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アートは哲学 その①

小学生の頃の話し
私はラムネのガラス瓶の中にあるガラス玉が気になって気になって仕方なかった。
キラキラと屈折した光を集め映るモノで色が変わり本当に美しい。
「これは!どうしてもこの手に欲しい!」
随分と長い時間、試行錯誤したが瓶の中から取り出すことができない・・・

私は意を決して金槌でガラス瓶をたたき割った。

瓶は真っ二つに割れて破片が飛び散った。
そして音を聞きつけてやってきた母親にしこたま怒られる・・・

やっとの思いで手の平に乗せたお宝は薄青色の何の変哲もないガラス玉だった。
ここで私は悟る。

このガラス玉は手の届かないガラス瓶の中にあったからこそ美しかったんだと・・・

そして今度は「危ないから触るな!」と制止された割れたガラス瓶の欠片がキラキラと美しく見えてしまうのだった。

大人になりミニチュアアートの制作過程で何度もこの時の気持ちを思い出す。
自己啓発のみの作品作りを行っているアーティストでは無い以上作品の魅せ方にはとことん拘らなければならない。

薄いガラスのヴェールひとつ挟むだけで作品を見る人の印象が大きく変わるようだ。
台紙の上にただ置いてある作品と額装してある作品では手に取る人の扱いは断然違ってくる。

制作は内なる表現力と向き合い
出来た作品を魅せるために人の深層心理と向き合う

時にはキツくても20年以上アーティストとしてやってこれたのは
こういう面白さがあるからだと思っている。



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