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「文化財は最高の遊び場」未来の観光を作る新たなチャレンジ

『一緒にEntôに行きませんか』それは突然のお誘いから始まりました。もちろん『いく!いく!絶対行きます!!!』と即答。

しかし、その時は隠岐ノ島にどうやって福岡から行くのかも、海士町をなんと読むのかも知りませんでした。

誘ってくれたのは一般社団法人Intellectual Innovationsの池尾さん。池尾さんとの出会いは2021年の1月に池尾さんが教鞭をとる立教大学観光学部のホテル運営論で私がゲストスピーカーに呼ばれたことでした。『教育と観光』で意気投合し、観光の未来について語る仲間になりました。

観光学部の現実と課題

立教大学のホテル運営論。これは御花を知ってもらえるチャンスだから御花のこといっぱい話そう!と意気揚々と授業に臨みました。

お題は『文化財を遊び倒す』。

御花の100畳の大広間。畳の下には能舞台。

すると、斬新で今まで考えもつかなかったようなアイディアが沢山学生さんから出てきて、とても胸が熱くなりました。

しかし、そんな観光業の希望となるような若者たちが、観光業に就職する上で、選択肢がない、観光業で働く未来が見えないと感じていることも知り、愕然としました。

このままでは日本の観光はどうなるのか!!!

その日から『日本の観光の未来を作る』ことを勝手に使命とし、池尾さんに『なんか一緒にしましょう』としつこく詰め寄り、御花では初めてとなるオンラインインターンにチャレンジしました。

御花インターン一期生の学生さんたち

その内容はこちら

インターンで生まれたプランはこちら

Entôでの出会い

Entôから眺める美しい日の出

池尾さんにはこのインターンプログラムだけでなく、いろいろなところでお声をかけていただき、これまで繋がったことがないような業界の方とも繋がっていきました。そんな池尾さんから『一緒にEntô行きませんか』のお誘い。

Entôの青山さんを紹介したいんですよ、って言われたら即答で行くしかないでしょう。

一緒にEntôに行こうと声をかけた御花のメンバーはデザイナーの竹中くんとマーケの金原さんでした。

この業界の未来を明るいものにするには、他の業界からきてくれた人たちと関わっていくことの大切さを彼らから学びましたし、そこに何か光を感じていました。

まるで絵画を見ているような気分になる客室

そして、そんな私たちの旅の仲間にジョインしてくれたのがサンクレアさんチーム。一見つかみどころがどこなのかわからなかった皆さんですが(笑)、めちゃくちゃ熱く、こんなチーム作りができる代表の細羽さんからは学ぶことがたくさんありました。

また、青山さんは海士町を隅々まで案内してくれて、地元のいろんな方たちのお話を聞かせてもらい、日本の観光の未来がここにある!と思わずにはいられませんでした。

会社を超えて熱い想いを語り合う様子

そんな同じ想いを持った熱いメンバーが、これまでの各お宿の垣根をひょいと超え、Entô x サンクレアx II社x 御花のメンバーで『日本の観光の未来を作ろう!』と盛り上がるまであっという間の出来事でした。

そして、できあがったプロジェクトが今回始動する灯火(TOUCA)です。

未来の観光の灯を作りたい。たとえそれが小さな一つの灯だとしても、そこから広げていけばこの世界は変わる。そんなチャレンジに挑むことにしました。


御花の現在の取り組み

夜の庭園

御花は、日本で唯一国指定名勝に泊まれる宿です。藩主末裔が今も営む宿というユニークネスがあります。18代目という長い歴史をもつ私は、100年後もこの御花を残すには今何をすべきか、を常に考えています。

そんな中から生まれた宿泊プランがこのプランです。

立花家17代/18代が登場するプラン

『生きる歴史に出会う旅』

『文化財は保存と活用』ということをこれまでずっと文化庁の方から言われてきました。でも、一般的にされているのは保存ばかりで活用ができていません。

私にとっての御花は文化財でありながら、もともと立花家の自宅でありました。幼少時代は最高の遊び場でもありました。

『活用』というよりも『遊び倒す』そうすることで、多くの人に文化財にもっと親しみを持ってほしいと思っています。

御花が次に目指すべき姿は文化観光です。

コロナ前の観光は、表面的な観光資源を消費することがメインとなっていて、そこに住む人たちの幸せには結びついていませんでした。

しかし、その消費の仕方に成熟してしまった人たちが次に求めるものは、そこで生活を営む人たちの場所を少しお借りし、あるがままの姿を体験することに変わってきています。

御花が目指す文化観光とは、来訪者が文化に触れることができ、その価値を感じて地域のファンになっていってもらうことです。

『どこの観光地に行っても大差ない』ではなく、その土地にしかないものに出会う旅です。まずはそこを目指すことが100年後も御花がここにあることにつながると思います。

TOUCAの参加者に期待すること

930キロにも及ぶ掘割に囲まれた「水の都、柳川」

観光業・サービス業の人材不足は世界中で叫ばれています。こんなに魅力的なお仕事なのに、なぜみんな離れていってしまうんだろう。

しかし、そこにはやりがい搾取・低賃金・過重労働など課題はたくさんあります。

これまでは、そのことを当事者が大声でいうことをタブー視されてきましたし、私たち観光業を担う者も目を瞑ってきました。

でも、もうそんな時代は終わりにしたい。

それには新しい血を入れることが必要だと思っています。コロナになって休館中に採用したのが、これまでいなかった職種のデザイナーとマーケでした。

初めはお互い何ができるのかもわからず手探りでしたが、他の業界では考えられないようなレガシーがこの業界にはたくさんあることを彼らから教えてもらいました。

参加される皆さんに期待することは、そんな新しい血をこの業界に注ぎ込んでもらうことです。

御花では、この施設のことだけにとどまらず、地域をまきこんだ取り組みにチャレンジしてほしい。

もちろんお題は『文化財を遊び倒す』その先に文化観光の取り組みがあると思っています。

TOUCAプロジェクトへの想い

私のモットーは『人生楽しんだもん勝ち』です。

どんな困難な状況になっても、それを楽しみたい。むしろその壁を乗り越えることにワクワクしたい。

よくいろんな人から『こんな歴史を背負って責任の重さとかに潰されませんか』と言われますが、私にとっては、こんな普通ではない環境に生まれてラッキー、と楽しんでおります。

そんな大人たちが集まってこの業界をアップデートさせたいというのが始まりです。初めてのプロジェクトなのでどうなるかまだまだわかりませんが、そこに一つの灯りが灯っているのは確かです。

この業界から魅力的な人が離れていくこと、興味を持ってもらえないことを諦めたくない。だって、まだまだ可能性がここには溢れているから。

御花には20代〜70代まで、魅力やスキルを兼ね備えた私の自慢のメンバーがたくさんいます。

そんな御花のメンバーと、そしてこれから出会うあなたと、これまでの『当たり前』を変えていきたい。

これしかない、じゃなくてこんなこともできる、世界にしていきたい。そんな、未来を一緒に作っていきませんか。

TOUCAへ参加してみたい方はこちら


https://note.com/i_innovations/n/n0e441e359581


株式会社御花 代表取締役社長 立花千月香

福岡県柳川市出身。旧柳川藩を治めていた立花宗茂の末裔(第18代)。大学卒業後、東京の商社に3年間務める。その後アメリカへ留学しホテル経営を学び、株式会社御花へ入社。2015年に代表取締役社長に就任し、約300年の大名文化を受け継ぐ国指定名勝「柳川藩主立花邸 御花」にて料亭旅館を運営している。受け継いできた文化財のさらなる魅力を引き出すため、「文化財を遊び倒す」をテーマに様々な活用を企画・実施している。

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