見出し画像

ネクステージの決算内容を3分で解説!

今回はネクステージの決算内容について見ていきましょう。
愛知県に本社を置き新車から中古車・輸入車まで車に関して幅広く扱うこの会社、決算内容はどうでしょうか?

1.PLの状況

まず最初にPLの状況について見ていきましょう。

売上高は前年比+43.6%の4,181億円となりました。営業利益は前年比+42.6%の194億円、当期純利益は+43.7%の138億円となり全ての項目で前年比+40%以上と大幅な増収増益という結果となりました。

出所:決算説明資料

では内容について見ていきましょう。

事業としては「新車・中古車販売」「中古車買取」「自動車整備」「輸入車新車ディーラー」があります。
今回の決算ではこの全ての部門で前年比較の売上高・売上総利益がプラス成長でした。
輸入車以外の部門では二桁成長となり好調な結果を示しました。

出所:決算説明資料

特に中古車買取店での業績が好調で、売上高は前年比+82.4%と驚異的な伸びを見せています。

この好調の背景としては中古車市場全体の市場環境が影響しています。
車の買い替えの対象としては「新車→新車」の買い掛けが2009年は50%以上を占めていましたが、年々中古車の割合が増加してきました。
「新車→中古」や「中古→中古」など中古車への買い替え割合が増加し、2009年の29%から2021年には42%まで増加しました。

ここ数年の増加要因としては、半導体不足により新車の生産が追いつかいず、その需要が中古車に流れていることも要因の一つと考えられます。

出所:決算説明資料

また日米の中古車市場の推移を見てみましょう。
2018年を100とすると、日米ともにコロナ禍に入った2020年の初めに大きな谷を迎えます。

しかしその後市場は順調に回復を見せ、2022年中盤以降にピークを迎えます。米国は2018年比較で+80%、日本は+53%と米国ほどではありませんが中古車市場の盛況さが伺えます。

ただピーク以降は下降気味となっていますので、今後はこれがそのまま下降を続けるか、それとも平行線をただる若しくは再度上昇するか市場の動向を観測する必要はありそうです。

出所:決算説明資料

日米の自動車市場でも動向を見てみましょう。
販売台数に関してこちらも2018年を100とおいて比較をしてみると、米国は2020年に大きな谷を迎えますが、その後V字回復をして2021年には+2%程度まで上昇します。

一方日本は2019年は微増しますが、その後緩やかに下降していきます。
大幅に減少はしていませんが、2021年は△4%程度まで減少しています。

これは日米の経済力差、市場の力の差を表しているのかもしれません。

出所:決算説明資料

このような中古車市場の盛況を背景に、2022年の出店数の増減としては+57店舗と大幅に増加しました。
中でも買取店が+33店舗と一番の伸びを見せています。

出所:決算説明資料

地域別の出店状況を見てみると、本社のある東海北陸地域と関東甲信越地域で全体の半数を超えます。
また売上ベースで見るとさらに割合は高くなり全体の60%以上となります。

出所:有価証券報告書

2023年の出店計画としては2022年よりさらに増加して、+59店舗の新規出店を計画しています。
これにより店舗数は298店舗になる見込みで、300店舗まであと一息です。

出所:決算説明資料

2023年の業績見通しを見てみましょう。
売上高は前年比+19.6%の5,000億円、営業利益は+28.5%の250億円と堅調な成長を見通しています。
営業利益以降の経常利益・当期純利益に関しても前年比+20%以上を見込んでおり、楽しみな見通しとなっております。

出所:決算説明資料

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。

総資産全体としては前年末から+502億円増加しました。

出所:決算説明資料

流動資産は+362億円増加しましたが、このうち売掛金で+55億円、棚卸資産の商品で+312億円増加しました。
売掛金も商品も売上高の増加に伴い増加したものと考えられます。

固定資産は+139億円増加しましたが、このうち建物関連で+79億円増加しています。これは新規店舗出店に伴い建物への投資が進んだ結果だと考えられます。

出所:決算短信

負債の部全体としては+355億円増加しましたが、そのうち買掛金で+18億円増加しました。これは先程の流動資産での売掛金や商品と同じ要因で、売上高増加に伴い仕入高も増加したことによる影響です。

また短期・長期合わせた借入金合計で+256億円増加しました。
短期借入金で+144億円増加していますが、これは仕入に関する短期支払いが増加したことにより資金調達を実行したと考えられます。

長期借入金は+89億円増加していますが、この資金は新規店舗出店に関する建物等の設備投資のために借入を行ったものと考えられます。

出所:決算短信

純資産では+146億円増加しましたが、内容としては当期純利益で+138億円と自己株式の処分で+47億円の増加が主な要因です。

出所:決算短信

また安全性の指標に関しても少し触れておきましょう。
流動比率(流動資産÷流動負債)は210%と目安の200%超となっており、数値としては良好だと言えます。

短期借入金の増加がありましたが、それ以上に商品が増加してるため比率としては良好を維持しています。
ただ商品から売掛金〜現預金へとスムーズに振り替わっていく必要がありますので、商品のまま滞留することがないように注視する必要はあります。

3.CFの状況

最後にCFの状況について見ていきましょう。

CF全体としては前年末から△29億円減少しています。内訳は営業CFで△178億円、投資CFで△138億円、財務CFで+288億円という内容です。

出所:決算説明資料

営業CFは税前利益で+187億円稼ぎましたが、売掛金と棚卸資産の増加影響が△380億円ありこれが大きくマイナス要因として影響しました。

投資CFは新規出店に関する有形固定資産の支出が△125億円ありこれが主な内容です。

財務CFは借入金の新規借入による増額で+256億円入金がありました。
また自己株式処分による収入として+46億円の入金も増加要因の一つです。

出所:決算短信

また緊急時の備えとして取引銀行17行と総額435億円の当座貸越契約を締結しています。ただ既に209億円の借入が実行されているので、実際に借入できる枠としては残り226億円となります。
備えの金額のレベル感としては、現状のCFの状況から見て問題ない金額ではないかと考えます。

出所:有価証券報告書

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算を見ようかな?

マサキタカオ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?