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ニッケグループの決算内容を3分で解説!

今回はニッケグループの決算内容について見ていきましょう。
ウールのニッケで知られる毛織物の老舗メーカーのこの会社、決算内容はどうでしょうか?

1.PLの状況

まず最初にPLの状況について見ていきましょう。

内容を見ていく前に前提の会計基準の変更点について少し触れておきます。
今回の決算より「収益認識に関する会計基準」を適用したことで売上高が影響を受けました。
従来の基準と比較して△15億円の減収影響がありました。
一方利益への影響は軽微なため特段表示はありませんでした。

出所:決算説明資料

では内容について見ていきましょう。

売上高は前年比+2.3%の1,090億円となりました。営業利益は前年比+8.1%の107億円、当期純利益は△12.3%の72億円という結果です。

出所:決算説明資料

営業利益・経常利益までは増益となりましたが、特別損失で減損損失や事業構造改善費用などで△12億円の損失がありこれが当期純利益の減少に影響しています。

それではセグメント別の内容について見ていきます。

セグメントとしては4つ「衣料繊維事業」「産業機材事業」「人とみらい開発事業」「生活流通事業」があります。
規模感としては「人とみらい開発事業」が全体の中で大きな割合を占めていて、売上高では全体の32%、営業利益では57%と一番の主力なっています。

次いで社名の通り会社の顔となる「衣料繊維事業」は売上高で全体の27%を占めています。また営業利益に関しては全体の30%を占めています。

出所:決算説明資料

◇衣料繊維事業
売上高は前年比△0.5%の297億円、営業利益は+17.6%の32億円と減収増益という結果となりました。
国内の学校制服や官公庁制服は前年並でしたが、一般企業制服などはコロナ禍の影響が残っており低調に推移しました。
一方コロナ禍の影響から解放されている海外向け販売では欧米を中心に好調に推移しました。

出所:決算説明資料

◇産業機材事業
売上高は前年比17%の238億円、営業利益は+58%の19億円と大幅な増収増益という結果となりました。
半導体関連などで需要が増加したことによる影響はありますが、今回の大幅な増収増益の一番の要因は「フジコーの完全子会社化」と考えられます。

出所:HPのIRニュースより抜粋

これまでフジコーは持分適用会社の扱いだったため、連結決算上では営業外損益の区分でその業績が反映されていました。しかし2021年9月の完全子会社化によって、今回の決算では売上高から営業利益までその業績が反映されることになりました。
これが今回の大幅な増収増増益に寄与したと考えられます。

出所:決算説明資料

◇人とみらい開発事業
売上高は前年比+2.6%の349億円、営業利益は+0.6%の61億円と増収増益という結果となりました。
コルトンプラザのような商業施設運営や不動産賃貸や建設関連が堅調に推移しました。

出所:決算説明資料

◇生活流通事業
売上高は前年比△10.1%の168億円、営業利益は△32.4%の9億円と減収減益という結果となりました。
EC向け寝装品・家具・生活販売家電などはコロナ特需が一巡して低調となりました。
また前期は官公庁向けにコロナ対策としての感染対策防護衣の販売の大口受注がありましたが、今回はそれは無くなったことも減収に影響しています。

出所:決算説明資料

◇2023年業績予想
売上高は前年比+11%の1,210億円、営業利益は前年比+2.7%の110億円と増収増益を見込んでいます。
衣料繊維事業は円安効果により増収を見込んでいます。
また羊毛原料コストやエネルギー価格高騰によるコストアップはあるものの、営業利益ベースでは増益の見込みです。
その他のセグメントでは人とみらい事業は減収減益見込みですが、それ以外のセグメントは衣料繊維事業と同様に増収増益の見込みです。

出所:決算説明資料

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。

総資産全体で見るとあまり大きな動きはなく、前年末から△2億円減少しました。

出所:決算説明資料

流動資産は△23億円減少していますが、そのうち現預金で△66億円減少しています。この現預金の減少に関しては、あとのCFの状況で触れていきます。
また流動資産の中でも商品などの棚卸資産は+17億円増加しました。

固定資産合計では+20億円増加しましたが、そのうち投資有価証券の取得が進み+34億円増加しています。

出所:決算短信

負債合計に関しては△33億円減少しました。
主な減少要因は借入金や社債の有利子負債が△16億円減少したことです。これは返済スケジュールに沿って返済を進めた結果です。

出所:決算短信

純資産に関しては+31億円増加しましたが、増減要因はいくつかあります。
まず当期純利益による増加で+72億円あります。
一方で自己株式取得により△29億円減少しましたが、これは株主への利益還元の目的も含まれているのでネガティブな動きではありません。

出所:HPのIRニュースより抜粋

そこ取得した自己株式をその後消却しているので、最終的な自己株式の増減としては△31億円減少したので、純資産の増減影響としては+31億円増加となります。

出所:決算短信

3.CFの状況

最後にCFの状況について見ていきましょう。

CF全体としては前年末から△66億円減少しました。内訳としては営業CFで+94億円、投資CFで△68億円、財務CFで△94億円という内容です。

出所:決算説明資料

営業CFは税前利益で+111億円としっかり稼げており問題ありません。

投資CFは本業に関する有形固定資産への投資で△43億円の支出がありましたが、これは例年と比較しても同水準の投資額で問題なさそうです。
ただ今回は本業以外の「有価証券」に関するところでキャッシュの動きがありました。
「有価証券」の新規取得で△30億円の支出がありました。一方で「投資有価証券の売却」に伴い+11億円の収入がありました

出所:決算短信

財務CFに関しては例年登場する借入金返済や配当金支払とは別に「子会社株式取得」と「自己株式取得」で支出がありました。
子会社株式取得では△23億円、BSの状況で触れて自己株式取得では△29億円の支出がありまとまったキャッシュが出ています。

出所:決算短信

CF全体としてはマイナスでしたが、フリーCF(営業CF ~投資CF)はプラスを維持しているのでその点はきちんとコントロールしている印象です。

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算を見ようかな?

マサキタカオ

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