見出し画像

ブックオフの決算内容を3分で解説!

今回はブックオフの決算内容について見ていきましょう。
純利益で過去最高益を出した今回の決算、その内容に迫りたいと思います!


1.PLの状況

まず最初にPLの状況について見ていきましょう。
売上高は前年比+11.3%の1,018億円となりました。
営業利益に関しては前年比+45.9%の25億円、当期純利益は+91.1%の91億円と大幅な増益となりました。ちなみに当期純利益は過去最高益です。

出所:決算説明資料

売上高が堅調に推移したことにより利益も増加しましたが、今回の当期純利益の増加はその他で大きな要因がありました。
それは「法人税等調整額」が大きくマイナスになったことです。
マイナス計上なのでその分利益にはプラスに作用します。
今回はその金額が9億円あり利益が押し上げられました。

出所:決算短信

この「法人税等調整額」は繰延税金資産の評価によって計上されます。
繰延税金資産の発生原因の情報は有価証券報告書に記載があります。
ただ現時点ではまだ報告書が掲載されていないので詳細は分かりませんが、おそらく評価性引当金の計上による影響が考えられます。
BSを見ると繰延税金資産が前年末から8.8億円増加しているので、この増加と連動して法人税等調整額が計上されました。

出所:決算短信

では内容に関して詳細を見ていきましょう。
まずは国内ブックオフ事業ですが、売上高としては前年比+10.9%増と全体の売上高とほぼ同じ傾向です。
また商材別に見てみると、一番売上高が大きい書籍は前年比△4.5%減少しています。しかし他のソフトメディア(音楽・ゲーム他)やトレーディングカードなどの全ての商材で前年比で増加しました。

特にトレーディングカードは+44.8%と大幅な増加となりました。
売上高の構成比としても前年の13.3%から今回は17.6%まで増加しており、その存在感を増しています。
この点は今話題のポケモンカードなどの需要が高まっていることも背景にあると考えられます。

出所:決算説明資料

全体の店舗数を見てみると、2023年5月末時点ではFC加盟店含めて800店舗となりました。前年末比較だと+10店舗増加しました。
29店舗の新規出店がありましたが、閉店が19店舗あったので純増としては10店舗という結果です。

出所:決算短信

ちなみに国内ブックオフ事業だけで見ると、新規出店は11店舗ありました。

出所:決算説明資料

また国内ブックオフ事業で今一番注力している取り組みが「ひとつのBOOKOFF」構想です。
これはどういう取り組みかというと、会員制度や販売・買取のプラットフォーム、それらを支えるシステム等を統合し共通化し、各サービスで蓄積された会員・商品情報、運営ノウハウ等の資産を全てのサービスで活用することによってチェーン全体での取扱高の増加と各店舗における収益改善の両方の実現を目指すものです。
この構想の中心となるのが、2018年6月にリリースした公式スマホアプリを活用した取り組み及びマーケティング戦略で、アプリを起点にリアル・ネット双方でお客様の利用機会最大化を目指しています。

出所:決算説明資料

この構想のキーとなるのが公式スマホアプリなので、登録者数の伸びが重要な指標となってきます。
その点、今回目標としていた600万人を大きく超えて643万人の登録者数を達成しましたので、順調に推移していることが伺えます。

出所:決算説明資料

海外事業としては、アメリカ・フランス・マレーシア、カザフスタンの4カ国に事業展開しています。
アメリカでは2021年3月以降、業績は好調に推移しています。。
現地での本・ソフトメディアの買取・販売が好調で、かつ日本アニメのフィギュアやグッズ、Mangaなどが人気で、エンターテインメント性の高い店舗 としての地位を確立しつつあります。
またSNSやイベントの活用により、顧客とのコミュニケーションや認知を向上して、買取向上につなげています。
マレーシアでは、足元の売上高はコロナ以前の水準を上回り好調に推移しています。
またこの1年間の出店状況としては7店舗の新規出店をしました。
海外事業の全体に対する利益貢献度も年々上昇傾向にあります。

出所:決算説明資料

では2024年5月期の業績予想に関しても少し見ておきましょう。
売上高は前年比+4.1%の1,060億円、営業利益は+0.8%の26億円と増収増益の予想となります。

各事業において積極的に出店を継続していくので売上高は伸長する見通しですが、利益ベースでは電気料金や人件費の上昇等を考慮して前年並の見通しとしています。

出所:決算説明資料

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。
総資産全体としては前年末から+51億円増加しました。

出所:決算説明資料

流動資産は+7億円増加しましたが、そのうち売上高の上昇傾向にあるトレーディングカードなどに関する商品在庫が+22億円増加しました。
一方で現預金は△26億円減少しています。

固定資産に関しては+43億円増加しましたが、新規出店などの影響でリース資産を含む有形固定資産が+26億円増加しました。
それ以外ではPLの状況で触れた繰延税金資産の+9億円の増加があります。

出所:決算短信

負債に関しては+25億円増加しましたが、このうち短期借入金が+15億円増加しました。
あとは固定資産増加のうちリース資産が+15億円増加していますので、この増加と連動してリース負債が+16億円増加しています。

出所:決算短信

安全性の指標に関しても触れておきましょう。
流動比率(流動資産÷流動負債)は162%と目安の200%を下回っていますが、100%以上はキープしているのでとりあえずは大丈夫かと思います。
ただ新規出店が増加するとその分リース債務も増加すると考えられるので、この点は今後注意して見ていく必要がありそうです。

固定比率(固定資産÷自己資本)に関しては112%と目安の100%を上回っているので決して良好とは言えません。
この点に関しても、新規出店に伴うリース資産の増加による影響を受けています。
固定長期適合比率(固定資産÷{固定負債+自己資本})で見ると66%となり目安の100%を下回るのでとりあえずは大丈夫かと思います。

3.CFの状況

最後にCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては前年末から△26億円減少しました。
内訳としては営業CFで+2億円、投資CFで△34億円、財務CFで+5億円という内容です。

出所:決算説明資料

営業CFに関しては、税引前利益で+27億円としっかり稼げていましたが、棚卸資産の増加影響で△21億円ありましたので、その分CFの増加幅が一気に縮小してしまいました。

出所:決算短信

投資CFに関しては、新店舗進出に伴って有形固定資産で△20億円の支出がありこれが大きく影響しています。

財務CFに関しては、運転資金不足を補うために短期借入金が+15億円増加しています。
この点は先ほどの営業CFで触れた「棚卸資産が増加」した分、運転資金が不足したのではないかと考えられます。
この棚卸資産の増減に関しては今後注意が必要です。

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算をみようかな?

マサキタカオ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?