門三郎という者が居た。三郎は権勢をふるっていたが、欲深く、民の人望も薄かったといわれる。あるとき、三郎の門前にみすぼらしい身なりの僧が現れ、托鉢をしようとした。三郎は家人に命じて追い返した。翌日も、そしてその翌日と何度も僧は現れた。8日目、三郎は怒って僧が捧げていた鉢を竹のほうきでたたき落とし(つかんで地面にたたきつけたとするものもあり)、鉢は8つに割れてしまった。僧も姿を消した。実はこの僧は弘法大師であった。
三郎には8人の子がいたが、その時から毎年1人ずつ子が亡くなり、8年目には皆亡くなってしまった。悲しみに打ちひしがれていた三郎の枕元に大師が現れ、三郎はやっと僧が大師であったことに気がつき、何と恐ろしいことをしてしまったものだと後悔する。
三郎は懺悔の気持ちから、田畑を売り払い、家人たちに分け与え、妻とも別れ、大師を追い求めて四国巡礼の旅に出る。二十回巡礼を重ねたが出会えず、大師に何としても巡り合い気持ちから、今度は逆に回ることにして、巡礼の途中、阿波国の焼山寺の近くの杖杉庵で病に倒れてしまう。死期が迫りつつあった三郎の前に大師が現れたところ、三郎は今までの非を泣いて詫び、望みはあるかとの問いかけに来世には河野家に生まれ変わり人の役に立ちたい(石手寺刻版には「伊予の国司を望む」)と託して息を引き取った。大師は路傍の石を取り「衛門三郎」と書いて、左の手に握らせた。天長8年10月のことという。
翌年、伊予国の領主、河野息利(おきとし)に長男の息方(おきかた)が生まれるが、その子は左手を固く握って開こうとしない。息利は心配して安養寺の僧が祈願をしたところやっと手を開き、「衛門三郎」と書いた石が出てきた。その石は安養寺に納められ、後に「石手寺」と寺号を改めたという。石は玉の石と呼ばれ、寺宝となっている。

※ 諸説ある「衛門三郎伝説」ですが、ご紹介させていただいたものが一番ポピュラーなものになると思います。

なぜ、4年に1度なのか・なぜ、来年なのか

お話の中にあるように、衛門三郎は、お大師様を追い求め四国霊場を20周します。実に8年の歳月だったそうです。そして、逆打ちを思いつき21周目でお大師様と巡り合うことが出来ます。その巡り合えた年が、うるう年であったことから、今でも4年に1度うるう年に、お大師様に巡り合える逆打ちをしてみませんか ? ということだそうです。
来る2020年は、うるう年。来年は、4年に1度の逆打ちの年となります。

なぜ、ご利益3倍なのか

「なんで、ご利益3倍なんですか ?」結構困ってしまう質問です。
ネットで調べてみると「逆にお遍路をするのは大変だから」的な答えが目立ちます。私がご案内する時は勝手な解釈ですが、こう答えます。

お遍路をすることで、衛門三郎が得たご利益は3つ
1 お大師様に巡り合うことが出来た
2 自分の人生を見つめ直し、改心し、すべての罪を許された
3 最後の願いでもある、再生というご利益

衛門三郎が、3つもご利益を得たことにより、逆打ちはご利益が3倍といわれます。
繰り返しますが、勝手な解釈です。

ちなみに、衛門三郎は逆打ちだけではなく、お遍路の開祖とも呼ばれます。
いつ死んでもいいように、白装束を身にまとい、魔除けの笠を被り、手には手甲、足には脚絆、杉の杖をついて、衛門三郎はお遍路に出発したそうです。
このスタイルが、今でもお遍路さんのスタイルとして続いているそうです。



通常のお遍路は「お大師様の足跡を辿る」お遍路。逆打ちは「衛門三郎最後の足跡を辿る」お遍路。そう思ってお参りするといいかもしれませんね。

◆「逆打ち2020」は特別な年

2020年の逆打ちは特別です。
なにが特別かというと、以前「お遍路スイッチ47【イベント情報 」でも書きましたが、四国八十八ヶ所霊場会では「賜弘法大師号1100年記念事業」を行っています。そこで、来年のお参りでは、通年ではいただけないものが授与していただけたり、新たに始まる納経をいただけたりします。

御詠歌札(通年いただけないもの)

御詠歌札アイキャッチ

各霊場の御詠歌を記載したお札を帳面とお軸を納経いただいた方に無料で配布いたします。別途、ご希望の方には100円で授与いたします。 これは四国霊場の88の寺院を巡ると集める事の出来る各寺院の御詠歌が印字されたお札で、掛け軸や額装または屏風仕立てにと自在に飾れるものとなっております。
配布期間と配布方法
配布期間:2019年5月1日~2021年12月31日(2年8ヵ月)
配布方法:掛け軸、納経帳にお納経いただいた方に無料で配布いたします。
※別途希望者には100円で授与いたします。

(四国八十八ヶ所霊場会 公式ホームページより)

大師納経(新たに始まる納経)

画像3

画像4

画像6

2020年に真言宗の宗祖である空海上人が弘法大師の諡(おくりな)を醍醐天皇より賜り1100年を迎える年を記念して、四国八十八ヶ所霊場会では「大師納経」を新たに授与いたします。お大師さまの揮毫と御宝印を施したお納経を各霊場寺院で授与、また全て集め終えると、霊場会特製の記念納経帳ができあがります。※納経帳の製本にはお申込みが必要です。大師納経は令和2年1月1日より授与いたします。

①お納経の授与について
四国八十八ヶ所霊場にて、お大師さまのお納経を新たに授与いたします。
※揮毫と御宝印が施されたお納経用紙をビニールに入れてお渡しいたします。
※御宝印の形容は各霊場寺院によってすべて異なります。
※お納経代として300円申し受けます。
※今回の大師納経は、従来の納経帳・朱印帳、また掛け軸、白衣には記帳・押印いたしません。あらかじめご了承ください。
②集め終わったら
全て集め終えましたら、全てのお納経を四国八十八ヶ所霊場会事務所までご郵送ください。
※製本申込用紙と送付用シールは基本的に下記の寺院で配布しております。
1番霊山寺、75番善通寺、88番大窪寺
③ご返送について
特製納経帳に製本してご返送いたします。表紙はお好きな図柄よりお選びいただけます。
※製本は有料(3,500円〈税・送料込〉)となります。
※霊場会特製納経帳に製本をお申込みいただいた方には、霊場会公式の結願の証と記念散華を合わせて授与いたします。

(四国八十八ヶ所霊場会 公式ホームページより)

御詠歌札は、2021年年末までですので、来年の逆打ちでは必ずいただけます。大師納経は、授与期間が記されていないので、ずっといただけるものだと思います(情報開示されたばかりで不明です)。

◆最後に

4年に1度の逆打ち、お大師様がお大師様になられて1100年の記念の年と、2020年はお遍路さんにとっては大事な一年になりそうですね。
個人的には、新しく始まる大師納経をこの特別な年に授与していただきたいと思っています。
初めてお遍路をされる方は、このチャンスに是非足を運んでみて下さい。ご利益3倍ですからね !!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?