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ドラマ感想文│『シークレット・インベージョン』

長い前置き

私とMARVELとの出会いは小学生の頃。

たまたま手に入れたX-MENの和訳版が始まりだった。当時は左から読むコミック自体が新鮮で、絵もコマ割りも描き文字も読みづらかったが、少しオトナな漫画という印象で大切に何度も読み返していた。

経済的な事情からコミックを買い集めることはなかったが、やがてゲームセンターで稼働を始める問題作『X-MEN VS. STREET FIGHTER』通称ペケストで眠っていたMARVEL熱は再燃した。当時はまだガーピー言わせて接続するインターネットだったので情報収集は難しかったが、それぞれのヒーローがどんなヤツなのか調べたり想像したりして友達と語り合っていた。

時は経って2012年。映画『アイアンマン』が公開された。それまでもX-MENや2002年の『スパイダーマン』の映画が公開される度に一通り鑑賞していたが、正直言うとどれもピンと来なかった。X-MENはコミックで活躍する姿こそがカッコイイと思っていた(その点カプコンのゲームはよくできていた)し、スパイダーマンは昔のドラマ版(東映じゃないやつ)が私の原点だったので、何れも「何か違うなぁ」という感じだった。まだ私自身が多様性を受け入れられる程に成熟していなかったのだ。

勝手に映像化には期待できないと思い込んでいた私は、「そうは言っても確認しておかないとな」くらいの生意気な心持ちで劇場へと足を運んだ。誰と観たか覚えていないので多分独りで行ったんだろう。そして劇場から去る時の私の掌は、すっかり裏返っていた。コミックではいけ好かないブリキ人形で大した活躍もしてなかった(そういう作品しか知らなかった)アイアンマンが、こんなにも格好良くなるなんて!と。早く続編を観たかった。

それから長く、本当に長く続くMCUを追い続けている。比較的早い段階で脱落気味だった妻を尻目に、私は追い続けた。

それでもフェーズ3突入あたりから嫌な予感はしていたし、フェーズ4で予感は確信に変わり、『ドクター・ストレンジ マルチバース・オブ・マッドネス』あたりから半ば投げやりな気持ちで鑑賞している。コロナの影響もあって、MCU目当てに劇場へ行くこともなくなってしまった。2012年以前の状態どころか、ある意味それよりも興味の薄れた状態になってしまったのだ。

私が大人になったということなのかも知れないし、たまたま不向きな作品が続いたというだけかもしれない。何れにせよ私の中でアベンジャーズはウルトロン戦が最高潮であり、サノスの弱さ(ワンダがタイマンでガチれば勝てたんじゃない…?)にガッカリし、シーハルクから引導を受け取った…。

それでも未だにMARVELのヒーローそしてMCUも好きではある。だからこそ今回の『シークレット・インベージョン』も楽しみにしていた。少々の面倒くささは感じていたものの、確実に楽しみではあったのだ。だからこそ敢えて事前情報はシャットアウトし、予告映像など観ないようにしていた。

以上、長い前置き終わり。

『シークレット・インベージョン』の感想

さて、本作は意外にもマーティン・フリーマン(エヴェレット・ロス)の視点でスタートする。あれ?この人もMCUに参加したんだ。なんて思ってしまったが、そう言えば『ブラックパンサー』に出てきていた。私にとってブラックパンサーは寝てしまう系映画なので、最早朧気な記憶しか残っていない。でも確かに出演していたし、ナンなら結構重要なポジションを担っていた気がする。最終的にはワカンダの人になったんじゃなかったかな、多分。くらいのフワフワした感じでのスタートとなった。先行きが不安だ。

そんな彼が夜のモスクワを歩き出す。戦闘に備えてか銃のスライドを引く。が、暫く特に何も起こらない。何のためにあの場所でスライドを引いたんだろうか…なんてどうでも良いことばかり考えてしまう。

やがて誰だかよくわからないオジサンと会い、各国で起きるテロの裏に潜む陰謀について聞かされる。そして大きくクローズアップされるのがスクラル人となるのだった。

…というところから話は動き出す。何でワカンダに居る筈の人間がモスクワをウロウロしてるんだろうと思ったら彼もスクラル人であった(てことは本物は…?)。つまり本作はミッションインポッシブルの顔ペロンがどんなタイミングでも、何の下準備も見せられることなく発動する可能性の高いドラマだと宣言されているようなものだ。

これはなかなか疲れそうなドラマだなぁ…『M:I-2』みたく雑にペロンペロンしなければ良いなぁ…というのが序盤の感想である。この辺は過去の映画を観直すなり何なりして、色々と思い出しておく必要があるかも知れない。

それにしてもスクラル人は強いんだか弱いんだかよくわからない。ビル(せいぜい6階建てくらい)から落下した程度で死ぬし、フューリーに撃たれただけでも死ぬ。その割に素手で鎖を千切るし、パンチの威力も高そうだった。攻撃力だけが高いのだろうか。だとしても人間と同程度の防御力しか無いのなら、得意の身体能力を活かそうとしただけで自滅しそうな気がする。

そして故郷問題。

今回の事件はフューリーとキャプテンマーベルが30年経っても故郷の星を見付けてくれないよ~というところから始まっているような雰囲気だが、スクラル人は少なくとも人間の3倍以上は生きられる種族だと語られているし、コミックではクリー人と気の遠くなる程の長きに渡って戦争をしているのではなかっただろうか。

それが今更30年ごときでガタガタ抜かすか?と思わずにはいられない。しかもこれは決してフューリーとキャプマーだけのせいではなく、自分たちの努力不足でもあるのではないかという気がしてしまう。

そしてウクライナの近所(推定)にはスクラルの隠れ里が結構な規模で形成されつつあるようだが、果たして彼らはどこからどうやって流れ着いたのだろうか。合言葉を知っていて変身能力だけ披露できれば、一般スクラル人がフラっと訪れて簡単に入れてもらえるようだが、その情報を誰も掴めていないのも疑問だ。アベンジャーズが解散して国防に四苦八苦している様子はローズが何となく仄めかしていたが、それこそフューリーのことを錆び付いただの老体だのと皮肉っていたMI6やらヒルやらがキャッチできなかったものだろうか。そんなに簡単に掴める情報じゃないんだよ、ということであれば、それを一般スクラルはどうやって知るんだ⁉というかお前らは本当、どっからどうやって流れ着いたんだ!!

と、疑問は尽きない。が、それらは敢えて散りばめられている謎なのだろう。そうであってくれ。

そして第1話のラストはドラマらしく衝撃的な展開で幕を引くわけだが、トドメを刺されていないのできっと死んではいないだろう。「なんじゃこりゃあ!」の例はあるけども、こと映画やドラマに於いて腹部を撃たれただけで死ぬキャラクターは稀だ。

それにしても爆弾の威力は思ったよりも控え目だった。壊滅的な打撃を与えることよりも、あの場にフューリーとヒルを誘い出すことこそが目的だったのだろうか。

結論を急ぐことなく、続きを期待しようではないか。

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