見出し画像

アインホールディングスの決算内容を3分で解説!

今回はアインホールディングスの決算内容について見ていきましょう。
調剤薬局で売上高1位のこの会社、今回も好調を維持しているでしょうか?

1.PLの状況

まず最初にPLの状況について見ていきましょう。

売上高は前年比+13.4%の3,587億円となりました。
営業利益は前年比+5.7%の160億円、当期純利益は+30.2%の92億円と増収増益となりました。

営業利益から経常利益にかけて利益が+10億円増加していますが、内容としては不動産賃借料や業務受託料、補助金収入などがあります。

出所:決算説明資料

ではセグメント別に詳細を見ていきましょう。
セグメントとしては二つ「ファーマシー事業」「リテール事業」があります。規模感としてはファーマシー事業が売上・利益ともに大部分を占めています。

出所:決算短信

◇ファーマシー事業
売上高は前年比+13.6%の3,215億円、セグメント利益は△3.8%の241億円となりました。

売上高に関しては、M&Aを含んだ店舗数が前年から+110店舗増加した影響もあり増収となりました。
セグメント利益に関しては、リテール事業とのコスト負担配分が増加したことも影響して減益となりました。
事業内容に問題があって減益になったわけではないので、この点はあまり気にする必要はないかと考えます。

出所:決算説明資料

◇リテール事業
売上高は前年比+24.9%の256億円、セグメント利益は前年の赤字から+29億円と大幅な増益で12億円となりました。

コロナ禍からの回復により、既存店の売上高も復調したことが売上高増加につながりました。
セグメント利益に関しては、売上高の増加要因に加えファーマシー事業との費用配分の見直しも大きくプラスに寄与しています。

出所:決算説明資料

次は出店状況についても見ていきましょう。
この1年間でファーマシーとリテール合わせて149店舗の出店と39店舗の閉店があったので、増加店舗数としては+110店舗となりました。
そのうちM&Aによる出店が114店舗と大部分を占めています。

またファーマシー事業に関する過去7年間の出店状況を見てみると、今回の+110店舗が一番多い出店数となりました。
コロナ禍の2020〜2021年にかけては店舗数が減少しましたが、それ以外の年は店舗数は増加を続けています。
今回の+110店舗の増加により、コロナ禍前の2019年の店舗数を上回るまでに回復しました。

2024年4月期の計画としては出店62店舗、閉店12店舗により+50店舗の増加を計画しています。

出所:決算説明資料

人材採用に関しても見てみましょう。
過去5年間の人材採用推移を見ると新卒薬剤師を毎年数百人単位で採用しています。ここ4年間は5百人超の採用となっており、2024年採用では650人の採用を計画しています。

また2023年4月時点で全従業員数は14,147人でうち薬剤師は6,331人と全体の約4割を占めています。
今後も新規店舗出店を計画しており薬剤師の人員は必然的に必要になってくるので、積極的な採用は今後も継続しそうです。

出所:決算説明資料

では2024年4月期の計画について概要をざっと触れておきましょう。
売上高は前年比+4.5%の3,750億円、営業利益は△2.1%の156億円の増収減益を計画しています。

+50店舗増加予定により売上高は増加する予定ですが、物価高騰やDX投資、その他人的資本コストの増加を見込んで利益としては減益の見通しです。
また年間配当金としては今回と据え置きの60円/1株の予定です。

出所:決算説明資料

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。
総資産全体としては前年末から+192億円増加しました。

出所:決算説明資料

流動資産は△24億円減少しましたが、内訳としては現預金で△129億円と大きく減少しています。
一方で売掛金で+31億円、棚卸資産で+67億円増加しており、これらの資産が現金化されていないことが現預金減少の一因になっていると推測されます。

またM&Aの件数が前年の24件に対して今回は114件と大幅に増加したことにより「のれん」が+100億円増加しました。
ちなみに次年度のM&A件数は20件と前年並に戻る予定なので、次年度ののれん残高は減少すると考えられます。

出所:決算説明資料

負債に関しては+117億円増加しましたが、主な要因は買掛金で+79億円増加したことです。
これはM&Aを含めた新店舗出店により買掛金が増加したと考えられます。

また金額影響は大きくありませんが、短期・長期合わせた借入金で+2億円の増加が見られます。
買掛金なので短期資金需要が増加したため、短期借入金が+10億円増加しましたが、長期借入金は返済スケジュールに沿って返済を進めているため△8億円減少しています。

純資産に関しては当期純利益の+92億円と株主配当の△19億円などにより、+75億円の増加となりました。

出所:決算説明資料

安全性の指標に関しても少し見ておきましょう。
流動比率(流動資産÷流動負債)は105%となんとか100%はキープしましたが、買掛金などの短期支払いが増加しているので少し注意が必要な点かもしれません。

固定比率(固定資産÷自己資本)は105%と目安の100%を超えています。
M&Aなどを積極的に行っているのでどうしても固定資産は増加傾向にあり、ある程度仕方ない部分ではあります。
よって固定負債も加味した固定長期適合率(固定資産÷(自己資本+固定負債))で見ると96%と100%を下回っているので、ひとまずは大丈夫と考えて良いかと思います。
ただ今後もM&Aは継続すると考えられるので、このような安全性の指標を参考の状況を確認することは必要と考えます。

3.CFの状況

最後にCFの状況について見ていきましょう。

CF全体としては前年末から△132億円減少しました。
内訳としては営業CFで+202億円、投資CFで△222億円、財務CFで△112億円という内容です。

出所:決算説明資料

営業CFに関しては税引前利益で+158億円としっかり稼げていますが、棚卸資産が49億円増加したことはマイナス要因となっています。

投資CFに関しては、通常の有形・無形固定資産投資に加えてM&Aによる子会社株式投資で△146億円の支出があり、これが大きく影響しています。

財務CFに関しては、長期借入金の返済で△89億円と株主配当金△19億円の支出と例年通りの内容となっています。

今回はM&Aの件数が多かったこともあり、投資CFが例年より大きくマイナスになりましたが、次年度はM&Aの件数が今回より抑えられる計画となっているのでCF的には回復する結果となりそうです。

M&Aのような戦略投資はその年によって金額の変動があるので、借入金や社債などの資金調達の選択肢の幅の広さも今後のカギとなるかもしれません。

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算を見ようかな?

マサキタカオ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?