見出し画像

「彗星アルカンティルを追いかけて」第3話(最終話)【創作大賞2024・応募作品】

エピローグ

勇敢で情熱的なクルーたちは、地球に驚くべき情報を届けてくれました。それは、私たちの宇宙開発の未来を大きく変えるものでした。彼らの最後のメッセージは、地球にいる人々に向けた冒険への誘いであり壮大なラブレターでした。



私は母によく連れていってもらった丘の上に行き、満天の星空を見上げました。星は静かに輝いていて、まるで私たちを遠くから見守っているかのようでした。彼らの夢と情熱の光は、永遠に輝き続けるのでしょう。

——自然の静寂に包まれた丘の上で、一組の親子が彗星の物語を語る声が聞こえていました。


第3話:プロジェクト・アルカナ

【30年後】プロジェクト発足


記者会見の会場は熱気に包まれていた。


大勢の記者が集まる会場。
緊張感に包まれ、カメラのフラッシュが絶え間なく光っていた。
ステージ上のスクリーンには、宇宙の映像が映し出されている。

照明が落ちると、前列に並んだカメラのレンズは一斉に壇上に集中した。

ミズキがステージに登り、マイクの前に立つ。
彼女の背筋はピンと伸び、その目には強い意志が宿っている。宇宙開発機構の司令官の白い制服が、その自信と誇りを一層引き立てていた。

「皆さん、本日はプロジェクト・アルカナの発足をご報告いたします」

ミズキの声が会場に響き渡る。

「私たちは彗星アルカンティルへの到達を目指し、未知の領域への挑戦に臨みます。このプロジェクトは夢と希望に満ちたものであり、宇宙の奥深くの謎に迫ることでしょう」

ミズキの目には強い決意と情熱が宿っていた。

記者たちはその姿に圧倒され、彼女の言葉を受け止めた。会場は一瞬の静寂に包まれたが、次第に興奮と期待が広がっていった。

——ミズキの目がキラリと光る。
彼女は深く息を吸い、続けた。

「この冒険には、私たちの最高のチームが参加します」

彼女は壇上に並んだ5人のクルーに順に視線を向ける。

「アリーナ・ヴォロノフ博士、リアム・オコナー、サブリナ・チャン、オマー・エル・ハディッド、ショーゴ・フジワラ。そして」

最後に、中央にいる男性を指し示した。

「船長、カケル・ヤマト」

カケルだ。彼はこのプロジェクトのリーダーとして任命されたのだった。
カケルは制服の肩章を整え、深呼吸をしてから立ち上がった。彼の目には少年の頃と変わらぬ情熱と輝きが宿っているが、その顔つきは昔より遥かにたくましい。

カケルは少し緊張した様子でマイクに近づき、笑顔を浮かべた。

「この瞬間を迎えられたことに、感謝しています」

カケルの声は震えることなく、会場全体に響き渡った。

「これから始まる旅は、未知への挑戦であり、夢の実現でもあります。私たちは彗星の謎への道を切り拓き、宇宙開発の未来へ、希望を繋ぐ使命を果たします」

彼の言葉に、観客席から拍手が沸き起こる。ミズキは微笑み、彼を見つめた。壇上にいる他のクルーたちもそれぞれの決意を胸に、短い挨拶を終えた。


その後、質疑応答の時間が始まった。

「では、質問のある方はどうぞ。」

すぐに一人の記者が手を挙げ、立ち上がった。
彼女は鋭い目をしてマイクを握る。

「このプロジェクトって本当に彗星を追いかけるための本物の宇宙プロジェクトなの? カケルさんの個人的な彗星ラブストーリーじゃないの?」

会場が一瞬どよめき、記者たちの視線が一斉にカケルとミズキに向けられた。カケルは一瞬ためらい、ミズキを見つめた。彼女はゆっくりと頷き、マイクをカケルに渡した。

カケルはマイクを握りしめ、深く息を吸った。
そして穏やかにゆっくりと話し始めた。

「確かに、彗星アルカンティルとの出会いは、私にとって非常に個人的で特別な出来事です。しかし、このプロジェクトは本物ですよ。みんなの夢と希望を背負っていると考えています」

カケルは一度言葉を切り、観客席に視線を巡らせた。

「もう私個人の物語ではありません。宇宙の未知の領域に挑むことで、人類全体に新たな未来の可能性をもたらすのです。私たちの使命は夢を追い求めることだけでなく、それを現実にし、全ての人々と共有することです。それがこのプロジェクトの真の意義です」

記者は黙ってカケルの言葉を聞き、周囲の観客も静かに彼の声に耳を傾けていた。

ミズキも前に出て、カケルに続いた。

「私たちのプロジェクトは、個人の夢を超えた壮大な冒険です。皆さんとともに、私たちはこの旅の先に、新たな未来を切り拓くことをお約束します」

ふたたび拍手が会場を包み込んだ。
彼らの決意と情熱は、会場にいる人々に確かに伝わったようだった。

次に、別の記者が手を挙げた。

「このプロジェクトが、地球に帰還不可能なものだということについて、どのように考えていますか?」

その質問が投げかけられた途端、その場にいる全員に緊張の波が広がった。
熱気が一気に引き締まり、誰もが息をのむようにしてミズキの返答を待っていた。

ミズキは一瞬目を閉じて深呼吸し、マイクをしっかりと握り直して話し始めた。

「確かにこのプロジェクトの性質上、地球への帰還は保証されていません。しかし、そのリスクを冒してでも、私たちには宇宙の未知の領域に追い求めるべき夢と使命があります」

彼女の声は落ち着いていたが、揺るがぬ決意がみなぎっていた。

「我々のクルーはこのリスクを理解し、受け入れています。そして、それぞれが信念と情熱を持ってこのプロジェクトに臨んでいます」

ミズキの返答で会場が静まる中、一人のクルーが前に出た。彼はエンジニアのショーゴだった。ショーゴはマイクを取り、少し笑みを浮かべながら語り始めた。

「正直に言うと、私は昔、カケルの夢を笑ったんだ。彗星と交信したなんて話、信じられなくてね。それが原因でカケルは一度、宇宙飛行士の試験に落ちて……。本当にあれは悪いことをしたと思ったよ」

「ショーゴ、それはもう水に流しただろう。やめてくれ」

「あれがなきゃ、このプロジェクトの発足は5年は早かっただろうね」

カケルがこの日初めて困惑した表情を見せた。
その様子に会場の緊張は少し和らぎ、再び静かな熱気が戻ってきた。
ショーゴは続けて言った。

「でも、今は違います。彼の情熱と真剣さ、そして謙虚さを兼ね備えたリーダーシップを目の当たりにして、本当に驚いたんだ」

ショーゴの言葉に、会場の人々は一層注意深く耳を傾けた。

「カケルの情熱は、本物だ。それは私たち全員に火をつけたんだ。彼の夢が私たちを結びつけ、このプロジェクトに全てを捧げる価値を教えてくれた。アルカンティルへの航海はただの科学探査じゃなく、彼の夢と私たちの情熱が一体となった冒険なんだ」

他のクルーたちも頷き、彼の言葉を支持していた。

「カケルの夢に共感し、その意義を共有することで、私たちは一つのチームになった。大きな代償があることを知りながら、それでもこのプロジェクトに挑むのは、私たち全員がこの夢に賭ける価値があると信じているからなんだ」

ショーゴの真摯な言葉に、会場の雰囲気が一変した。記者たちは深く感銘を受け、その目には感動の色が浮かんでいた。

「……まあ、正直言うと、カケルの恋の行方を見届けるためってのもあるね。生真面目な彼が恋した相手、つまり彗星アルカンティルがどんなもんか見てやりたくて」

ショーゴは少し肩をすくめて、いたずらな笑みを浮かべた。
別のクルーたちも笑いながら続けた。

「そうそう!みんなで彼をアルカンティルのところに送り届けたいんです」
「カケルがこんなに一生懸命なら、応援しないわけにはいかないでしょう?」
「世界初の彗星とのロマンチックなデート、見逃すわけにはいきません」
「それも、私たち全員、特等席で」

「でも、まさか彼の彗星ラブストーリーがプロジェクトの主題になるとは思っていませんでしたけどね」

ショーゴは追いうちとばかりにそう言い捨てて、マイクを返した。
カケルは、もう勘弁してくれと言わんばかりに頭を掻いた。
会場は笑い声で包まれた。記者たちも含め全員が、カケルとクルーたちの強い絆に心を打たれた。もう誰も、このチームの決意と情熱を疑う者はいなかった。

「でも彗星を追いかけるのって、大変そうですよね?」

純粋な興味から生まれたその質問に、カケルは軽く笑いながら、穏やかな口調で答えた。

「もちろん大変です。彗星って早いし、宇宙って広いし、一つ追いかけるだけでも忙しいんですよ。でも、それが宇宙探査の魅力なんです。私たちのチームは彗星アルカンティルの謎を解き明かすために全力を尽くしますよ」

一連のやり取りを静かに聞いていたミズキは、ニッコリ微笑んで言った。

「確かに、カケルの恋心がこのプロジェクトの始まりでした。しかし、今の私たちはそれを超えた存在です。カケルの情熱と信念は、私たち全員に火を灯し、困難に立ち向かう力を与えてくれました」

ミズキはその言葉を語る間、あの丘の星空の下で輝く少年の頃のカケルの姿を思い出していた。

「このプロジェクトは単に彗星アルカンティルへの旅にとどまらず、人間の可能性と絆を信じる壮大な冒険でもあるのです」

ミズキとカケルは目を合わせ、頷き合った。

「私たちは、この冒険を通じて新たな発見と学びを得ると信じています。そして、それを皆さんと共有することが、私たちの使命です。どうか私たちの旅を見守り、応援してください」

その言葉に、会場は拍手に包まれた。
記者たちは、チームの結束とその夢に感動し、プロジェクトへの期待感を新たにした。

カケルはチームに深い感謝の念を抱きながら、その後、宇宙へと旅立つ準備を進めた。彼の心には、ふたたびアルカンティルに会うという強い願いが燃えていた。

   * * *

そして、ついにカケルと仲間たちは長い旅路に出発した。
巨大な白銀の船が青空に浮かび上がり、地球を離れる瞬間を迎えた。

彼らが再び帰ることはないと知っていたが、
人々は夢と希望に輝く目で、空遠くに旅立つ彼らを見上げていた。

   * * *



宇宙船が彗星アルカンティルに追いつくまでには、長い年月がかかった。

船は太陽や惑星の重力を利用して、何度も加速を繰り返した。

——地球を出発して5年後。
木星の周辺で宇宙船の軌道を修正し、カケルたちはコールドスリープを繰り返しながら、アルカンティルを目指し、宇宙の果てへと進んでいった。

【45年後】宇宙の真ん中で


コールドスリープの眠りから覚めると、カケルは動きや感覚の鈍った自分の身体を徐々に慣らしていった。

カケルは、クルー全員のスリープ状態と現在の航海に、問題がないことを確かめると窓の外を見た。宇宙船の窓からは、星々が瞬く無限の宇宙空間が見えた。

『こちら地球、管制室。おはよう、カケル。出発から15年経ったわね、調子はどう?』

カケルは、コントロールパネルの前に座り、無線から聞こえるミズキの声に、安堵しながら微笑んだ。

「やあ、おはようミズキ。もうそんな遠くにきたんだね。でも君の声はいつも近くに感じるよ」

ミズキの声には笑いが混じっていた。

『カケル、覚えてる?私たち、アマチュア無線から始まったってこと』

「もちろん覚えてる。感慨深いよ。こうして今も無線で話しているのは」

——二人の記憶に、初めての出会いの光景が浮かぶ。

(こ、こちらJQ1ZYW、僕は、カケル。き、聞こえますか?)

(ハロー、JQ1ZYW。良好です。私はミズキです。はじめまして)

(よ、よろしく、お願いします)

(緊張しなくて大丈夫よ。君は上手くやれてるわ、カケルくん)

(カケル、君は宇宙に興味ある? 望遠鏡で星を見てみない?)

(望遠鏡を持っているの! 今夜見に行こうよ、ミズキ姉さん)

(いいわね。行きましょう)


これまで彼らの間には数え切れないほどのやり取りがあったが、
この瞬間、二人は同じ景色を見ていた。

「今思えば、あの出会いも奇跡だったんだ」

『ええ、あなたはいつも奇跡と共にいるわね』

彼女のそうした言葉に、カケルはいつもハッとさせられる。

「ミズキ、俺たちはアルカンティルに近づいてるんだね」

『そうね、もうすぐ私たちの夢が叶う時が来るわ』

「君と出会ってから、この旅が始まって、本当に良かった」

『私もそう思うわ。カケル、君は私の勇気よ』

彼女のそうした言葉に、何度励まされてきただろう。
カケルの夢の道のりには、いつもミズキがいた。カケルは深い感謝の気持ちに包まれ、目を閉じてミズキの言葉を胸に抱いた。

「ありがとう、ミズキ。君がいるから、俺は強くいられる。」

『私も同じ気持ちよ。どんなに離れていても私はいつもあなたと共にいるわ。忘れないで』

目を開けると、そこには宇宙の無限の闇が広がっていたが、カケルは少しも孤独だと思わなかった。


   * * *


【55年後】最後の言葉

何度目かのコールドスリープから目覚めたカケルは、コントロールパネルを操作し、地球との通信を行った。

『こちら地球、管制室。おはよう、カケル』

親しみを込めた声が響いたが、その声はいつものミズキとは違う気がした。
どこか違和感があった。

『出発から25年、アルカンティルはもうすぐよ』

カケルは耳を澄ませた。よく似ているが、それはミズキの声ではないとわかった。
胸の奥になにか冷たいものが広がる。

「君はミズキじゃない。誰なんだ?」

短い沈黙の後、答えが返ってきた。

『不安を与えて申し訳ありません、カケルさん。私はミズキの娘、アヤです』

カケルの心臓が一瞬止まったように感じた。
嫌な予感に手が震え、息が詰まる。

『母は数年前に亡くなりました』

――ミズキがこの世を去った。
カケルの夢の終着点を強く思いながら、娘に意思と使命を託したこと。最期は家族に温かく看取られながらその生涯を終えたことをアヤは話した。

クルーがいつも通りに任務を継続できるよう、司令官としてはできるだけミズキのように振る舞うよう言われていたことも。
さらに、アヤは話を続けた。


『母はあなたのことをずっと想っていました。これはあなたに向けた、母の最期の言葉です』

“どうか、この旅の終わりに君が見つけるであろう、美しい未知の世界に、喜びと希望が満ちていますように“


それを聞いた瞬間、カケルの目には涙が溢れて視界がぼやけた。
ミズキの声、表情、手の温もり、すべてが心に浮かび上がり、彼の魂を揺さぶった。

カケルは目を閉じ、深い呼吸をした。彼の心の中で、ミズキの微笑みが輝いているのを感じた。
カケルはそっと涙を拭いながら、もう一度深呼吸をした。

『彼女の意思と使命は私が受け継ぎます』

その声には、ミズキに似た強い決意の輝きがあった。

「ありがとう、アヤ。ミズキはいつも、僕たちと共にある」

『ええ、私が「あなたがた」を必ずアルカンティルへ導きます』

カケルは、胸に満ちる感情を強く感じていた。
悲しみ、喜び、感謝、希望──すべてが一つになり、彼の心を満たしていた。ミズキが意思を継いだ未来へ、カケルも希望を繋いでいくことを誓った。
カケルは窓の外に広がる無限の宇宙を見つめ、進み続けるのだった。


【60年後】再会


──そして、ついにその日が訪れた。


宇宙船は淡い青色と白銀に輝く光の中にいた。
彗星アルカンティルに追いつく瞬間、窓の外、漆黒の宇宙に浮かぶ光景は、言葉に尽くし難い美しさだった。彗星の尾が無数の光の粒を放ち、色を次々と変化させて虹色に輝いていた。それはまるで夜空に描かれた輝く絵のように広がっていた。

カケルはアルカンティルの美しさに胸の高鳴りを感じながら、コントロールパネルに手を伸ばした。指先がわずかに震えたが、彼は深呼吸して心を落ち着けた。


ミズキの言葉が心の中で響く。
――大丈夫よ、カケル。


カケルは穏やかに無線で語りかけた。

「こちらカケル。聞こえますか?」

数瞬の静寂が流れた。
クルーたちはカケルの背後で息を詰め、パネルのモニターを熱心に見つめた。

その瞬間、ノイズ混じりの音が返ってくる。
微かな声が、どこか遠くから響いているようだった。

「……! こちらカケル。僕の声が聞こえますか、アルカンティル」

カケルの心臓は鼓動を速め、喜びと興奮が入り混じった感情が彼を包んだ。
この瞬間をどれだけ待ち侘びたことか。
彼の目には涙が浮かび、声が震えそうになるのを必死に抑えた。

『はいカケル。あなたの声が、聞こえます』

アルカンティルの声は静かで穏やかだったが、その中には深い感動と喜びが確かに宿っていた。祝福するように彗星の光が温かさを帯び、宇宙船の周囲を優しく包み込んだ。

その瞬間、カケルの背後でクルーたちが息を飲む音が聞こえた。
彼らもまた、信じられない思いでその光景を見守っていた。モニターを注視し、声にならない驚きの表情を浮かべた。

「信じられない……これは、奇跡だ」誰かが呟いた。

ショーゴは目に涙を浮かべながらカケルを見つめていた。
「カケル、夢が叶ったな」

カケルは仲間たちに向かって微笑んだ。
彼らの表情には、感動と喜び、そして誇りが満ちていた。彼らはこの瞬間のためにすべてを賭けてきたのだ。

窓の外の光景は、まるで天の川がすぐそこにあるかのようだった。無数の星々が彼らを祝福しているかのように輝いていた。カケルは、心の底から湧き上がる気持ちを抑えきれなかった。

「ありがとう、みんな。僕たちはやったんだ」

仲間たちはそれぞれが互いに目を合わせて、そしてカケルに向かって頷いた。
その目には同じく感動の涙が光っていた。

アルカンティルの声はまるで美しい歌声だった。その透明な音色は喜びに満ちて響き渡り、宇宙の波間に広がった。


『また、あなたに会えて、嬉しい』

「僕もずっと君に会いたかった……!」


  * * *

物語は、カケルとアルカンティルの再会をもって結末を迎える。
彼らの冒険は、遥か宇宙の彼方で繋がり続ける永遠の愛と夢の物語として、未来に語り継がれることとなった。


その後、カケルと仲間たちは、宇宙を旅する天体の謎と宇宙の未知についての調査報告書とともに、プロジェクトの完了のメッセージを打ち込んだ。
カケルは送信ボタンを押したあと、手を窓にそっと触れた。


メッセージパネルにはこう書かれていた。



“ プロジェクト・アルカナのクルー、一同より、無限の感謝と希望を込めて。私たちの旅はここに終わります。しかし、ここから新たな夢が、新たな冒険が、待っています。この報告書が、その第一歩となることを願っています。”

メッセージはさらにこう続く。


“ 地球のみんなへ。私たちはどこにいても、あなたたちと共にあります ”



――そしてメッセージの最後には、このように記されていた。


“ 宇宙の先で待っている “


窓の外では、アルカンティルの光が彼らを包み込むように輝いて長い尾を引き、光り輝く軌跡を宇宙に描いていた。



―「彗星アルカンティルを追いかけて」 fin. ―



最後まで「彗星アルカンティルを追いかけて」を読んでいただきありがとうございました。応援していただいた方、感謝申し上げます。
また他の作品も見て行ってください。

サイドストーリー(ミズキ視点)
サイドストーリー(1)
サイドストーリー(2)
サイドストーリー(3)ラスト

本編
◀︎(第1話:プロローグ)
◀︎(第2話:夢への一歩)

この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?