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物語コーポレーションの決算内容を3分で解説!

焼肉きんぐやラーメン丸源などを展開しているこの会社、色々と手広く事業展開しています。ではその決算内容を見てみましょう。

1.PLの状況

まずPLの状況について見ていきましょう。
売上高は前年比+14.4%732億円となりました。営業利益は前年比+12.4%28億円、当期純利益も増益となり前年比+36.6%37億円となりました。大幅な増収増益という結果です。

出所:決算説明資料

部門別の売上高を見ると、やはり「焼肉きんぐ」がひっぱっている「焼肉部門」が全体の53%を占めていて第一位です。続いて「ゆず庵部門」部門が17%で第二位、第三位は14%で「丸源」がある「ラーメン部門」です。
この上位3部門は知名度といいますかイメージ通りの結果ではないでしょうか。
各部門の店舗数を見てみると以下となります。やはり焼肉部門はダントツです。

出所:決算短信

全部門の店舗数は626店舗ありますが、そのうちFC店舗(フランチャイズ)は236店舗あり全体の37%を占めています。

出所:決算説明資料

またFC加盟店に関する売上高としては49億円あり売上高全体の6%程度を占めています。売上高の内容としては、フランチャイズ加盟金食材等の販売ロイヤルティ収入の三つです。フランチャイズ加盟金とは契約時に加盟店1店舗につき500万円の加盟金を支払うものです。ちなみに2店舗目からは半額の250万円に下がります。

出所:有価証券報告書

加盟店からは一括で500万円が入金されますが、PL上の売上高としては「一定の期間にわたり収益を認識する」とされています。この「一定の期間」はおそらくフランチャイズ契約の期間を指しているのではないかと推測します。その契約期間は、「お好み焼き本舗」は5年間でそれ以外は10年間とされています。またその契約期間が過ぎると今後は2年間の自動延長になります。

出所:有価証券報告書

あとロイヤルティ収入に関しては加盟店での売上高に対して数%を徴収するというものになります。各店舗によってその%は異なってきますが、フランチャイズ加盟店関連の売上高の中ではこのロイヤルティ収入が一番ウエイトが高いのではないでしょうか。

営業利益以降の項目についても見てみましょう。今回営業利益は28億円でしたが経常利益になると一気に跳ね上がり61億円と倍以上になっています。ではその跳ね上がった要因というと「助成金収入」が営業外収益で31億円計上されているためです。この助成金収入は「新型コロナウイルスに伴う政府や自治体からの営業時間短縮への協力金や雇用調整助成金」などが含まれています。前年の2021年でもこの助成金収入は発生していましたが、その時は15億円だったので今回はその倍になっておりインパクトは大きいです。

出所:決算短信

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。
全体の総資産としては前年末から△15億円減少しました。そのうち現預が△59億円と大幅に減少しています。この点は次のCFの状況で説明していきます。

出所:決算説明資料

一方増加した項目としては新店舗出店に伴い有形固定資産が+26億円増加しています。店舗に関する建物や器具備品の資産が計上されています。
負債の部に関しては、前年に短期の運転資金として借入をしていた62億円を返済したのでその分流動負債は減少しています。
また社債に関しては償還期限が一年以内に迫っているものが10億円ありますので、負債の区分としては固定負債→流動負債に区分が変わりました。

出所:有価証券報告書

流動比率(流動資産÷流動負債)に関しては106%と一応100%は切ってはいませんが、もう少し高くてもいいかと思います。
固定比率(固定資産÷自己資本)に関しては145%と100%以上になっているので良い数値とは言えません。やはり店舗に関する建物・備品などの固定資産がどうしても膨れてしまう点はあるので、ある程度は仕方ないところではあります。
固定長期適合比率(固定資産÷(自己資本+固定負債))で見てみると98%とかろうじて100%を切っています。目安としては最低このラインは守りたいところです。

3.CFの状況

最後にCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては△57億円となりました。内訳としては営業CFで+87億円、投資CFで△73億円、財務CFで△72億円となっています。ちなみに営業CFと投資CFを合わせたフリーCFは+13億円となっています。

出所:決算説明資料

今回の決算だけではなく過去から「営業CFでしっかり稼ぎそのキャッシュを投資にまわす」というサイクルが実行されているように見受けられます。
過去5年間の数値を見てみると、2020年こそフリーCFはマイナスでしたが、それ以外の年はフリーCFがマイナスにならない程度に営業CFの稼ぎを投資CFにまわせています。

出所:決算説明資料

今年も計画では50店舗新規で出店予定とのことなので、その分キャッシュが必要になります。ただ今のところ今年の新規出店分はほぼ自己資金で賄う予定です。
もちろんそこはキャッシュの状況を見ながら必要あれば借入を検討することもあるかと思います。
投資でキャッシュが目減りして運転資金が足りなくなる可能性もゼロではありません。そのような状況になった場合の備えとして、取引先銀行6行と当座貸越契約・貸出コミットメント契約を結び、総額90億円はいつでも調達できる準備はしています。

出所:有価証券報告書

今後も営業CF→投資CFの循環がしっかり実行されていけば更に事業規模は拡大してものと考えられます。

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算を見ようかな?


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