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Harpa Dei ~天国の記憶~

最近ずっと追いかけているシンガーがいます。「Harpa Dei(ハルパ・デイ)」という聖歌隊ユニットで主に中世のグレゴリオ聖歌を歌っています。4人の実の兄妹です。Harpa Deiというユニット名はラテン語でHarp of Godという意味。

4人で歌っているけれど一つの声のよう。抑揚や強弱の息がぴったりで、まるで天国の領域にチューニングしているような本当に美しい響きです。技巧的に上手なことに疑いはないだろうけれど、難くて複雑な曲を上手く歌おうとしているようには決して聴こえないのです。心を込めて織物を織り上げていくかのように歌っているように聴こえてなりません。

あまりに澄みきった表情と眼差しの4人兄妹。天使的というか。現代を生きる世間人らしさが全くないというか。なんと言えば良いのだろう… 聖書の時代の人のような… すごく不思議な印象を感じさせる。どうしたら、4人兄妹が揃いも揃ってこのような人たちになるのだろう。音楽の英才教育を受けたのだろうか。どんな人たちなのか非常に気になったので、唯一見つかった英語のインタビューを見てみました。あまり詳しくは語っていませんが、エクアドルに渡ったドイツ人宣教師一家に育ち、高校卒業後はそれぞれ巣立ち、違う道を歩んでいたけれど、徐々に今のスタイルになって行ったらしい。音楽の専門的な訓練は一切受けていないというから驚き…。

Harpa Deiさんたちは、中世のラテン語のレパートリーだけでなく、中国、シリア、インド、アフリカ諸国、ジョージア、英語、スペイン、フランス、ヘブライ語などでも歌っています。

地上にはあらゆる線が引かれていて、さまざまな単位や国同士の利害の対立や争いが絶え間なくあるけれど。私たちが生みだされ、戻ってゆく天の国は一つなのかもしれません(わたしはそのように信じたいです)。
彼らの母国語ではない言葉で、そしてクリスチャンの国ではない国の言語でレパートリーを披露しているのは、争いの種となりがちな「国」や「民族」の違いは、ほんとうは無いよということを歌に乗せて表現するという「祈り」なのかなと…勝手に思いました。

なぜ聖歌が美しいのかについて語っていたのが印象的でした。

「歌は霊的な戦いでもある。地上の暴力を押し出す神聖な力を本当に持っていると信じている。」

「Harpa Deiの歌を聴く人々の中には、人生で全く聖歌に触れてこなかったにも関わらず、深く共鳴する人々がいる。なぜ彼らは知らないものを愛せるのだろう。愛するためには知っている必要がある。それは本能的に『知っている』からだ。人間は誰しもどこか共通の、天国の記憶を携えて生まれてくるから。聴衆を見るたび、聖歌は天国の記憶そのものかもしれないと思う」
(以上、意訳です)

歌声に刻まれた祈りの波長は、YouTubeを通しても全世界に届いていくから素敵です。コメント欄では外科医からの書き込みもありました。「難しいオペの前に必ず手を止めて、スタッフ全員でHarpa Deiの曲を聴いている。そうすれば、必ず成功している。素晴らしいインスピレーションをありがとう!」とのこと。amen!

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いつか日本にも来てほしい。

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