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IoT販売の黒歴史:失敗から学んだ成功への道

はじめに

こんにちは、皆さん。私は製造業向けの経営コンサルタントをしているおおはらです。これまでに色々な経験をしてきましたが、その中でも特に恥ずかしかった話を今日はシェアしたいと思います。この記事を書く理由は、私自身の過去の失敗が皆さんの役に立てばうれしいなと思っているからです。ぜひご参考になさってください。

さて、話は少し前に遡ります。2016年当時、私たちは「これからはIoTの時代だ!」「ビッグデータが未来を変える!」と大いに盛り上がっていました。データをたくさん集めれば何か素晴らしいことができると信じ、IoTツールの販売に力を入れていました。自社のソリューションを広めるために、IoTで工場の稼働状況を見える化するというアイデアを掲げて、コンサルティング活動と並行して営業活動を行っていたのです。

当時の私たちは、工場の稼働状況や生産数量をリアルタイムでモニターに表示できるツールを誇らしげに紹介していました。「これで工場のすべてが丸見えです!」と、自信満々に提案していたのを思い出します。しかし、実際にはそのツールが現場でどう役立つのかを深く理解していませんでした。データが見えるようになっても、それをどう活用するかの具体的なプランがなかったのです。

IoTツール販売の実態

IoTブームの背景

あの頃、IoT(Internet of Things)という言葉が急速に広まり始めました。あらゆるモノがインターネットで繋がり、データを収集して賢くなる未来が描かれていたんです。ビッグデータも同じように注目されていて、「データこそが新しい石油だ」「第4次産業革命」とまで言われていました。この新しい波に乗り遅れてはいけないという思いから、多くの企業がIoTソリューションを開発し始めました。

私たちの会社もその流れに乗り、IoTツールを開発し販売することにしました。工場の稼働状況をリアルタイムで把握し、効率化を図るというコンセプトでした。私たちはこのアイデアに大きな期待を寄せていました。工場が「見える化」されることで、生産の最適化やムダの削減が実現できると考えていたのです。

IoTやビッグデータへの期待感

当時の私たちは、IoTやビッグデータが持つ可能性に過剰に期待していました。たとえば、工場の機械がどの程度稼働しているか、どのラインでボトルネックが発生しているか、これらの情報をリアルタイムで収集し、分析することで劇的な効率化が実現できると信じていました。

「データを集めれば何かが見えてくる」という漠然とした根拠のない期待感もありました。IoTデバイスが収集する大量のデータを使って、これまで気づかなかった問題点や改善点が浮かび上がるに違いない、と。データが増えれば増えるほど、より正確で有益なインサイトが得られると思い込んでいました。

このように、私たちはIoTやビッグデータの未来に大きな夢を抱いていました。しかし、その夢を実現するための具体的な道筋を描くことはできていませんでした。この期待感と現実のギャップが、後々の失敗の原因となるのです。それは、データをただ集めるだけでは価値を生み出すことはできないという現実を痛感するまでには、そう長くはかかりませんでした。

失敗の原因と学び

データの使い方の問題

さて、前章でお話ししたように、私たちはIoTツールを使って工場の「見える化」を進めていました。工場の稼働状況や生産数量をリアルタイムでモニターに表示し、これが未来の製造業の姿だと信じていました。しかし、現実はそう甘くありませんでした。

データ収集の目的とその活用方法の誤り

当時の私たちは、とにかくデータを集めることに注力していました。稼働時間、停止時間、生産数量など、ありとあらゆるデータをセンサーで収集し、それをグラフや表にしてリアルタイムで表示することに夢中でした。これで工場の問題点が一目瞭然になり、すぐに改善できると思い込んでいたのです。

しかし、実際にデータを集めてみると、ただの数字の羅列に過ぎないことに気づきました。確かに、工場のどの機械がいつ動いているか、どれくらいの生産量があるかは分かります。でも、それだけでは何の意味もありませんでした。「このデータをどう活用するのか?」という視点が完全に欠けていたのです。

たとえば、工場の稼働率が低いというデータがあったとしても、それがなぜ低いのか、その原因を突き止めるための分析ができていませんでした。稼働率を上げるために具体的に何をすれば良いのか、データを基にしたアクションプランが全く描けていなかったのです。

また、データの見せ方にも問題がありました。リアルタイムでデータを表示することで、何か大きな変化が起こると期待していましたが、現場の人たちには「だから何?」という反応がほとんどでした。見える化されたデータが、現場の具体的な改善につながらない限り、ただの情報過多に過ぎなかったのです。

この経験から学んだのは、データを集めるだけでは不十分だということです。データを収集する目的を明確にし、そのデータをどう活用するのか、具体的なアクションにつなげるための計画が必要です。そして、現場のニーズや視点をしっかりと理解し、データがどのように役立つのかを現場の人たちと一緒に考えることが重要だということを痛感しました。

教訓と未来へのアプローチ

反省点と教訓

IoTツール販売の失敗から、多くのことを学びました。まず、データの収集だけでは意味がないこと。データを集める目的を明確にし、それをどのように活用するかの計画が必要です。また、現場の視点を持たずにデータを解析しても、現実的な解決策にはつながりません。現場のニーズをしっかりと理解し、その視点からデータを活用することが重要だと痛感しました。

失敗から得た学び

失敗を通じて得た最大の学びは、現場とのコミュニケーションの重要性です。データは現場の改善に役立って初めて価値を持ちます。そのためには、現場の声を聞き、現場の問題を理解し、現場の人たちと一緒に解決策を考える必要があります。データを見える化するだけではなく、そのデータが具体的な改善アクションにつながるようにすることが大切です。

現場の視点を持つことの重要性

IoTツール販売の失敗から、現場の視点を持つことの重要性を改めて認識しました。現場の実際のニーズや問題点を把握し、それに対して具体的な解決策を提供することが求められます。データを活用する際も、現場での具体的な使い方を考慮し、現場の人たちが実際に役立つ形で提供することが大切です。

現在の取り組み

現在、私たちは過去の失敗を踏まえ、より実践的なアプローチを取っています。たとえば、現場の担当者と定期的にミーティングを行い、現場の課題を直接聞き出し、それに基づいたソリューションを提供するようにしています。また、データの見える化だけでなく、そのデータがどのように改善につながるかを具体的に説明し、現場での活用を支援しています。

失敗を踏まえた現在のアプローチ

現在のアプローチは、データの収集から活用までを一貫してサポートするものです。データを収集する目的を明確にし、そのデータがどのように現場の改善につながるかを具体的に示します。言い換えると、改善に必要な指標を設計し、その指標の計算に必要なデータを収集します。そして、データの分析結果を基にした改善策を現場と一緒に考え、実行に移します。こうすることで、データが本当に役立つ形で現場に提供され、具体的な成果が得られるようになります。

読者へのメッセージ:失敗を恐れずに学ぶことの重要性

最後に、読者の皆さんにお伝えしたいのは、失敗を恐れずに学ぶことの重要性です。私たちも多くの失敗を経験しましたが、その失敗から多くを学び、改善を続けてきました。失敗は成長の機会であり、そこから得た教訓は次の成功につながります。皆さんも、失敗を恐れず、積極的にチャレンジし、学び続けてください。それが、成功への一歩となるはずです。

失敗を通じて成長し続けることで、より良い未来を切り拓いていけると信じています。これからも共に学び、成長していきましょう!

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