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ニトリの決算内容を3分で解説!

今回はニトリの決算内容について見ていきましょう。
増収増益の連続記録や就活生人気ランキングなどの話題のこの会社、今回の決算の結果はどうでしょうか?

1.PLの状況

まず最初にPLの状況について見ていきましょう。

内容を見ていく前提として、今回は決算月の変更があった点は外せないポイントです。従来は「2月」だった決算月が今回から「3月」へ変更となりました。これによって2023年3月期の決算は「13ヶ月」で計算されています。
この点、ご注意ください。

では話を戻します。
売上高は前年比+16.8%の9,480億円と36期連続増収となりました。
営業利益は前年比+1.3%の1,400億円、当期純利益は△1.6%の951億円となり営業利益ベースでは36期連続増益となりました。
ただ公表はされていませんが、12ヶ月ベースで決算を組めば恐らく減収減益となっていたのではないかと推測される内容です。

出所:決算説明資料

10年ごとの店舗数・売上高・経常利益の推移を見てみると、この30年間で店舗数は43倍、売上高は54倍、経常利益は111倍と見事な右肩上がりのグラフを形成しています。

出所:決算説明資料

ではセグメント別に詳細を見ていきましょう。
セグメントとしては2つ「ニトリ事業」「島忠事業」があります。
規模感としてはニトリ事業が売上高全体の85%超、営業利益は全体の95%超を占めています。

出所:決算説明資料

◇ニトリ事業
売上高は前年比+21%の8,217億円、営業利益はほぼ増減なしの横ばいで1,353億円となりました。

島忠もふ含めたニトリ全体の店舗数はこの1年間で101店舗増加しました。
島忠を除けば国内で68店舗、海外で36店舗の増加です。
海外では中国大陸での増加が一番多く21店舗となり、次いで台湾で9店舗の増加となっています。

出所:決算説明資料

この出店数増加が売上増加に貢献していると考えられますが、既存点での増加要因としては客単価の増加の影響が考えられます。
下のグラフで見ると前年比較で客数は△5.6%減少しましたが、客単価は+7.2%増加しました。

出所:決算説明資料

またニトリ事業の売上内容はいくつかに分かれていますが、店舗売上が80%超を占めています。
次いで通販となりますが、この通販は前年比で+28.8%と好調に推移しています。

出所:決算説明資料

ここ4年間の推移で見ると386億円から911億円と2.4倍に増加しています。
その増加の要因としてはライブコマースによる新たな購入への導線が確立しつつあることが考えられます。
このライブコマース視聴者数が累計で260万人を突破するなど今後の成長を期待させる結果があらわれてきています。

出所:決算説明資料

海外事業へ目を向けてみると、やはり中国大陸と台湾を中心とした動きとなってきます。
2022年度は台湾で9店舗、中国大陸で21店舗増加しました。
2023年度はさらに増加する計画で、台湾で+10店舗・中国大陸で+41店舗増加する計画となっておりかなり積極的な動きを見せています。
計画通り出店が進めば2023年度の売上増加へ弾みがつきそうです。

出所:決算説明資料

またその他の地域としてはマレーシアとシンガポールがありますが、中国と台湾と比べると規模は小さいですが店舗増加の計画を立てています。
マレーシアでは今回+6店舗、シンガポールは初出店を果たしました。
2023年度ではマレーシアで+5店舗、シンガポールでは2店舗目の出店を計画しています。

出所:決算説明資料

◇2024年3月期業績予想
売上高は前年比△1.7%の9,320億円、営業利益は+3.6%の1,451億円の減収増益の予想となりました。
今回の決算が13ヶ月計算なので単純比較はできませんが、売上高は若干減収となりますが、営業利益から当期純利益までは増益の見込みとなります。

出所:決算説明資料

売上対策はもちろんのこと、客数を伸ばすためのTV・SNS広告の強化やニトリアプリの機能アップデートにより新規顧客の開拓を図っていきます。
また経費対策としては店舗のセルフレジ導入拡大や配送効率改善なので経費削減を課題として取り組む計画を立てています。
これらの課題への対策が計画通り進めば業績予想に沿った成果が達成できるかもしれません。

出所:決算説明資料

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。
総資産全体としては前年末から+1,499億円増加しました。

出所:決算説明資料

流動資産は+519億円増加しましたが、そのうち棚卸資産で+344億円の増加が見られます。またその棚卸資産のうち商品の増加が+334億円と大半を占めており少し増加が大きい点は気になります。

固定資産は+979億円増加しており、そのうち有形固定資産で+889億円の増加がありました。
建物関連で+175億円、土地で+378億円の増加があり、これは新規店舗に関する投資によるものと考えられます。

負債全体では+646億円増加しており、短期・長期合わせた借入金全体で+549億円の増加がありました。
設備投資資金に関する借入であれば長期借入で対応するはずですが、短期借入金の増加が+480億円と大半を占めているので、運転資金に関する借入金かと推測されます。

安全性の指標に関しても少し見ておきます。
流動比率(流動資産÷流動負債)は149%と目安の200%を割りこんでいるので少し気になるところではあります。
短期借入金が+480億円増加しても短期の運転資金に消費されているので、現預金の増加はほとんどありませんでした。

また固定比率(固定資産÷自己資本)に関しては99.7%とギリギリ100%以下をキープしています。
新店舗に対する投資が進んでいるので、その分固定資産が膨らんでいることが影響していると考えられます。

3.CFの状況

最後にCFの状況について見ていきましょう。

CF全体としては前年末から△19億円減少しました。
内訳としては営業CFで+913億円、投資CFで△1,325億円、財務CFで+369億円という内容です。
また営業CFと投資CFの合計のフリーCFは△411億円です。

出所:決算説明資料

営業CFに関しては税引前利益で1,389億円稼げているのでこの点は問題ありませんが、BSの状況でも少し触れました棚卸資産の増加がやはり気になるとこです。

投資CFに関しては新店舗に関連した有形固定資産の投資が進んでいるため、マイナスで推移しています。
営業CFで稼いだ以上に投資が進んでいるため、フリーCFもマイナスで推移しています。
ただこの点は、将来の成長に対する投資なのである程度は仕方ないマイナスかと考えます。

財務CFに関しては短期・長期の借入金が増加しているのでその分プラスで推移しています。

新店舗に対する投資CFが営業CFのプラス要素へ転換し始めるともう少し楽になりそうですが、それまでは少し時間がかかりそうです。
それまでは借入金で繋いでいく必要がありそうです。

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算を見ようかな?

マサキタカオ


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