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ムンク展の感想

以前、ムンク展に行った感想です。

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会期終了が明日だったので、仕事終わりに滑り込み!セーフ!

観て思ったのは、凄まじいまでに執念とか執着とか思念の強い人。
そして、絵に想いを籠められる人!

幼い頃に、母と姉を亡くし、成人してから父も亡くし、常に死とともにあった。
ほとんどの絵が、心の叫びのようだった。嘆きのようだった。
泣いているようだった。

家族を描いている絵は、慈愛に満ちていた。
優しいその絵たちは、ムンクという人物に親しみを覚えさせた。

ずっとそんな絵ばかり観たかったけれど、ムンクの心は葛藤でいっぱいだったみたい。

特に人妻ミリーとの恋愛は、彼に光悦と地獄を同時に見せた。
五戒全破りみたいな状態。

ドロドロした感情そのものを粗いタッチで擦り付けているようで、愛憎渦巻く第何章かの空間は、決して気持ち良いものではなかった。

人妻ミリーに対しての執着、女性というものに対しての執着、ムンク自身への執着は凄まじいものだった。

それが彼の制作の原動力になっていたようにも思える。
しかし、生涯苦しめるものであった。

母親が早くに亡くなってしまったのもあり、自身の元型イメージを克服できていないかもしれない。

ポートレートをたくさん撮っていたことは知らなかった。
ムンクの母親は、5歳までの記憶と写真だったと思うので、彼にとって写真はまるで魂のうつしのような…特別なものであったと考えられる。

ニーチェを好んでいたようだった。

私もニーチェの《ツァラトゥストラはかく語りき》は読んだ。
「神は死んだ。もういない」
この衝撃的な言葉から始まる本は、最後には超人の誕生に希望を持つ。

非常に勉強になったけれど、生まれるかわからない不確定な存在である超人の誕生のために架け橋になるという考え方で不安にならずに生きるのは難しいと思った。
 
自分が主人公ではない生き方になってしまいかねない。

ニーチェも真理には至らなかった。
ニーチェの言う《神》に代わるものを導きだせなかった。
晩年精神病になり、狂ってしまった。

ムンクの言葉には、おぉっと思わせる言葉がたくさんあった。
確かに、生き生きした人間が描かれていた!

ムンクの絵には、心が籠められていて、型だけのからっぽの絵がなかった。

どの絵にも想いが詰まっていて、
「私の絵は、自己告白である」と言ったように、日記を覗いているかのようで、彼の心の動きが感じられた。

面白かったのは、月の柱というモチーフを繰り返し描いていたこと。
これは、月の光に導かれて次の段階に向かうことを指しているのかな。
ユングとタロットでそんなようなことを学んだと思う。
そこには希望を感じられた。

白赤黒の女は、錬金術を学んでいた友人がいたようなので、ニグレド《黒化》・アルベド《白化》・ルベド《赤化》をそれぞれ表しているかな。

太陽という絵が、素晴らしかった。


叫びは、鮮やかだった。


ムンクという画家は、とても人間的だ。と私には感じられた。

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