ファーストリテイリングの決算内容を3分で解説!
今回はファーストリテイリングの決算内容について見ていきましょう。
言わずと知れた日本を代表するこの企業、依然としてその成長は止まることなく歩みを進めています。
過去最高の業績を達成したその決算内容に迫ってみたい思います。
1.PLの状況
まず最初にPLの状況について見ていきましょう。
売上収益は前年比+12.2%の3兆1,038億円と二桁増の増収となりました。
営業利益は前年比+31.4%の5,009億円、当期純利益は+25.6%の3,719億円と利益面でも大幅増益と過去最高業績を記録しました。
売上収益で3兆円突破、営業利益で5,000億円突破は初めてです。
収益の柱の多様化がさらに加速し、グローバル全体で稼げる体制がより強固になってきたこと、またユニクロの知名度がグローバルで高まり、各国・各地域で現地の顧客層が拡大したことが大きく影響しました。
更に観光客の需要も取り込めたことも後押しし、非常に好調な業績となりました。
それではセグメント別に内容を見ていきましょう。
セグメントとしては4つ「国内ユニクロ事業」「海外ユニクロ事業」「ジーユー事業」「グローバルブランド事業」があります。
売上収益、営業利益ともに海外ユニクロ事業が一番規模が大きいです。
◇国内ユニクロ事業
売上収益は前年比+4.7%の9,322億円、営業利益は+32.2%の1,558億円と増収、大幅な増益を達成し過去最高の業績となりました。
上期は暖冬の影響を受け、前年比△2%の減収となりましたが、下期は気温が高かったことに加え、シーズン末まで夏物コア商品の在庫を戦略的にもち、マーケティングを強化したことで、需要を取り込むことができ、+13.1%の大幅な増収となりました。
また世界中でユニクロの知名度が高まっていることで、インバウンド販売も好調で増収に寄与しました。
売上総利益率は前年比+2.9ポイント改善しました。これは売上動向に応じた発注のコントロールにより、スポット為替レートの影響が低減し、原価率が改善したことと、下期の値引率が改善したことによります。
売上高販管費率は増収となったことで、人件費比率や広告宣伝費比率が低下し0.5ポイント改善しました。
◇海外ユニクロ事業
売上収益は前年比+19.1%の1兆7,118億円、営業利益は+24.9%の2,834億円と、大幅な増収増益、過去最高の業績を達成しました。
北米、欧州の営業利益率が大幅に改善し、すべての地域で営業利益率は15%以上の水準となりました。
地域別では、グレーターチャイナの売上収益は前年比+9.2%、営業利益は+0.5%と増収、若干の増益となりました。
現地通貨ベースでは、中国大陸と香港は、増収減益となりました。
上期は好調な販売となりましたが、下期は前年のハードルが高かったことや消費意欲の低下、天候不順、地域のニーズに合った商品構成が不十分だったことで、販売に苦戦し、減収、大幅な減益となりました。
韓国と東南アジア・インド・豪州地区の売上収益は前年比+20.2%、営業利益は+24.8%増と大幅な増収増益となりました。
ヒートテック、フリース、ブラトップ、UVカットパーカなどの販売が好調で大幅な増収増益となりました。
北米の売上収益は前年比+32.8%、営業利益は+65.1%と大幅な増収増益となりました。
コア商品を中心に、継続的な情報発信を行ったことで、既存店売上高は大幅な増収と、好調でした。欧州の売上収益
は2,765億円(同44.5%増)、営業利益は465億円(同70.1%増)と、大幅な増収増益となりました。
新店の販売が非常に好調だったことに加え、既存店売上高も2桁の大幅な増収を達成しました。
◇ジーユー事業
売上収益は前年比+8.1%の3,191億円、営業利益は+28.9%の337億円と、増収、大幅な増益となりました。
ヘビーウェイトスウェット、スウェT、バレルレッグジーンズなど、グロー
バルのマストレンドを捉えた商品の販売が好調で、既存店売上高は増収となりました。また、インバウンド販売も好調で、増収に寄与しました。
原価改善の取り組みにより粗利益率が改善したことで、大幅な増益となりました。
◇次年度業績予想
次年度の業績予想に関しても概要を見ておきましょう。
売上収益は前年比+9.5%の3兆4,000億円、営業利益は+5.8%の5,300億円と過去最高業績を更に更新する見通しとなりました。
特に海外ユニクロ事業で大幅な増収増益が見込まれており、やはり海外が事業の中心となっている構図が浮き彫りになっている様子です。
2.BSの状況
次はBSの状況について見ていきましょう。
総資産全体としては前年末から+2,838億円増加しました。
流動資産では+1,865億円増加しましたが、そのうち現預金で+2,902億円の増加がありました。この点に関しては後のCFの状況で見ていきます。
それ以外では棚卸資産で+252億円の増加がありましたが、業績の拡大や店舗数の増加に伴い在庫が増えたという点、また戦略的に夏物商品を増産したため、期末時点での在庫が増加したという点が考えられます。
非流動資産に関しては+972億円増加しましたが、有形固定資産・使用権資産で+513億円の増加がありました。
これは新規出店の増加と自動化倉庫への投資による影響と考えられます。
負債に関しては+889億円増加しましたが、買掛金などの支払債務で+497億円の増加がありました。これは売上収益増加と連動して仕入の総量が増加していることによるものです。
あとは借入金などの金融負債で+129億円の増加、また新店舗出店に伴いリース資産が増加したことにより、リース負債で+124億円の増加がありました。
資本に関しては+1,948億円増加しましたが、包括利益+4,352億円による影響が主な要因です。
あとは剰余金の配当△1,237億円などでマイナス要因が発生しています。
3.CFの状況
最後にCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては前年末から+2,902億円増加しました。
内訳としては営業CFで+6,515億円、投資CFで△822億円、財務CFで△2,690億円という内容です。
営業CFは税引間利益と減価償却費などの償却費の合計で+7,615億円稼げており問題ありません。
投資CFに関しては、海外ユニクロ・国内ユニクロ・ジーユーでそれぞれ新規店舗出店がありましたので、その分投資に関する支出があります。
財務CFに関しては、配当金の支払いで△1,042億円の支出、また各店舗で使用しているリース資産に対する支払いで△1,464億円の支出が主な内容となります。
全体的にはやはり営業CFでの稼ぎ分が大きいため、多少の投資案件があっても健全性やバランスを損なう状況には至らない、非常に良好な状況です。
今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算を見ようかな?
マサキタカオ