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無利子・無担保の特例貸付について聞いて来た

無利子・無担保で20万円までお金が借りられるらしい

厚労省のアナウンスで知った方もおられるかもしれないが、今月25日から、生活福祉資金貸付制度の『緊急小口資金』 及び 『総合支援資金(生活支援費)』 について、特例として大幅に条件面などのハードルが下げられた。

こうした行政による貸付金制度はいくつかあるのだが、今回は「新型コロナ騒動によって収入が減った人間に対する特例処置」として、通常のものよりも借りやすくなっていると言えるだろう。

↑念のため、通常バージョンの生活福祉資金の貸し付け条件など。

↑今回の特例に関するプレスリリース(pdf)

という訳で、どういう内容なのか非常に興味があったので、さっそくお役所で詳細を聞いてみよう……と思ったら、実はこれ区役所などは管轄が別で扱っていない。
この貸付については、各地の社会福祉協議会が行っており、区役所や市役所などに行っても話が進まないと思うので注意されたし。

↑社会福祉協議会の公式サイト

↑各都道府県の社会福祉協議会のサイトへのリンク集
最寄りの施設の所在地などはここで調べるのが確実です。

「新型コロナウイルス感染症を踏まえた
⽣活福祉資⾦制度による緊急⼩⼝貸付等の特例貸付が⾏われます
―3 ⽉ 25 ⽇(⽔)より全国の市区町村社協において受付開始― 」
https://www.shakyo.or.jp/coronavirus/shikin20200324.pdf

実際に行って話を聞いてみた……のだが

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この特例貸付について、ちょっと気になったので、具体的にどういう内容なのか知りたくなった。そのためには、実際に窓口スタッフに話を聞くのが一番である。
そこで、今回は取材としてではなく、普通に一相談者として相談しに行ってみる事に。

私の場合は墨田区民なので、墨田区内の社会福祉協議会の施設で相談するという事になる。墨田区の場合は「すみだボランティアセンター」というのがそれで、本館は東向島(スカイツリーの北)、分館が亀沢(両国と錦糸町の間)にあるそうな。

じゃあ近いから亀沢の方に行くかとママチャリを飛ばして突撃してみたところ「分館ではやってません、本館に行ってください」と門前払い。仕方なくそのままチャリで向島を目指す事になってしまった……。
両国から向島って、同じ墨田区でくくって欲しくないほど遠いんだけど。

で、現地に着いたはいいけれど、ここって東向島駅周辺のマッチ1本で全焼し兼ねない超グッチャグチャな住宅街の中であり、もう少し分かりやすい場所に建物を構える事は出来なかったのかと不穏な気持ちに。

さらに、これは墨田区のせいなのか、日本各地でこうなのかは定かではないが、何というか建物全体がかなり年季が入っておられるような気が(とても言葉を選んでいます)。

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その印象は中に入るとさらに増してしまう。この手の貸付金が欲しいひとって、今のご時世おそらく大勢いると思うのだが、とてもじゃないがそれを捌き切れるような人員が割り振られているとは思えないし、建物自体が古めかし過ぎて、効率の良い動線もクソもない。
この情報が変に世間に流れて「タダで金が貰える」的に勘違いするヤツが現れたら、一瞬でパンクしてしまいそうだ。
建物の狭さや、事務所内のスタッフの少なさから言って、電話での問い合わせが殺到するだけで業務が一切進まなくなるんじゃないだろうか。

まだ国は現金支給をためらっており、お肉券だのお魚券だのといったふざけた話ばかりが漏れ伝わって来る状況なので、こういう施設・機関こそ鉄壁の状態にしておくべきだと思うのだが、とてもじゃないがそれが出来ているとは思えなかった。

という訳で、今回は皆さんが無駄に問い合わせの電話などせずに済むように、具体的に何をどうすればお金が借りられるのかを、簡単に解説しておこうと思う。

何をどうすればお金が借りられるのか

まず、この貸付金には2種類ある。

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『福祉資金 緊急小口資金』
こちらは自粛要請などを受けて休業せざるを得なかった、収入の宛てがなくなってしまったといった自営業者らに向けた貸し付け。審査さえ通れば、手続きから実際の振り込みまで1週間とスピーディなのが特徴。

貸付額 20万円以内(一括交付)
据置期間 1年以内
返済期間 2年以内(24回以内)
連帯保証人 不要
利子 無利子
※返済期限までに返済完了しない場合は年3%の延滞利子が発生する

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『総合支援資金 生活支援費』
こちらは失業者向けで、審査から振り込みまで1か月近くかかってしまうものの、3か月間を上限として毎月20万円まで借りる事ができる。返済期限が10年と長いのも特徴。

貸付額(2人世帯以上) 月額20万円以内
貸付額(単身世帯) 月額15万円以内
貸付金交付 申請から交付まで最短20日
据置期間 原則3か月以内
返済期間 10年以内(120回以内)
連帯保証人 不要
利子 無利子
※返済期限までに返済完了しない場合は年3%の延滞利子が発生する

両方とも、まず必要なのは「新型コロナウィルスとの因果関係の証明」である。普段の給料などが銀行振り込みだという場合は最も話が簡単で、身分証明書と世帯全員が載った住民票、それと記帳済みの通帳(手続き当日までの記帳が必要)と銀行印があればいい。

どれくらいの期間の記帳が必要かというと、私が直接聞いたところでは「昨年の11~12月辺りと、今年2月以降くらいの情報が分かれば大丈夫です」とのこと。ようはコロナ騒動が起きる前の収入と、起きた後の収入差が分かればいいようだ。

一点注意が必要なのが、税金や保険料、公共料金の支払いが引き落としではない場合、それらの控えが必要になる。

また給料が手渡しだとか、通帳で証明ができない場合は、通帳の代わりに給与明細や、貰った給料を入金する口座の通帳など、何らかの証明手段が必要となる。

失業者向けの3か月間借りられるという方は、期間が長いだけあって証明する書類が色々と必要で、上に挙げた物の他に離職票・廃業届のほか、福祉協議会が指定して来た書類を用意せねばならない。

これらを用意できれば、後は各地の社会福祉協議会の事務所に相談窓口へ行くだけ。最短で1週間後には20万円が振り込まれる(貰える訳じゃないけど)。

私の場合(審査の実例)

では、取材とは言わずに普通に相談という事で話を聞いて来た私の場合はどうだったのかというと、以下のような事を確認された。

・職業と平時の収入
・コロナ騒動の影響でどのような状況になったか
・その因果関係を説明できるか
・具体的にいくらくらい収入が減ったか
・世帯について(世帯全体の収入も含む)
・返済のアテがあるかどうか

通常時の貸付金の場合、貧困・低収入の世帯でないと貸し付けて貰えないのだが、今回は「コロナ騒動によって収入が減ってしまった」という点が重視されているため、収入の多い少ないはそこまで重要ではないようだ。
それよりも、コロナ騒動との因果関係がどれだけ強いか、及びその証明の方が何倍か重視されているように思えた。

例えば、私が窓口で説明した内容はこのようになる。
※私の実際の状況とは違います

・劇場やライブハウスなどの経営に携わっている
・コロナ騒動以前の月収は25~30万程度あった
・女房も働いていて20万ほど給料を貰っている
・コロナ騒動でイベント事が開催できなくなった
・コロナ騒動以降は収入が15万がいいところという程度に下がった(世帯収入は35~40万円程度)
・騒動が続くといつまで収入があるか分からない
・騒動が落ち着きさえすれば、すぐに収入は戻ると思う

この手のお金を借りるには、ちょっと世帯収入が多いと思うのだが、なんとこんな条件でもあっさりと「緊急小口の方ならばすぐに通ると思います」とのお返事をいただけた。

今回はよりコロナ騒動との因果関係を説明し易いように職業を箱物の運営という事にしたが、実際に世の中にはその手の商売が出来ずに困っている方が多いと思われる。
そういう方は、ぜひお近くの社会福祉協議会に相談してみて欲しい。

また、これは個人的な推測になってしまうが、風俗嬢や風俗店勤務なんて場合も案外審査を通りやすいように思う。なんせ盛り場に人がいない状況なのだから。

流石に公的な救済処置であり、金が欲しいがためにウソを付くというのは許されないが(だから当然私も申し込まない)、本当にこういう状況にあるという場合は、上に書いた必要な書類などを揃えて、変な場所から金を借りるよりも前に、こうした行政の救済処置を頼ってみて欲しい。

ただし、本当にボロイ施設かつ少人数で回しているような状況だったので、電話での問い合わせすらなるべく避けた方がいいと思われる。私も最初は電話で話を聞いてから行こうと思ったのだが、何十分も話中だったので、そもそも回線自体をそれほど用意していない可能性まである。

という訳で、政府の支援内容が固まるまでしばらくかかってしまうと思うので、何とか今ある物を使って生き延びて欲しいなと願う次第でございます。


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