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シーアールイーの決算内容を3分で解説!

今回はシーアールイーの決算内容について見ていきましょう。
物流不動産分野に特化した少し珍しいこの会社、業績はどうでしょうか?

1.PLの状況

まずはPLの状況について見ていきましょう。
売上高は前年比+31.9%627億円となりました。営業利益は前年比+76.4%101億円、当期純利益は+61.6%57億円と大幅な増収増益という好決算となりました。またシーアールイーは営業利益やEBITDAとは異なる「事業利益」に重点をおいて利益管理をしています。
算式は上のスライイドの注)をご参照ください。事業利益ベースで見ても前年比+76.5%109億円と大幅増益となりました。

出所:決算説明資料

売上高の大幅増に伴って利益額も大幅に増加しましたが、「利益率」の観点から見ても利益効率が向上しています。
売上総利益率は前年の21%から25%へ+4%向上しています。利益率を4%向上させることはかなりの改善活動が必要だったと推測されます。
一方販管費に関しては前年比+10億円のコスト増となっています。内容としては給与・賞与関連の人件費で増加が目立ちます。業績が良好な分従業員への還元も必要なので、これは必要コストではないかと考えます。

出所:有価証券報告書

ではセグメント別に内容を見てみましょう。
セグメントとしては三つ、「不動産管理事業」「物流投資事業」「アセットマネジメント事業」があります。
売上高の割合としては不動産管理事業が45%、物流投資事業が53%、アセットマネジメント事業が2%となり物流投資事業がトップです。
営業利益の割合となると物流投資管理事業が76%とダントツの稼ぎ頭となります。

出所:決算短信

ではまず物流投資事業から見ていきましょう。
物流投資事業のフェーズとしては四つに分かれています。
流れとしては「土地仕入→建築→テナント誘致→売却」という流れです。

出所:決算説明資料

この四つのフェーズのどれが欠けても事業として成立しないので、今の業績が好調ということはこのサイクルが上手く回っているとう事だと解釈できます。またその結果としてセグメント粗利率が前年までの21.8%から今回は28%と大幅に上昇しています。
ではこの好調が今後も続くのか?という点に関してはある程度目処が立っているようです。2026年7月まで2,000億円超の計画が順調に進んでいます。

出所:決算説明資料

次年度の2023年に3件の物件が竣工・売却予定となっています。2024〜2026年に掛けてもしっかりと計画されています。
この計画通り順調に進めば今後もかなりの売上高と営業利益を見込むことができると考えられます。

次は不動産管理事業について見てみましょう。
不動産管理事業にとって重要管理指標である「管理物件推移」を見てみると、2010年から現在に至るまで物件数では約6倍になっていることが分かります。またマスターリース稼働率は2015年以降常に95%以上をキープし続けています。この物件数・稼働率は売上高に直結する重要な指標で、この数値を見ると堅調に推移していることが分かります。

出所:決算説明資料

またセグメント利益の推移を見てみると、売上高の堅調な推移に伴いここ5年間で+67%増加したことが分かります。前年は利益が少し落ち込みましたが、それ以外の年は毎年増加を続けています。

出所:決算説明資料

ただ管理しているエリアが「東京圏が9割」とかなり限定されています。中部・近畿・九州などの地域に関しては苦戦している様子です。
この点が課題であると考えられます。
しかしこれは裏を返せば東京圏以外の地域にも進出できれば更なる事業拡大の可能性を秘めているということになります。

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。
総資産としては前年から+192億円増加しました。

出所:決算説明資料

資産の部では現預金が+173億円増加しています。この点は後のCFの状況で説明します。
それ以外では有形固定資産が+26億円増加しています。そのうち土地の増加が+25億円と大部分を占めています。
負債の部に関しては、長期借入金が+47億円増加しています。これは借入期間5年間で49億円のシンジゲートローンを結んだことによるものです。

出所:有価証券報告書

また第三者割当増資による新株発行を実施しており、41億円の資金調達をしています。これは2025年7月以降に竣工予定の大型物流施設への投資資金に充てるためです。

出所:HPのIRニュース

この新株発行はBS上どこに表れているかと言うと、純資産の中の資本金資本剰余金でそれぞれ21億円増加しています。

出所:決算短信

前年も同様の新株発行を16億円規模で行なっていますので、今回の新株発行はかなり大きな金額規模になりました。
今回は他人資本である借入金による資金調達と自己資本である新株発行による資金調達と両面から調達する形となりました。総額80億円超の資金調達を実行したことになりました。

3.CFの状況

最後にCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては前年末から+173億円増加しました。内訳としては営業CFで+156億円、投資CFで△58億円、財務CFで+75億円という内容です。
営業CFでしっかりと稼ぐことができているので現状では問題ありません。
しかし現在着手している2026年まで2,000億円の投資案件、更には2027年以降に3,500億円規模の案件を構想しています。

出所:決算説明資料

ここ5年間の推移を見ても「稼いだキャッシュを再投資して事業規模を拡大する」というサイクルを確実に実行しています。
その結果としてこの5年間で売上高は1.8倍当期純利益は2.7倍総資産も2.7倍とPL・BSの規模が倍増しています。

出所:有価証券報告書

また投資に必要な資金に関しては、全てを営業CFで賄うことはできませんので、その分は今回のような新株発行や金融機関からの借入金に頼る形になります。ここ5年間の借入金の推移を見ても4.3倍に増加しています。

出所:決算説明資料

借入金が膨らんでもその資金を元手に営業CFでしっりと稼ぐというサイクルが回っていればCFとしては問題ないと考えられます。
ただ不測の事態も想定しておく必要はありますので、その備えとしては取引銀行と当座貸越契約及び貸出コミットメント契約で総額1,319億円を締結しています。そのうち400億円は既に借入しているので、実質借入可能金額は919億円ということになります。

出所:有価証券報告書

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算を見ようかな?


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