（全文）昔、わたしがロバだったころ。

昔、わたしがロバだったころ。人間になりたかったんだ。

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ある日、キツネと目があった。
キツネは言った。
ロバよ、ロバのままで良いではないか。
それでもロバは聞かなかった。
なぜなら、ロバは窮屈だ。
と。

そして今、ロバは人間となった。
しかし、彼は人間になっても、違う者になりたかった。
それは、ロバだった。
すると、キツネは言った。人間よ、人間のままで良いではないか。
それでも人間は聞かなかった。
昔、わたしがロバだったころ。人間になりたかったんだ。
しかし、人間は窮屈だ。

キツネは言った。
窮屈にしているのは君自身なのではないかな？
と。

それで、彼はハッとして。
やっと、自分は自分のままで生きようと決めたのだった。