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横浜冷凍の決算内容を3分で解説!

今回は横浜冷凍の決算内容について見ていきましょう。

「ヨコレイ」の名前で親しまれているこの会社、創業は1948年なので70年以上冷蔵倉庫事業と食品販売事業を続けています。
決算内容はどうでしょうか?

1.PLの状況

最初はPLの状況について見ていきましょう。

売上高は前年比+4%の1,152億円となりました。営業利益は前年比+65.9%の42億円、当期純利益は△8%の33億円となりました。

当期純利益ベースでは法人税等の関係で減益となりましたが、税引前の営業利益・経常利益の各利益項目では大幅な増益となりました。

出所:決算説明資料

また販管費に関しては前年比△29億円と大幅にコスト削減がされています。
要因としては人件費関連で△6億円、支払手数料で△5億円、減価償却費で△5億円といった項目が主な内容です。

出所:有価証券報告書

ではセグメント別に内容を見ていきましょう。

セグメントとしては二つ、「冷蔵庫事業」「食品販売事業」があります。
売上高に占める割合は冷蔵庫事業が26%、食品販売事業が残り74%となっています。
一方営業利益で見ると全く逆になり、冷蔵庫事業が全体の82%と多数を占めています。

出所:決算説明資料

◇冷蔵庫事業
売上高は前年比+6.2%の300億円となりました。
コロナ禍から荷動きは回復し、入庫量・出庫量・在庫数量ともに前年を上回りました。

その結果、保管料・荷役料・通関の全ての項目の売上高が前年から増加しました。

出所:決算説明資料

営業利益に関しては前年比+7.9%の64億円となりました。
エネルギー価格高騰や通関費用によるコスト増加要因がありましたが、それ以上に売上高増加の影響が大きく、金額ベースでは前年比+4.7億円の増加となりました。

出所:決算説明資料

◇食品販売事業
売上高は前年比+3.3%の851億円となりました。
ノルウェー事業を売却したため、その分の売上高64億円は減少要因となりました。
また畜産品の売上高も、まん延防止対策等の影響もあり△24億円減少しました。
一方、水産品に関しては産地事業所や海外パートナーとの連携により販売拡大に成功して、+115億円の大幅増収で他の減収要因を一気に吸収しました。

その結果、金額ベースで見ると売上高は前年比+27億円増加しました。

出所:決算説明資料

営業利益に関しては、前年の赤字△3億円から大幅に増加して13億円となりました。

水産品で+4億円増加したこともありますが、一番大きな要因は先程の売上高でも出てきた「ノルウェー事業の売却」によるものです。
ノルウェー事業は赤字が続いており、それ以外の水産品などは黒字を計上していました。
その赤字事業がなくなったことで一気に黒字化したというわけです。

出所:決算説明資料

◇中期経営計画
2030年までの中期経営計画では、「売上高1,700億円・営業利益100億円」という具体的な数値目標を掲げています。

今回の売上高が1,152億円だったので+47%増加、営業利益は42億円だったので+238%増加とアグレッシブな内容となっています。

出所:決算説明資料

2030年に向けてスタートの年である次年度の見通しは、「売上高,1240億円・営業利益50億円」と置いています。

特に利益率の高い「冷蔵倉庫事業」でどこまで稼げるか?がカギになりそうです。

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。

総資産全体としては前年末から+8億円増加しました。

出所:決算説明資料

流動資産全体では△34億円減少しています。
売掛金や受取手形の売掛債権は、売上高が増加したこともあり+21億円増加しました。
また商品の棚卸資産も売上高の増加に伴い+39億円増加しました。

一方、詳細は不明ですがその他の項目で△82億円の減少がありました。

出所:決算短信

固定資産は全体で+42億円増加しています。
来年竣工予定の設備工事に関連して、建設仮勘定で+33億円の増加がありました。
また投資有価証券では新規取得もあり+23億円増加しました。

負債の部に関しては△17億円減少しています。
買掛金や支払手形の支払債務は売上高の増加に連動し+5億円増加しました。
一方、長期短期合わせた借入金の返済が進み△21億円減少しています。

出所:決算短信

純資産に関しては+26億円増加していますが、株主への剰余金配当で△13億円の減少、当期純利益の計上で+33億円が主な内訳となります。

出所:決算短信

指標に関して見てみると、流動比率(流動資産÷流動負債)は120%と少し低めとなっています。
定常的に借入金があり、短期借入金が174億円残っていることが影響してと考えられます。
ただ100%を下回ってはいないので、危険レベルという訳ではありません。

固定比率(固定資産÷自己資本)は178%と高い数値になっています。
安全数値としては100%を下回ることが望ましいのですが、事業内容から見て大型冷蔵倉庫を取得するなどどうしても固定資産が膨らむ傾向にあります。
今後の事業展開から考えても、今後はますます固定資産は増加していくことが想定されるので、自己資本に厚みを持たせる財務政策が必要になってくるかもしれません。

3.CFの状況

最後にCFの状況について見ていきましょう。

CF全体としては△7億円となりました。内訳は営業CFで+59億円、投資CFで△29億円、財務CFで△38億円という内容です。
また営業CFと投資CFの合計のフリーCFは+30億円でした。

出所:決算説明資料

傾向としては営業CFでしっかり稼ぎ、その資金を元手に投資をするという流れができています。

現在計画されている大型投資案件は三件、「北海道・千葉・大阪」の三拠点になります。

出所:決算説明資料

千葉は既に着工済みで今年2月に竣工予定なのでもうすぐです。
他の二拠点はともに来年2024年1月竣工予定です。

そうなると営業CFの稼ぎだけで投資資金を賄うことは厳しくなってきますので、金融機関からの借入・社債・新株発行など資金調達の必要性が出てくると考えられます。

どの調達手段を使うかは経営判断になりますが、市場金利の動向などを見据えながら慎重に判断していくことになると思います。

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算を見ようかな?


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