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東宝の決算内容を3分で解説!

今回は東宝の決算内容について見ていきます。
数々のヒット作を生み出してきたこの会社、ゴジラ・SPY×FAMILY・ハイキューなど今回も好調な動員数を記録した映画をそろえてきました。
依然として映画業界で日本のトップを走り続けています!


1.PLの状況

まず最初にPLの状況について見ていきましょう。
営業収入は前年比+16%の2,833億円となりました。
営業利益に関しては前年比+32%の592億円、当期純利益は+35.5%の452億円と各段階損益では過去最高を記録しました。

北米等でも大ヒットした「ゴジラ-1.0」をはじめ、「劇場版
SPY×FAMILY CODE:White」のほか「劇場版ハイキュー」など多くのヒット作が業績に大きく貢献しました。

出所:決算説明資料

それでは各セグメント別に内容を見ていきましょう。
セグメントとしては3つ「映画事業」「演劇事業」「不動産事業」があります。あまり知られていないかもしれませんが、不動産事業も手掛けていて、この事業の営業収入は全体の20%を占めています。

出所:決算説明資料

◇映画事業
営業収入は前年比+22%の1,927億円、営業利益は+53.8%の447億円と大幅な増収増益となりました。
映画館への観客導入数が増加したことはもちろんですが、エネルギー価格の高騰や人件費増加等により2023年6月1日から映画鑑賞料金を改定したことも業績好調の大きな要因となっています。

出所:決算説明資料

ゴジラ70周年記念作品「ゴジラ-1.0」を製作し、日本及び北米等において公開して大きな話題となりました。
そのほか共同製作や配給した作品のうち、「名探偵コナン 黒鉄の魚影」が興行収入100億円超えを記録、「君たちはどう生きるか」「劇場版 SPY×FAMILY CODE:White」「キングダム 運命の 炎」「劇場版ハイキュー !! ゴミ捨て場の決戦」「ミステリと言う勿れ」「劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室 ~』」など多数のヒットが生まれました。
これらのタイトルは一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

出所:決算説明資料

またアニメーションを今後の成長ドライバーと位置づけ、そのアニメ事業を「第4の柱」とすべく自社ブランドの競争力強化に資源を集中し、多面的・重層的・長期的なビジネス展開を図っています。

出所:決算説明資料

◇演劇事業
営業収入は前年比+10.7%の201億円、営業利益は+12.3%の31億円と増収増益となりました。

出所:決算説明資料

大人気コミック「SPY×FAMILY」初のミュージカル化を実現し全席完売、日本初上演として話題となった「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」が満席となりました。
その他「Endless SHOCK(Endless SHOCK/ Endless SHOCK Eternal)」「DREAM BOYS」「チャーリーとチョコレー ト工場」「LUPIN ~カリオストロ伯爵夫人の秘密~」「ABC座星(スター)劇場2023~5 Stars Live Hours~」「Act ONE」「ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド」を上演しました。。シアタークリエにおいては「RENT」「She Loves Me」「SHOW BOY」「M.クンツェ&S.リーヴァイの世界~3rd Season~」「のだめカンタービ レ 」「VOICARION XVII ~ ス プ ー ン の 盾 ~ 」「Yuichiro & Friends -Singing! Talking! Not Dancing!-」 「ATTENTION PLEASE!2」等を上演し、日生劇場では「ラグタイム」「ベートーヴェン」「トッツィー」が大入りとなりました。
また、社外公演として「キングダム」「LUPIN ~カリオストロ伯爵夫人の秘密~」等を全国へ展開しました。
一部公演の中止等が発生したものの、好調なチケットセールスに加え、前年に発生した出演者体調不良による休演もなかったことも好調に推移した大きな要因となります。

◇不動産事業
営業収入は前年比+3.3%の691億円、営業利益は+0.2%の176億円と微増ながら増収増益となりました。

出所:決算説明資料

不動産賃貸事業では、新規物件の取得に加え、その他全国に所有する不動産が堅調に稼働しました。一方で償却費等の費用は増加しています。
また賃貸用不動産の空室率は0.2%となりました。
道路事業では、公共投資が堅調に推移するなか、技術提案等を通じた積極的な営業活動により新規受注や既存工事の追加受注に努めましたが、 採算性の高い工種が減少したことや、労務費・資機材価格の上昇等が影響し、減益となりました。
不動産保守・管理事業では、東宝ビル管理(株)・東宝ファシリティーズ(株)において、新規受注や経費削減に努めたことに加え、延期されていた工事の実施等もあり増益となりました。

◇2025年2月期業績予想
では2025年2月期の業績予想に関しても概要を見ておきましょう。
営業収入は前年比△1.2%の2,800億円、営業利益は△7.2%の550億円と減収減益の見通しとなりました。
今回の最高益を更に更新することは現時点では難しいとの見方となります。

出所:決算説明資料

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。
資産全体としては前年末から+817億円増加しました。
流動資産では△162億円減少しましたが、そのうち現預金で△55億円の減少がありました。この点に関してはあとのCFの状況で見ていきます。
それ以外では現先短期貸付金で△300億円の減少がありました。
この現先短期貸付金は、一定の安全性のある相手先への貸付となりますので、信用リスクは軽微と考えられています。

固定資産に関しては+979億円増加しましたが、そのうち建物・土地関連で+427億円の増加がありました。
不動産賃貸事業がありますので、その事業投資として建物・土地で増加したと考えられます。
それ以外では投資有価証券で+456億円の増加がありました。
これは関連会社株式も含めた有価証券の追加取得のため増加したと考えられます。

出所:決算短信

負債に関しては+206億円増加しましたが、そのうち長期借入金で+18億円、繰延税金負債で+110億円の増加が見られました。
繰延税金負債に関しては、ここ最近の株式市場の高騰に伴い投資有価証券の評価額が上昇したことに起因すると考えられます。

出所:決算短信

純資産に関しては+610億円増加しましたが、剰余金配当△104億円、当期純利益+452億円が主な内容です。
あと株主資本以外の項目として+292億円の増加がありましたが、このうち先ほど触れた投資有価証券の評価が上昇したことに起因して「その他有価証券評価差額金」で+171億円の増加があります。

出所:決算短信

3.CFの状況

最後にCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては前年末から△296億円減少しました。
内訳としては営業CFで+433億円、投資CFで△627億円、財務CFで△116億円という内容となります。

営業CFは税引前利益と減価償却費・のれん償却額で+772億円としっかり稼げています。

投資CFに関しては、子会社株式と関連会社株式取得で△482億円の支出が主な内容となります。

出所:決算短信

財務CFに関しては、毎年ある配当金の支払いで△104億円の支出が主な内容となります。
配当政策は「中計経営計画 2025」において、「配当性向30%以上」という水準を掲げています。
今回の配当は85円/株で、次年度は75円/株の減配の見通しとなりますが、配当性向は30%以上ありますので、このあたりは「中計経営計画2025」の水準を維持するように配慮していると考えられます。

出所:決算説明資料

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算を見ようかな?

マサキタカオ

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