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埼玉県人、高知でそこらへんの草を食う

前日の道草を食う記事の続きである。

ヘッダーの漫画は一昨年奇跡の大ヒットをとばした、

映画「翔んで埼玉」の

魔夜峰央氏が描いた原作漫画(原題同じ)の

カットである。

(ちなみに草を食べる話ではない。東京都民に虐げられている埼玉県民という架空の設定の世界のセリフである)

この映画のヒットの後に

確かTwitter上で、

「高知県民は常にそこらへんの草を食べてる(笑)」旨の

高知県民からの投稿があったと思うのだが、

この記事を書くに当たっては発見出来なかった。


高知県民にとって、

その辺の草と言われるイタドリを調理して

食べることは、

ごくごく普通のことである。

野のあちこちにニョキニョキと生える

旬の春の盛りは勿論のこと、

塩漬けにして保存できるものが、

わりと長い期間スーパーの

産直コーナーチルドエリアに置いてある。

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この草は埼玉の現実家付近にも生えているらしいが、

調理して食べる話は聞いたことがなかった。

というか、その存在すらも、私は知らなかった。

埼玉でも野草を食べる文化は

勿論、高度成長期以前は普通にあったのだと思う。

ただ、東京のベッドタウン化して、

便利さを一番に求める生活をみんなが積み重ねていると、

草を摘んで食べるのは文化ではなく、一部の人のレジャーになった。

私も両親と姉妹で住んでいた町の河原で

ひたすらノビルを摘んだ日があった。

子どもはノビルの味を好まない。

でもあの日はとても幸せな記憶になったので、

私も子どもとそうしようと思った。


高知だけでなく、日本の全国的に生えてる草らしい。 

高知に来たばかりの春に、

このイタドリを下処理したもので、

豚肉と炒めたものを隣の奥様が、

差し入れしてくださったことがあった。

コリコリとした歯触りもよく、豚肉とよく合い、

子どもたちも気に入って

すぐに皿から無くなってしまった。

それ以来、私もイタドリ大好きである。

「うちはイタドリの処理はようせんから、

もう処理してあるがをスーパーで買うてきちゅう。」

(訳:私はイタドリの処理は得意ではないので、もう下処理をしているものをスーパーで買ってきていますよ)

という生粋の土佐人であるお隣の奥様に倣い、

私もイタドリは処理済み購入派である。

一度生を買ってしまったが、そのままダメにしてしまった。

私は、草摘みは、摘み専(摘み専門)である。

そんな言葉があるかは知らないが。

摘むので、誰か調理して欲しい。

アク抜きとか何故か全然アクがなくならない。

私はそんな人間である。

もしくは、

摘んだら洗ってそのまま食べる。

私は、草の味が好きである。

普通に好きなのだ。

子どものころは野菜嫌いなのに、

付け合わせのパセリは好んでよく食べていた。

今も好きである。

今日は自分の畑で、ほうれん草の間引き菜と一緒に、

ナズナの葉を摘んできた。

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冬を越えた、本格的な春の到来である。

大きく広がったタンポポに似たロゼッタの葉がナズナの葉である。

春の七草にも詠まれるように、普通に食せる。

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間引いたのはほうれん草のベビーリーフ。

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根から引き抜かず、地際でハサミで収穫する。

(根を引くと、隣の株も抜けてしまうからだ。と、途中で気がついた。)

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こんなに獲れた。

柔らかくてアクもなく大変美味である。

ナズナの葉もそのまま1人もしゃもしゃ食べていた。ウサギ気分である。

よく洗わないと虫の卵とかついてるので、

食べてみたい人は要注意。

自分の庭や畑を持つと、

草を気兼ねなく摘んで食べられるものだ。

何がどういう育ち方なのか、わかっているから。

ありがたいことである。

さて、昨日摘んだ草は

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その日のうちに熱湯を注いで、

フレッシュハーブティーなどというしゃれた名前のものにしてみた。

ヨモギ、

スズメノエンドウ、

カキドオシである。

もちろんするのは草の味である。

しかし、どの草も実は薬効がある。

別に私は薬効を期待して飲んでいるわけではないのだが、

この草の味が美味だと感じるのなら、

自分の身体の中の傷んでいるところに

その薬効が反応しているのかもしれない。

と、思う。

摘んだ草を洗ってそのまま熱湯注いでお茶にするのは、

単純に、楽しいのだ。

(このハーブティーの楽しみ方は、大学時代に卒論取材でお世話になった環境教育NGOの方に教えてもらった。)

スイバはそのまま、もしゃもしゃ食べた。

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私は、その辺の草を食べる埼玉県人である。

(食べてる草は高知の草であるが。)

映画「翔んで埼玉」を観て

こんなローカルネタ、

埼玉県外の人がみてわかるんかな?

と思ってしまった私は、

アイデンティティがなんだかんだといっても、

22年余り、埼玉の風を受けて育った

正真正銘、埼玉県産の人間なのである。


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