見出し画像

[VALHEIM]│あの海の先へ

家の修繕工事をするだけで時間が溶ける沼ゲー「VALHEIM」。

連続note小説「TESTおじさん」

第1話(最終回)
「あの海の先へ」

画像6

青い巨人を討つことに成功し、放浪の旅へと出掛けた「TESTおじさん」は、気付けば思いもよらぬ場所へ行き着いていた。何かと使い道の多い火打ち石を求めて海辺を彷徨い歩き、手負いのシカに誘われるまま森を抜け、ドワーフの群れに追い回されて満身創痍になりながら、ふと我に返り地図を開いてはみたものの、帰りのルートさえ思い浮かばない。

来た道を引き返すことも考えたが、装備の多くにはガタが来ている。とにかくまずは落ち着ける場所が必要だ。襲撃のリスクが低そうな水辺を野営地に選び、まずは火を起こし、作業スペースを確保した。装備の点検や物資の整理を済ませ、少し落ち着いたところで眼前の湖に目を向ける。

画像1

この湖を一周してみようと出発してから、もう何日経つだろう。想定していたよりも大きな湖は、恐らく湖ではなく海だ。その予感が確信に変わったことで、今このような場所で途方に暮れているのだ。

そうしてボンヤリと水面を眺め続けていると、心の片隅に小さな衝動が芽生えた。最初は小さな波紋程度だったその衝動は、次第に勢いを増し、波となり渦となり胸中を満たした。

画像2

――この湖を渡り切れば家に着く!

その思いに支配されると、居ても立っても居られなくなった。泳いで渡り切れる距離でないことは、これまでの経験から察しがつく。そこでまずは橋を架けてみることにした。

作業台を水辺のギリギリに作り、慎重に床板を延伸してゆく。しかしこれはすぐに限界が来た。作った床板は、補強する間もなく崩れ落ちてしまうのだ。近場の森林を丸裸にしたとしても、さほど長い橋は造れないだろう。

そこで次は土木作業で地形そのものを作り変えようと試みた。どこからともなく湧き出るドワーフたちから物資を強奪し、少しずつ海を埋めてゆく。気の遠くなるような長い道のりだがそれでも確実に前進している。晴れている日は薄っすらと対岸の景色が見えるくらいにはなってきた。

ただ単に垂れ流すだけのVALHEIM_Moment

しかしこのあたりから、急激に作業効率が落ちて来た。積めども積めども伸びない橋。時には荒れた海にさらわれ、またある時はドワーフたちが橋の上にまで押し寄せて来た。

ここが限界なのかも知れない。この場所から泳ぎきるしかないのかも知れない。

もう何日も帰れていない我が家は無事だろうか。またトロルの襲撃を受けてはいないだろうか。或いはドワーフの群れによって略奪の限りを尽くされているのではないか…。嵐の日に我が身を打った大波のように、抗いようのない焦燥感が押し寄せて来た。

暫し逡巡した末、意を決して足を踏み出す「TEST」――

海は…彼を飲み込んだまま沈黙した。

おわりに

気まぐれで物語仕立てにしてみたものの、これに費やした時間と労力は想像を遥かに凌ぐものだった。もうグッタリである。しかも話が全然進まないので、これは本当に文章を書くのが好きな人でないと続かないものであると思い知った。何より改めて読書不足を痛感した。表現したいことはうまく文章にならない。恥ずかしい。

さて、わが分身「TEST」は、丁度中間地点くらいで海の藻屑となった。無理だろうとは思っていたが、泳ぎ続けるとどうなるのかを知りたかったのと、もし万が一中間地点に小さな島でもあればという一縷の望みを信じてみたのだ。因みにイカダを作れることは完全に失念していた。

その後は死体を回収しに向かうわけだが、これが相当な苦行であった。橋を延伸するために作業台は幾つも作ったのだが、ベッドを作り忘れていてリスポーン地点は遥か彼方になっていたのだ。装備が何も無い状態でかなりの長距離を走り続け漸く辿り着いたところで、どこからともなく現れたトロルに殴り殺されたり、普段はそれほど気にならないイノシシの猛攻によってリスキルされたりと散々な目に遭った。

荷物を回収し終わるまでに、現実時間で3時間程度を要した。因みにイカダについてはこの時点でも思い出していない。

画像4

最終的にはこれくらいまで橋を造った

それでも楽しくプレイできるのだから素晴らしい。こんな素晴らしいゲームを僅か5人で開発していたなんて俄かには信じられない。すっかりご無沙汰な「Among Us」もそうだが、開発のコストや規模とゲームの面白さとは必ずしも比例しないという好例ではないだろうか。

一度は海に沈んだ「TEST」は無事に復活を遂げ、海の向こうの新天地へと旅立つ。

画像5

今では立派な船のオーナーである

次回は「上質な木」などの素材を集める様子や、普段どうやって戦闘を進ているかなどの真面目な攻略を書いてみたいと思っている。思っているだけなので実際にどうなるかは私にもわからない。

結局書かないんじゃないかと思っている。

この記事が参加している募集

#全力で推したいゲーム

13,678件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?