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意味が分かるとゾッとする! 『サイレンス』 秋吉理香子

今、Kindleでは50%ポイント還元キャンペーン中。そこにあった『サイレンス』は、あらすじを読んで気に入ったから購入。この本は800円だから、普段なら8ポイントしかもらえないけど、400ポイントももらえて得した気分♪

あらすじ

しまたまさん―雪之島の護り神。新潟本土の港からフェリーで約二時間、人口は三百人以下で信号機もない雪之島で生まれ育った深雪。アイドルを目指して故郷を離れたが、いまは夢をあきらめて東京の芸能プロダクションでマネージャーをしている。両親に結婚の挨拶をするために実家へ帰省したが、婚約者の俊亜貴は突然失踪…。「しまたまさん」に護られた島から、深雪たちは東京へ戻って結婚できるのか。イヤミスの新旗手が放つ、サスペンス長編。(Amazon.jpより)




複雑な心境で『サイレンス』を読み終えたけど、イヤミスな感じが私好みだった。というか、秋吉さんの作品が好き。犯人、俊亜貴の行方などは読者に教えてくれず、ほのめかして終わる。「言わなくても分かる、よね?」って、作者さんの意地悪な微笑みが見えるようだった。

ベタな展開と設定ではあるのに、トイレを我慢してまで続きを読んだ。結末には、素直に喜べない。表面上は幸せそうだけど、本当は?これは伝統とも言える、ように引き継がれてきたように思う。都会に出ていった女性たちはこうなる運命なんじゃないか?と考えずにはいられない。最後、この伝統?が繰り返されそうな雰囲気が漂った。

都会に憧れて都会で働いたのに、深雪はしおれて存在感が薄いイメージ。里帰りした彼女はキラキラして楽しそう。別人になったようだった。その切替に、都会での暮らし、俊亜貴って言う男がどれだけ彼女を疲弊させてたのかが浮き彫りになる。だから、俊亜貴がいなくなった後、私は「深雪にとってはこれが良かったんじゃないか」と思わされた。

深雪やその周りの人たちに起きたことは、他言無用。そして島で起きたことは、暗黙の了解なのが怖い。

都会の人には理解し難い、田舎ならではのしきたりや常識も描いている。田舎で育ったから、ややこしいルールに従わないといけないこと、都会に憧れる気持ちには共感。田舎育ち、都会育ち関係なく、違う家で育ってきた者同士が一緒になるには、難しいことも価値観が違うこともある。だからこそ、努力して考えや意見をすり合わせていかないとアカンのやろうなって考えたけど、俊亜貴のような男は女性が不幸になる。

ゾッとしたけど、面白かった。

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