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エッセイ、小さな命と幸運と:ライラックぽん

(エッセイ)

腕に虫がとまった。思わず払いのけるとそれはてんとう虫だった。てんとう虫は地面に落ちた。動かなかった。信号が青に変わって歩き出した。心の中で天国の神様仏様に、あのてんとう虫さんをよろしくお願いしますと祈った。

『てんとう虫 腕』検索ワードに入力すると、幸運を呼ぶと書かれていた。フムフム、仕事運アップ? 一瞬喜んでしまったのだが、私はてんとう虫さんを払ってつぶしてしまったのだ。それは良くないと書かれていた。そりゃそうだ。命を一つ奪ってしまったのだから。

思えば、人間も生きてゆくためには動植物の命を日々頂いている。仙人で霞を食べているわけではないのだから。それなのに、運気アップだとか、考えた自分が情けなくなった。

てんとう虫さん、ごめんなさい。

帰り道、あの交差点の地面にはもう何もなかった。てんとう虫さんは天国へ飛び立ったのだと信じることにした。


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(解説)

……と、いうことがありました。

そこで思い出したのがこちらの俳句です。


259.七星と 葉にアブラムシ 幾星霜


ナナホシテントウというてんとう虫がいます。
(ちなみにエッセイの中で私の腕にとまったてんとう虫さんは、ナナホシテントウに似ていました。)

てんとう虫とアブラムシは、食べて食べられる関係です。

星霜は、年月のことで、星は一年に天を一周して、霜は一年に毎年降ることから、とのことです。
幾星霜は、どのくらいの年月が経ったのだろうか、という意味です。


小さな命の尊さと、大きな宇宙の営みが、時の流れの中に共存していて、とても凄いなと感じました。


259.七星と 葉にアブラムシ 幾星霜


本当に。小さな私は小さなテントウムシの命を尊び、小さなテントウムシは小さなアブラムシの命を尊び。そうして、大きな宇宙は永遠の時空の中に成り立ってゆくのかな、と感じました。


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