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セブン&アイHDの決算内容を3分で解説!

今回はセブン&アイHDの決算内容について見ていきましょう。
コンビニ業界ではトップを独走中のこの会社、決算内容はどうでしょうか?

1.PLの状況

まず最初にPLの状況について見ていきましょう。
営業収益は前年比+35%の11兆8,113億円と大幅な増収となりました。
営業利益に関しては前年比+30.7%の5,065億円、当期純利益は+33.3%の2,809億円と利益に関しても+30%超と大幅な増益となりました。

出所:決算説明資料

あと参考にEBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却費)についても触れおくと、前年比+2,438億円増加しました。
これは営業利益の増加以外に減価償却費とのれん償却費の増加分+1,249億円が含まれています。
この償却費の増加に関してはリース会計適用の影響が大きいのですが、その辺りの内容は次のBSの状況で触れていきます。

ではセグメント別に内容を見ていきましょう。
セグメントとしては5つ「国内コンビニ」「海外コンビニ」「スーパーストア」「百貨店・専門店」「金融関連」があります。
営業収益・営業利益の規模感から見て一番大きな割合を占めるので「海外コンビニ」です。

出所:決算説明資料

◇国内コンビニエンスストア
営業収益は前年比+2%の8,902億円、営業利益は前年比+3.9%の2,320億円と増収増益となりました。
セグメント別での営業収益は3番手ですが、営業利益で見ると海外コンビニに次いで2番手の稼ぎ頭となっています。

営業収益・営業利益ともに前年比では微増となりましたが、四半期ごとの推移を見ると、この1年間は堅調に推移していることがわかります。
やはりコロナ禍が落ち着きを見せ始めたことがプラス要因として働いているのではないかと推測されます。

出所:決算説明資料

また今後の事業展開としては、既存ビジネスは安定成長を継続しつつ、新規ビジネスへの投資を進めて事業規模の拡大を図っていく考えです。
新規ビジネスはアプリ広告やデータ利用収入を軸に成長拡大をねらっています。

出所:決算説明資料

◇海外コンビニエンスストア
営業収益は前年比+70.3%の88,461億円、営業利益は前年比+81.2%の2,897億円と大幅な増収増益となりました。
セグメント別の営業収益・営業利益ともに1番手の稼ぎ頭です。

今回の大幅な増収増益の要因として「米国Speedway LLC社買収」が大きく影響していると考えられます。
この買収は2021年5月に実施されましたので、前年から影響はありましたが今回はその影響が1年間フルで効いたことが大きいと考えられます。

出所: HPのIRニュースより抜粋

ちなみにこの時の買収価格は2.3兆円とかなりの大型投資となりました。
それだけに今回の決算でその成果が出たことは大きな収穫となったはずです。

出所:決算短信

ではなぜこのSpeedway買収が今回の決算に好影響を与えたのか?
それは「ガソリン価格の高騰」が大きく影響しています。
Speedwayだけではなく米国はガソリンスタンドとコンビニが併設しているスタイルが一般的です。
そのため現在のガソリン価格の高騰により店舗の売上・利益が大幅に増加しました。
またガソリンの販売量も2021年中盤以降は大幅に回復し、コロナ禍前の2019年並みの水準まで戻ってきたので、販売量の面でも高要因が揃っていました。

出所:決算説明資料

今後の海外展開としては北米以外の地域に関しても力を入れいく予定です。
2030年までに30の国と地域へ、2025年までに日本・北米除く地域で5万店以上を目指して事業展開をしていきます。

出所:決算説明資料

2.BSの状況

次にBSの状況について見ていきましょう。
総資産前としては前年末から+1.8兆円と大幅に増加しました。

出所:決算説明資料

この大幅な増加は「リース会計の適用」が大きく影響しています。
国際会計基準や米国会計基準では既に導入されているリース会計ですが、日本ではまだ導入はされていません。
ただ米国子会社は米国基準のリース会計を適用してBSを作成しているため、その結果が連結BSに反映されています。

出所:決算短信

この影響で固定資産の「使用権資産」が+8,748億円増加、流動負債と固定負債の「リース債務」で合わせて+8,772億円増加しています。
このようにリース会計適用によりBSは大きな影響を受けます。
ちなみに現時点の日本の会計基準では強制適用されていませんが、2026年より強制適用される方向で現在調整が進んでいます。
多くの企業が大きな影響を受ける基準改正となりそうです。

3.CFの状況

最後のCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては前年末から+2,598億円増加しました。内訳としては営業CFで+9,284億円、投資CFで△4,132億円、財務CFで△2,703億円という内容です。

出所:決算説明資料

直近5年間の推移で見てみると、営業CFで稼いだCFを上手く投資に回している印象です。またその投資金額も基本的には営業CFの範囲内で投資していることがほとんどなので、フリーCFもプラスになっています。
前年に関してはSpeedwayの買収で2兆円程度支出があったのでフリーCFはマイナスですが、それ以外の年はプラスで推移しています。

財務CFに関しては、有利子負債割合が60%程度と問題ないレベルとなっていますので、現状では大きな懸念はなさそうです。

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算を見ようかな?

マサキタカオ

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