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アイモバイルの決算内容を3分で解説!

今回はアイモバイルの決算内容について見ていきましょう。
ふるさと納税でお馴染みの「ふるなび」を運営しているこの会社、決算内容はどうでしょうか?

1.PLの状況

まずはPLの状況について見ていきましょう。
売上高は前年比+20.2%139億円となりました。営業利益は前年比+12.2%37億円、当期純利益は+16.5%26億円と増収増益という結果となりました。また当初計画より売上高は若干減少しましたが、営業利益・当期純利益ともに計画を上回る内容です。

出所:決算説明資料

ここ5年間の推移を見てみると、2020年のコロナ禍が発生した年は売上高・営業利益ともに落ち込みましたが、その後の前年と今回は順調に回復してきています。

出所:決算説明資料

またアイモバイルでは売上原価がほとんどありませんので、売上総利益率に関しては触れずに営業利益率に関して触れていきます。営業利益率としては前年の29.2%から△2%減少して27.2%となりました。利益率低下の要因は販管費増加によるものです。前年比で+19億円と大幅増となっています。内訳としては、給与・賞与などの増加はあるものの一番大きな影響としては「販売促進費+16億円」が効いています。

出所:有価証券報告書

ただその結果として、増収増益という決算内容になっているのでコストを掛けた効果はあったと見て良いかと思います。

ではセグメント別に内容を見ていきましょう。
セグメントとしては二つ、「コンシューマ事業」「インターネット広告事業」があります。売上高の割合としてはコンシューマ事業が約70%と大部分を占めています。営業利益ベースで見てもコンシューマ事業が65%とやはり大部分を占めています。

出所:決算短信

コンシューマ事業はふるさと納税事業の「ふるなび」を代表とする事業内容です。全体の売上高の傾向と同じく、2020年はコロナ禍の影響で売上高と営業利益は落ち込みましたが、それ以降は順調に回復傾向にあります。

出所:決算説明資料

ふるさと納税事業の成長推移を見てみると、ここ4年間で会員数は4倍超と着実に成長しています。また契約自治体の数も4倍超と同様に成長しています。今年の契約自治体数は938で来年は1,200を目標としています。
今の推移状況から考えると十分可能性のある数値だと考えられます。

出所:決算説明資料

2014年にふるなびサービスを開始しましたが、そこからふるさと納税受入額は着実の増加を続けています。市場全体のパイから考えると、まだまだ拡大できる余地はあると考えられるので、今後も販売促進をして認知度を高めていく必要があります。

出所:決算説明資料

もう一つの事業である「インターネット広告事業」についても見ていきましょう。売上高に関してはコンシューマ事業と同じ傾向で、2020年のコロナ禍で一旦落ち込みますがその後回復している状況です。
ただ営業利益に関しては前年比△2.4%と若干落ち込みました。これは今回が悪かったというよりも前年が特需効果などの影響でかなりの好決算だったと考えられます。

出所:決算説明資料

また四半期ごとの推移を見ていくと、前年の4Q以降売上高・営業利益ともに下降していることが分かります。これはコロナ禍からの行動規制の緩和によるインターネット接触時間の減少が要因ではないかと考えれます。

出所:決算説明資料

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。
総資産全体としては前年末から△8億円減少しています。資産の部では現預金が△11億円減少しており影響が大きいです。この点は後のCFの状況で見ていきます。
負債の部に関しては特段大きな動きはありませんでしたが、純資産では動きがありました。今回は自己株式取得→自己株式消去を行いましたので、その影響もあり純資産合計では△13億円減少しています。
自己株式に関しての流れとしては、市場から19億円の自己株式を購入してその後利益剰余金・資本剰余金を原資として20億円の自己株式を消去しました。

出所:決算短信

自己株式取得の目的としては「資本効率向上・株主還元」という内容をリリースしています。確かに剰余金がかなり積み上がっていたので、一旦株主還元すること自体は理にかなっているかと考えられます。

出所:HPのIRニュース

また安全性の観点から指標を見てみると、流動比率(流動資産÷流動負債)は353%と基準の200%を大きく上回っており問題ありません。
固定比率(固定資産÷自己資本)に関しても11%と全く問題ない状況です。
事業内容的に大きな固定資産を保有する可能性も低く、借入金もない状況なので安全性の観点では心配なさそうです。

3.CFの状況

最後にCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては前年から△11億円減少しました。内訳としては営業CFで+32億円、投資CFで△2億円、財務CFで△41億円という内容です。
過去の状況から見ても、営業CFでしっかりと稼ぎ、そのキャッシュを配当や自己株式取得などで株主へ還元するというサイクルが回っているようです。

出所:有価証券報告書

個人的には今後の事業拡大などを考えると、株主還元ではなく投資にしっかりとキャッシュを回していく方が結局は株主の為にもなるのではないかと考えます。事業内容的になかなか大きな投資案件がないのが現状ですが、M&Aを検討するのも一つの手ではないかと考えます。

ただ会社方針としては「稼いだキャッシュは株主還元」を明確にしているので、次年度もしっかり増配して株主還元を予定しているようです。

出所:決算説明資料

今回の決算内容3分解説は以上となります。
最後までご覧いただきありがとうございました!

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