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「A」で始まるウルトラマン

本日は『ウルトラマンアーク』の初回放送日だ。

妻が出社日だったので、子供達は保育園に預ける予定にしてあった。しかし、他でもないウルトラマンの初回であるわけだから、それをリアルタイムで観られないとなれば禍根を残しかねない。

だから保育園には少し遅めに登園させることにして、我々3人はその時を待つことにした。全ての身支度を終え、いつでも出られるように備えた上である。準備を進める子供達は、普段以上にテキパキと動いていた。

未来へ駆ける円弧

去年の今頃は『ウルトラマンブレーザー』の初回放送に湧いていた。

ひときわ目を引くウルトラマンの造形や、珍しい設定などが放送前から期待感を高めてくれた。

期待していたものとは違う?

それと比較するのが正しいことかどうかはともかく、本作の第一話は少し物足りないものであった。(いい歳ぶっこいたオジサンだから、当たり前といえば当たり前だけど…)

前提として、ウルトラマンとの邂逅が描かれない点は大きなハンデであるように思える。未知との遭遇が無いわけだから、我々は登場人物の誰かに感情移入する前に、ストーリーの流れへと乗るところから始めなくてはならない。

それを補うためだろうか、冒頭からウルトラマンアークの姿が画面に映るが、その先には滝のような説明セリフが待ち構えている。するとどうしても一旦仕切り直しという気分になってしまうし、子供達の集中力も途切れてしまう。

そこからウルトラマン再登場までの間、各登場人物やサポートロボットの機能紹介、状況や役職の説明から怪獣(これも既に何体目かのものという設定)のお披露目、怪獣との小競り合いが何となく展開される。ここまでの間にドラマが無い。

怪獣との戦闘で使う銃はタッカーみたいで弱そうだし、ミニチュアセットは妙に綺麗で違和感がある。そして変身アイテムはおもちゃ感が強すぎて緊張感に欠ける。

興奮が詰まった戦闘シーン

それでも、いざ変身してからの勢いと見せ方には目を離せない魅力があった。

まず、変身しながら人間を助けるという王道ながらもヒーローらしい行いが嬉しい。変身アイテムこそルービックキューブだが、ウルトラマンが宿主(?)を抱きかかえるようにして変身するシークエンスは新しさと優しさを感じさせる。

そしてブレーザーでも頻繁に見られた、ミニチュアの中で活動する人間とウルトラマンとの対比映像はカメラワークも手伝って飽きさせない作りになっている。

更に続く怪獣へのパンチやキック、そしてチョップなどによる牽制というプロレスを披露した上での光線技やバリアといったギミックを駆使しての戦闘。目くらましをされたり撃墜されたりと怪獣側の手強さも印象付けたテンポの良い殺陣だったのではないだろうか。このリズム感が戦闘前にも発揮されていれば、なお気持ちの良いものになっていただろう。

光線技(アークファイナライズ)の演出も良かったと思うし、変身アイテム同様に不安の残る華美な剣も、奇襲を迎撃する為の懐刀としてのみ活躍したのでケバケバしさが際立つことなくラストの大見得へと繋がった。

「A」への期待

『ウルトラマンアーク』の名称とビジュアルが発表された時、私はまずウルトラマンエースのことを思い出した。数年前に『ウルトラマンZ』が発表された時にも、エースとの関連についてアレコレ考えたものだった。

予想とは違う形であったものの、エースは期待を超える形で客演してくれたし、それを差し引いても、ゼットは印象深い作品として記憶に残った。

そこへきて今回の「アーク」である。

目の形こそ違うものの、頭部の形状はどことなくエースを連想させるし、そもそも名前は「A」から始まる。変身シーンの抱擁が、エースの優しさを受け継いでのものだというのは考えすぎだとしても、今回披露された戦闘シーンには、より具体的にエースを連想させる要素が多く含まれていた。

怪獣と対峙する際の構え方も、バリアを使いながらの戦闘も、牽制技としての光線もそうだ。そして必殺技「アークファイナライズ」もまた、発射前の動作が実にメタリウム光線じみてはいなかっただろうか。

そして強いんだか弱いんだかよくわからない剣についても例のドスを思い起こさせる。(これについては今後の活躍次第だが…)

だからといってエースを客演させろとか、エースの息子であれとか言うつもりはない。私の中では、エースに師事していたくらいの距離感が丁度良い。

おわりに

要するに私はエースが好きなのだ。

AIが女性版エースみたいなの描いてくれて嬉しかった

従ってそのエースを感じさせるアークもまた、例え玩具で変身しても、顔から剣を取り出しても、どんなに野暮ったいアーマーで武装しても、我が子とともに応援し続ける所存である。

ところで動画を撮影するスマホの画面に移行する演出については、恐らく時間経過を表示する為のものだったのだろうが、突然ダイナミックに動き出した時にはメガネの彼が吹き飛ばされでもしたのだろうかと心配になった。気持ちはわからないでもないが、若干ノイズに感じる演出であった。そして最後に表示される「00:03:18:40」には何か意味があるのだろうか。

あと遅刻しても行方をくらませても特に心配されない主人公は、組織にとってどんな存在なのだろうか…。新人とは言えあまりにも空気ではなかろうか。走る前に目立て!ユウマ!

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