八戸のホテル・先祖をたどる旅〜葛藤を終わらせるために⑥
上の記事の続きです。
陽が落ちて少ししてから辿り着いた八戸の宿は、
新幹線の停まる駅から歩いてすぐのビジネスホテルだった。
安さで選んだ割に清潔感のあるいいホテルだった。
一人でホテルに泊まるってのも、
実は初めてだった。
親戚や友達の家に一人で行くことはあっても、
ホテルは初めてだった。
夫と19で出会って、もう42。
あんまり一人旅的な冒険せずに生きてきてしまった。
一人で泊まること自体は全然平気なのだが、
夜中に廊下で男性の奇声がすると、鍵はかけていても人並みにコワイ。
迷わずフロントに電話した。
確認してもらうと人影はもうなかったが、
どうやら酔っ払いらしかった。
八戸は飲み屋が多い、らしい。
それは漁港を持つ大きな町なら皆そうだろう。
駅の近くなら尚更だ。
高知だってそうだ。
夜に弱く、酒がほぼ飲めないに等しく、
泥酔するまで酒を飲む人が現れるまで宴席にいたことがあまりないので、
普通に免疫がない。
私は日本酒やワインの味が好きだし、
賑やかにみんなでする飲酒の楽しみを否定しないが、
泥酔して公共の場で奇声をあげる人には理解がない。
それは直したほうがいい悪癖だと思う。
ストレスフルでそうなったとしても、そんなになるまで呑んでしまう自分がシラフになったときに気がついて恐ろしくないのだろうか、と素直に疑問である。
42のおばさんになっても、
夜には一人で出歩かない。
生きてるものも、生きてないものも、
夜は恐ろしく感じる、
私は生まれて死ぬまで昼行性の動物である。
初日で高知から伊丹、伊丹から三沢まで飛行機で飛び、レンタカーを借りて親戚に突撃して新事実を知り、夕暮れに初めての大きな町の中を運転したり、
とても疲れたはずなのに寝付くまで少しかかった。
初めてを沢山経験すると、なかなか興奮するのだと知った。
ホルモンが減って自律神経の切り替えに悩む世代なのだ。
寝れないと、運転誰も交代できないからヤバい、と不安に思いながら、
眠れたのは夜中の12時になるかならないかだったと思う。
朝の光で目が覚めた。
陽が登る東側に、八戸は海がある。
きちんと眠れて、運転に支障がなければ
海に、
八戸市の種差海岸に行くことにしていた。
母のふるさとは南部の中では内陸で、海には関係ないのだが、
私は種差海岸に普通に観光に行きたかった。
司馬遼太郎が「街道をゆく〜陸奥のみち」で
もし宇宙人が来たら地球の美しい場所として真っ先に案内してやりたいと表現したところである。
私はどうやら過去生が馬だったらしいので、だだっ広い草地の風景が、理屈抜きで好きらしかった。
そして、高知で馴染み深くなった太平洋を、
八戸から眺めたいとも思っていた。
海はつながっている。
日常を置いてはるばると来たが、自分の日常とつながっているものを見たかった。
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