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蕎麦に対するそこまで熱くはない想い

蕎麦が好きだ。

けれど蕎麦通を名乗る気はないし、味の違いも大して判らない男だと自負している。けれど蕎麦は好きなのだ。蕎麦好き…というのも少し違う。大体のオジサンは蕎麦が好きなので(自社調べ)、私も単に蕎麦が好きなオジサンに過ぎない。

現在は週に三日出社することになっており、出社する日は大抵職場近くの立ち食い蕎麦屋で昼食を取る。つまり概ね週に三度は蕎麦を食べるということになり、これもまた基準値内であろう。

昔は立ち食いでない蕎麦屋もよく食べ歩いたが、日常的に食べるのならば好みの立ち食い蕎麦屋を見付けて通う方が良いという結論に落ち着いた。

何しろ私は暖かい蕎麦に七味をバサッと掛けて食べたいのだ。できれば茄子とか春菊の天ぷらなんかも載っていると理想的だ。立ち食い蕎麦屋でないと、これはなかなか実現できない。

まず格式高めなお店であれば、冷たい蕎麦を頼みたくなりがちだし、春菊や茄子の天ぷらが用意されていことも稀だ。仮に用意があったとしても、望んでいないオプションパーツが付属していたり、そのせいで高額になってしまったりして気軽に蕎麦を手繰る雰囲気ではなくなる。そして七味をバサッと掛けると白い目で見られがちだ。

日常的に食べるのならば、気軽に手早く、自由にのびのびと暖かい蕎麦を啜りたい。真夏であっても暖かい蕎麦にアツアツの天ぷらが載っている蕎麦を食べたいのだ。山形の一部地域では真冬でも冷たい蕎麦を食べるのが当たり前であるわけだから、その逆というわけである。河北の蕎麦も老舗の蕎麦も好きなんだけれども。

そんな私が昨日の昼に蕎麦を茹でた。

しかしどうもイマイチな仕上がりだった。貰い物の蕎麦にも、創味のつゆにも落ち度はない。ただ雑煮用のつゆを転用したのが良くなかったのだろう。西日本で食べる蕎麦が口に合わないのと似たような現象だと思われる。

だから今日は何としても、馴染みの立ち食い蕎麦屋へ行かなくてはならなかった。初出社の日には店休だったが、今日ならば開いている筈だ。頼む!開いていてくれ!!と願いながら足早に店へ向かうと、明るく元気に営業していた。昼時を過ぎているにもかかわらず盛況であり、券売機前には眉間に皺を寄せて脳内昼食会議をするオジサンの姿も見られた。

私はいつも通り春菊天蕎麦と大盛のチケットを購入してカウンターへと向かった。すっかり顔を覚えられてしまっているので「あ、毎度どうも!」と奥から元気な声も聞こえてきた。何も言わずとも暖かい蕎麦を欲していることを察してくれる。今年も幾度となくお世話になるだろう。

暫く待つと蕎麦が茹で上がり、目当ての丼が湯気を上げてトレイに載せられた。

多めのネギとワカメが嬉しい

一口啜ると「あぁ、この味が欲しかった…」とシミジミ感じ入り、今年に入って初の立ち食い蕎麦を堪能し、トレイを返却口へ運ぶ。すると奥から「今年もよろしくね!」と声が聞こえ、私も「お願いします」と返して店を後にした。


二日連続で蕎麦を食べたというだけの話である。

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