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ウォンテッドリーの決算内容を3分で解説!

今回はウォンテッドリーの決算内容について見ていきましょう。
ビジネスSNS「Wantedly」を運用し、スタートアップやベンチャー企業の募集に強みをもつこの会社、決算内容はどうでしょうか?


1.PLの状況

まず最初にPLの状況について見ていきましょう。
営業収益は前年比+6%の47億円と微増ではありますが増収となりました。
営業利益は前年比+27%の15億円、当期純利益は+34%の9億円と利益面では大幅増益となりました。

出所:決算説明資料

ここ3年間の営業収益の推移を見てみると、全体では+38%の成長を見せています。
収益の内容としては「ストック収益」と「フロー収益」があり、金額的にも成長率的にも「ストック収益」が柱となっています。

出所:決算説明資料

四半期ごとの推移で見てみると、ストック収益は安定的に推移していることがわかります。
ただ新規顧客の獲得が頭打ちになっている影響もあり、成長のペースとしては緩やかな推移となっています。
フロー収益に関しては、増加と減少を繰り返しており、安定的に成長を継続できている状況ではありません。
この点に関しては課題認識をしているようで、今後営業体制の強化を急ぐ考えです。

出所:決算説明資料

また登録ユーザー数と登録企業数の観点で見てみると、2021年から減少はせずに緩やかに増加を継続しています。
ここ3年間で20〜30%程度の増加を示しています。
このユーザー数の増加に連動してストック収益は堅調に推移していると考えられます。

出所:決算説明資料

今のユーザー数/企業数の市場全体でのシェアは、ユーザー数は11%、企業数は7%と潜在的なユーザーはまだ相当数残っているので、今後成長の余地はありそうです。

出所:決算説明資料

ここから想定される潜在的な市場規模としては約1兆円を想定しています。
フロー収益の採用で4,500億円、エンゲージメントで5,500億円を見込んで知るので、現状のシェから1%プラスできれば100億円フロー収益を押し上げることができる計算になります。

出所:決算説明資料

今後収益を増加させていくための施策として「既存事業の強化」と「新規事業への投資加速」を考えています。

既存事業に関しては、コロナ禍明けからの採用需要の回復に合わせた営業体制強化の遅れが成長鈍化の要因となっており、次年度で営業体制強化を実施して、2025年8月期以降での継続成長を目指す方針です。

新規事業に関しては、Perkを中心に新規事業領域への投資を実施していきます。また既存事業のVisitついても新機能開発を行っており、順次リリース予定しています。
短期的な全社収益への寄与は見込めないものの、中長期的に成長を牽引で きる事業を創出する方針です。

出所:決算説明資料

では2024年8月期の会社計画について概要を見ておきましょう。
営業収益は前年比+2%の48億円、営業利益はほぼ横ばいの16億円と微増ながら増収の見通しとなっています。
やはり営業収益に関しては、これから1年間は営業体制の立て直しの期間となるため、実際の効果としては2025年からとなりそうです。

出所:決算説明資料

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。
総資産全体としては前年末から+9億円増加しました。

出所:決算説明資料

流動資産では+9億円増加しましたが、主な要因は現預金+9億円となります。
この点に関しては後のCFの状況で見ていきます。

固定資産に関しては、建物や土地などで大物の有形固定資産がなく、また投資有価証券もほとんどありませんので、期末残高も3億円程度と少額となっています。

負債に関しては流動負債のみで固定負債は計上されておりません。
固定負債の代表的な内容としては、退職給付に関する負債がありますが、これがないということはそもそも退職制度が存在しないことを意味します。
1年前の2022年8月期有価証券報告書の情報にはなりますが、平均勤続年数が2.7年とかなり短いので、現状の雇用環境では退職制度はまだ必要ないとの経営判断かと推測します。

出所:有価証券報告書

純資産に関しては+10億円増加しましたが、当期純利益+9億円が主な増加要因です。

出所:決算短信

あと金額は大きくはありませんが、シンガポールに子会社があるため、為替換算調整勘定で+3百万円の増加が見られます。これは円安による影響です。

出所:有価証券報告書

では安全性の指標に関しても見ておきましょう。
流動比率(流動資産÷流動負債)は313%と目安の200%を大きく超えており良好な状態です。
借入金や社債などの有利子負債がないことが良好な要因かと考えられます。

固定比率(固定資産÷自己資本)は9%と言うまでもなく問題ないレベルです。
そもそも固定資産をほとんど持っていないので、当然このような結果になります。

3.CFの状況

最後にCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては前年末から+9億円増加しました。
内訳としては営業CFで+8億円、投資CFで△0.1億円、財務CFで+0.9億円という内容です。

出所:決算説明資料

良くも悪くも大きな投資がなく有利子負債もないので、税引前利益が黒字であればCF全体としてはマイナスになることはない状況です。
ただPLの状況でも触れましたが、営業収益が伸び悩んでいる状況下ではもう少し戦略的な投資が必要かもしれません。
新規システムへの投資はもちろんですが、M&Aなども含めた戦略投資が今後の事業規模拡大には必要なのではないかと考えます。

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算をみようかな?

マサキタカオ

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