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明治HDの決算内容を3分で解説!

今回は明治HDの決算内容について見ていきましょう。
日本に住んでいれば知らない人はいないのでは?というくらい知名度抜群のこの会社、その決算内容はどうでしょうか?


1.PLの状況

まず最初にPLの状況について見ていきましょう。
売上高は前年比+4.1%の1兆1,0541億円と増収となりました。
営業利益は前年比+11.8%の843億円、当期純利益は△27%の506億円と営業利益ベースでは堅調に二桁増、当期純利益ベースでは中国でのヨーグルト事業の減損損失の影響もあり減益となりました。

出所:決算説明資料

ではセグメント別に内容を見ていきましょう。
セグメントとしては2つ「食品」「医薬品」があります。
規模感としては食品が全体の売上高の80%強、営業利益の75%程度を占めて
います。

出所:決算短信

◇食品
売上高は前年比+4%の9,001億円、営業利益は+15.1%の643億円と増収増益となり堅調に推移しました。
原材料コストの増加や宣伝・物流コストの増加はありましたが、価格改定効果などがコストアップ分をカバーし、利益面では二桁増となりました。

出所:決算説明資料

事業別に見ても全ての事業で増収増益となっています。
特に「ニュートリション事業」の成長が売上面・利益面ともに大きく貢献しています。この事業は、乳児用ミルク・スポーツ栄養・流動食・美容に関する商品が含まれています。
乳児用ミルクは価格改定効果に加え、外出機会の増加などにより、液体ミルクが大幅に伸長したことで増収となりました。
またスポーツプロテイン「ザバス」は、粉末タイプが増収となったことに加え、たんぱく質配合量20gに増量した商品の開発により、ドリンクタイプも大幅に伸長しました。
営業利益に関しては、原材料コスト増加のマイナス要因を価格改定効果が上回ったことで大幅増益となりました。

出所:決算短信

このようなプラス要因の一方でマイナス要因もありました。
海外事業は売上高は伸長しており増収となっていますが、営業利益ベースでは赤字が続いており、今回はその赤字幅がさらに拡大しました。
その原因は中国事業にあります。
中国国内での飼料代高騰や生乳価格の下落、また市販牛乳・ヨーグルト事業において価格競争の激化に伴い収益性が悪化しました。
その結果、減損処理を実施するにまで至りました。

出所:HPのニュースリリースより抜粋

ただ中期的にはこの問題を解決すべく、事業・商品ポートフォリオの見直しや構造改革などによって、中国事業は2026年には黒字転換する計画を立てています。

出所:決算説明資料

◇医薬品
売上高は前年比+4.5%の2,061億円、営業利益は+4.6%の227億円の増収増益と堅調に推移しました。
COVID-19ワクチンに関する受託収入は減少しましたが、抗菌薬の需要増に伴う国内医薬品の増加が寄与して増収となりました。
利益面に関しては、原材料コストアップなどマイナス要因はありましたが、営業効率による費用減などでカバーして増益となりました。

出所:決算説明資料

◇2024年度計画
2024年度の計画に関しても概要を見ておきましょう。
売上高は前年比+4.8%の1兆1,590億円、営業利益は+2%の860億円と増収増益と堅調に推移する見通しとなりました。
セグメント別で見ても、食品・医薬品それぞれ増収増益となっていますが、特に医薬品は売上高・営業利益ともに二桁増の見込みとなっています。

出所:決算説明資料

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。
資産全体としては前年末から+690億円増加しました。

出所:決算説明資料

流動資産は+921億円増加しましたが、そのうち現預金で+433億円の増加がありました。この点に関しては、後のCFの状況で見ていきます。
それ以外では、売上高の増加に伴って受取手形及び売掛金の売上債権が+292億円増加しています。

固定資産に関しては△230億円減少していますが、そのうち投資有価証券の売却により△247億円の減少がありました。

負債に関しては+325億円増加しましたが、支払手形及び買掛金で+150億円の増加がありました。
一方で借入金や社債などの有利子負債は、借入金の返済が進んだことにより△144億円減少しています。

純資産に関しては+364億円増加していますが、内訳としては剰余金の配当で△264億円、当期純利益で+506億円、株主資本以外の変動で+112億円という内容です。
株主資本以外の変動には、昨今の円安影響により為替換算調整勘定で+126億円の増加がありました。為替の影響は大きいですね。

出所:決算短信

3.CFの状況

最後にCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては前年末から+418億円増加しました。
内訳としては営業CFで+1,079億円、投資CFで△246億円、財務CFで△437億円という内容です。

出所:決算短信

営業CFは税引前利益と減価償却費の合計で+1,400億円以上稼いでおり問題ない状況です。

投資CFに関しては、有形・無形固定資産の取得で△534億円の支出がありましたが、一方で投資有価証券の売却による収入が+208億円ありましたので、その分支出のマイナスが抑制されました。

財務CFに関しては、配当金の支払いや借入金の返済が進んだことでマイナスとなっています。

全体としては、固定資産関連の投資で大きな支出はあるものの、営業CFの範囲内での投資となっているため、フリーCFはプラスを維持しており上手くコントロールされている印象です。

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算を見ようかな?

マサキタカオ

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