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A TEAMの決算内容を3分で解説!

今回はA TEAMの決算内容について見ていきましょう。
名古屋に本社を構えるこの会社、東京・大阪・福岡にもオフィスをオープンしています。ただ少し攻めあぐねている感もあり、決算内容はどうでしょうか?

1.PLの状況

まずはPLの状況について見ていきましょう。
売上高は前年比+1.7%317億円となりました。営業利益は大幅減益で、前年比△10億円で赤字転落となり△2億円、当期純利益も赤字転落となり、前年比△22億円△13億円と厳しい決算となりました。

出所:決算説明資料

売上高は前年比で微増となり、粗利率前年同様73%とほぼ変わりませんでした。では何が変わったか?それは販管費が前年比で+16億円増加した点です。これにより前年の営業利益7億円から大きく利益を減らして△2億円となりました。

出所:決算短信

この販管費増加の内容としては「広告宣伝費」の+16億円がほぼ占めています。それ以外の科目は多少増減はありますが、あまり大きな動きではありません。広告宣伝は結果との因果関係がわかりにくい点もあり、その費用対効果の評価が難しいと思います。
今回の決算数値に限って言えば、売上高増加+5億円に対して広告宣伝費増加+16億円となっています。この点だけで評価すると少し厳しい内容かもしれません。

出所:有価証券報告書

営業外の項目を見てみると、前年は「投資有価証券売却益」で7億円計上されていました、今回はほとんどありませんでした。この点は仕方ないかと思います。また特別損失として「減損損失」が5億円計上されています。前年も1億円の損失の形状があったので、ある程度定常的に損失を計上していることが伺えます。内訳としてはエンターテイメント事業で3億円、ライフスタイルサポート事業で2億円という内訳です。

出所:有価証券報告書

また今回は「繰延税金資産の取崩し」があったため、「法人税等調整額」で4億円と大きく計上されています。
この点についての詳細は、あとのBSの状況で説明します。

出所:決算説明資料

ではセグメント別に関して個別の内容についても見ていきましょう。
セグメントとしては3つ、「エンターテイメント事業」「ライフスタイルサポート事業」「BC事業」となります。
売上高の66%をライフスタイルサポート事業が占めていて、営業利益に関してもこの事業が主軸となっています。

出所:有価証券報告書

この事業の中でも更に事業が別れていますが、その中でもデジタルマーケティング支援が大きな割合を占めています。中古車市場の活況を受けて自動車関連が好調を維持しています。また人材メディアでも前年比で大幅増収となっています。

出所:決算説明資料

この人材メディアの好調は、2021年2月にM&Aにより取得した子会社の転職メディアが急成長したため売上高が伸びたと考えられます。
前年の4Q比較で見ると約6倍と急激な成長をしています。

出所:決算説明資料

一方、エンターテイメント事業に関してはかなり苦しい状況が続いています。やはり事業として採算を取るには、ある程度の売上高が必要となります。直近6年間の売上高とセグメント利益の推移を見てみると、年々売上高、利益ともに減少しています。そしてつに今回の1Q〜3Qにかけて赤字となってしまいました。

出所:決算説明資料

今後の浮上をかけて新領域として「NFTゲーム・メタバース」への準備を解しています。ただこの領域は他社の参入も多く競争が激しいことが推測されますので、どれだけ本気で投資できるかがカギになりそうです。

2.BSの状況

では次にBSの状況について見ていきましょう。
全体の総資産としては△9億円減少しました。資産の部での動きとしては、PLの状況でも出てきた「繰延税金資産の取崩し」があげられます。前期末残高で5億円あったので、この分が△5億円として効いています。
将来の課税所得の見込みを考慮して回収可能性を判断し、取崩しをする判断に至った結果です。

出所:決算短信

また純資産の部では、自己株式の取得・処分△5億円の動きがあります。
自己資本取得によって、ROE改善などの資本効率向上をねらいとする資本政策、1株あたりの価値向上をねらいとする株主還元策としての二つに目的達成をはかりました。ただ今回の決算では当期純利益が赤字だったため、ROE改善効果への貢献度は確認できませんでした。

出所:HPのIRニュース

BSの指標に関して見てみると、流動比率(流動資産÷流動負債)は249%と目安の200%超なので良好な状況です。また固定比率(固定資産÷自己資本)に関しても43%と目安の100%を下回っていますので、こちらも良好な状況です。

3.CFの状況

では最後にCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては△8億円となりました。内訳としては営業CFで△3億円、投資CFで+3億円、財務CFで△8億円という内容です。

出所:有価証券報告書

今回は赤字決算だっため、営業CFがマイナスになりました。本来であれば営業CFでしっかりと稼いで、その資金を投資に投下する流れが望ましいのですがそのようにはいきませんでした。投資CFでは大きな投資案件はなく、投資有価証券の売却収入+5億円あったためプラスとなりました。財務CFではBSの状況で触れた自己株式取得△5億円株主配当金支払△3億円という内容になります。

あと次年度の話になりますが、次回の株主配当は今回と同額の16円/1株を予定しています。

出所:決算説明資料

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算を見ようかな?

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