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freeeの決算内容を3分で解説!

今回はfreeeの決算内容について見ていきましょう。
「スモールビジネスを、世界の主役に。」をミッションに掲げるこの会社、個人事業主を中心に事業拡大を進めていますが法人事業も拡大中です。
その決算内容はどうでしょうか?


1.PLの状況

まず最初にPLの状況について見ていきましょう。
売上高は前年比+33.7%の192億円となりました。
調整後営業利益は前年からさらに48億円赤字が拡大し、△71億円となりました。ただこの赤字は予想レンジ内に収まっており、逆に売上高は予想よりも増収した結果となります。
*調整後営業利:営業利益+株式報酬費用+M&Aにより生じた無形資産の償却費用+その他一時費用

出所:決算説明資料

売上高の推移を見てみると、2021年からの成長率は+36〜+37%程度で推移しています。

出所:決算説明資料

また売上総利益に関しても同様に推移しており、+38〜+42%程度の成長率を示しています。

出所:決算説明資料

一方調整後営業利益に関しては少し様子が異なってきます。
前年比較で見ると売上高は+37.4%の増加に対してこの調整後営業利益は赤字幅が前年比で3倍と大幅に悪化しています。
2021年と2022年の比較で見ると、売上高+36.3%の成長率に対して赤字金額はほぼ横ばいで推移しました。

出所:決算説明資料

ではなぜ売上高の成長率以上に大幅に赤字が増加したのか?
それは「販管費の増加」にあります。
前年の販管費145億円に対して今回は160億円と+64%増加しています。
またPLを見ればお分かりのように「販管費>売上高」となっています。

出所:決算説明資料

その販管費の内訳としては3つ「R&D(研究開発)」「S&M(営業・マーケティング)」「G&A(一般管理)」があります。
中でもS&Mの増加が著しく、対売上高比率で見ると前年の53.9%から69.4%と大幅に増加しています。
今回の売上高が192億円だったことから計算すると、S&Mは133億円程度だと考えられます。
またR&Dに関しても大きく増加しており、前年の25.8%から35.7%へ10%以上増加しています。

出所:決算説明資料

S&Mに関してはこの1年間で人員を100名以上増員して顧客獲得へ強化を図っています。
今年10月から始まるインボイス制度など法改正に伴う需要の高まりという背景もあり、S&Mに関しては特に今コストを掛ける時期と判断したと考えられます。

出所:決算説明資料

その結果として従業員20名〜1000名の中小企業への拡販は一定の成果を見せており、ARRの前年比は+47.8%の増加を見せました。

出所:決算説明資料

2012年の創業から11年経過しましたが、これまで事業規模拡大に向けてS&MやR&Dに投資を継続しています。
これらの投資目的はもちろん利益を出すためです。
ではその利益が出るポイントは?となると「売上高500億円」を損益分岐点と捉えています。
ただ調整後営業利益なので、通常の営業利益ベースでいけばまだ足りないことになるかと思いますが、まずは500億円の売上高を目指して中長期成長戦略を立てています。

出所:決算説明資料

売上高500億円へ向けた次年度2024年6月期の業績予想についても概要を見ておきましょう。
売上高は前年比+32.2%の成長を見込んで254億円の予想です。
調整後営業利益は引き続き赤字ですが△86億円〜△78億円の予想です。
売上高は200億円を突破しますが、500億円へはまだまだというところです。仮に毎年売上高が+30%で成長を続けると2027年には500億円を突破できる見込みとなります。

出所:決算説明資料

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。
総資産全体としては前年末から△46億円減少しました。

出所:決算説明資料

流動資産は△45億円減少しましたが、そのうち現預金で△61億円の減少がありました。この点に関してはあとのCFの状況で見ていきます。
他の増減内容としては、売掛金で+5億円増加しましたが、売上高が増加したことに起因すると考えられます。
またその他で+10億円しましたが、これは収益認識のタイミングの問題で、有料会員から年間払いで頂いた収益を期間に応じて計上しているので、費用の部分もその収益合わせて計上する必要があります。
その費用に計上されていない部分がこの流動資産の「その他」に該当するのではないかと考えられます。

出所:決算短信

固定資産に関しては△1億円の減少と大きな動きはありませんでした。

負債に関しては+47億円増加しましたが、そのうち前受収益で+26億円、資産除去債務で+15億円の増加が見られました。
前受収益に関しては、流動資産でも触れた収益認識の関係で、まだ収益として認識されていない売上高の増加分がここに影響していると考えられます。

出所:決算短信

純資産に関しては△93億円減少しましたが、当基純損失の△123億円が大きく影響しています。
一方でプラスで発生した要因では、新株予約権を含めた新株発行関連で+18億円の増加が見られました。
いずれにせよ中長期計画にあるようにあと2〜3年で黒字化を達成しないと債務超過のおそれが出てきます。
創業から11年経過しているので、そろそろということでしょうか。

出所:決算短信

3.CFの状況

最後にCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては前年末から△61億円減少しました。
内訳としては営業CFで△47億円、投資CFで△19億円、財務CFで+5億円という内容です。

出所:決算説明資料

BSの状況でも触れましたが、CFに関してもこれから2〜3年のうちに収支ゼロレベルに持っていけないとこの先厳しい状況になりそうです。
現状では借入金や社債での大きな資金調達は行なっていませんが、今後のCFの状況次第ではその準備が必要になってくるかもしれません。

やはりこれから2〜3年が勝負所ということでしょうか。

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算をみようかな?

マサキタカオ

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