アメリカのネットオークションで総額$1555を販売したら、プライスレスな体験ができた話。
カリフォルニア生活も4年目。
いつの間にか荷物が増え、そろそろ家の中を整理しようかと、ネットオークションに挑戦してみたら・・・
1カ月半で$1555を売り上げ、プライスレスな体験をすることができました。
1)アメリカのネットオークション事情
日本なら「ヤフオク!」か「メルカリ」でしょうか。
アメリカには、最大手「Craigslist(クレイグスリスト)」があります。あるはあるんですけど・・・
どうです?このサイト。
ウィキペディアに「最小限のCSSとJavascriptを用いたサイトの構成はとても単純である」と言われちゃうほど。バイヤーとのやりとりがemailになるので、ちょっと使いづらかったです。
一方、競合のOfferUpはこんな感じ。
投稿もバイヤーとのやりとりも、すべてアプリ内で完結でき、なんとなくオシャレなデザインで気分も上がるので、こちらを主に使いました。
ちなみに、どちらのサイトも中古品を売りたいだけなら、無料でサービスを利用できます。Craigslistは不動産や求人など、特定の広告には費用が発生し、OfferUpはアプリ内でのPRサービスが有料です。
12月7日、最初のアイテムを投稿!
さぁ、ここからネットオークション・アドベンチャーの始まりです。
2)初案件で、早くもココロ折れる。
ワクワクした気持ちで、最初に投稿したアイテムがこちら!ピンクで、キラキラがついている、ラブリーなプリンセスベッドです。
一時期は娘がここで寝ていたんですけどね。洗濯物置き場になって久しいので、売ることにしました。
実はこのベッド、去年帰国したお友達にもらったものなので、別にお金をつけて売る必要もなかったのですが。
12月7日、試しに$50で売り始めました。
12月9日、エドゥアルドからメッセージが届きます。
トントン拍子に話が進み、12月11日にエドゥアルドがベッドを取りにくることに。な~んだ楽勝じゃ~んと、油断したのがいけなかったのでしょうか。とんでもない仕打ちが待っていました。
土曜日の朝10時に待ち合わせをしたので、前日にベッドを解体、せっせと掃除し、当日は自宅ガレージの車2台を別の駐車場へ移し、いまかいまかとエドゥアルドの到着を待ちます。
待ち合わせ時間を3分過ぎた時点で、まさかの連絡が・・・!
なぜ誤送信なのか、次のメッセージで意味がわかりました。
なにー!そうだったの?!
結局、2時間半待って送られてきた返事が、こちら。
なんだとこらー!!
・・・と、怒る気力もありません。
ココロが折れた。
ま、そうだよね。
どうせ、そんなもんだよね。
こちらが予定を開けておいたり、動線を気にしたり、ワクワクしたり、子供たちと遊ぶ時間を潰して連絡を待ったり、ガッカリしたりなんてことは、あなたたちは一切気にしないわよね。
エドゥアルドの一件で、私は学びました。
「こちらの予定を優先させること」
「先方の言動に期待しないこと」
心の平穏を保つため、この高飛車スタンスでネットオークションをするんだと、自分自身に誓ったのでした。
3)息子を想う母の行動に、ジーン。
開始早々つまずき、「どうせどうせケッ!」という荒んだ気持ちでネットオークションを続けることになった私。でも、次の案件で早くも「やってよかったー!」と晴れやかな気持ちになります。
きかんしゃトーマスのでっかい駅舎と線路セット。こちらもお友達からもらったものなのですが、でっかいし、あまり遊ばないしで、ガレージに置いたままになっていたものです。
エドゥアルドの件で適正価格について考えさせられたので、最初に設定した$40を$20に変えたところ、すぐにオファーがありました。
12月20日。「まだ売ってる?$10で買いたいんだけど」とナグーナブリーズさんから問い合わせアリ。
$20まで値下げしたばかりなのに半額に値切るなんて、ふてぇ野郎だぜ!と思いましたが、翌日に取りに来てくれるなら、ま、いっか。
よし、売ってやる。(上からです)
ここでラグーナブリーズさん、さらにふてぶてしい言動に出ます。「20ドル札しかないんだけど、おつりある?」ですって。
いやいや、こちらは$20で売ろうとしてるんだから、その20ドル札そのまま渡しなよ・・・という言葉を、私はグッと飲み込みます。
結局、1ドル札数枚と、残りをコインでバラバラと支払われたんですけど、それには事情がありました。
ボロボロの車に乗ってやってきたラグーナブリーズさん、後部座席には2人の男の子がいました。聞けば、まったく同じおもちゃが家に1台あるんだけど、兄弟で取り合って毎日ケンカになっている、と。
そこでもう1つ同じものを買ってあげようと思ったけど、生活は楽じゃなくて、$10捻出するのがやっとだった、と。
ラグーナブリーズさんの着古された服には、目立つ汚れもついていて、自分のことよりも子供たちを優先させていることが安易に想像できました。いいママなんだろうなぁ。
トランクにおもちゃを入れると、後部座席のボーイズと一緒に大喜び。
「安くしてくれて、本当にありがとう。1人に1台あればケンカもしないで、巨大な駅を作って、仲良く遊べるわ。God bless you! God bless you! 」
こんなに激しく神のご加護を祈られたのは、初めてです。
ラグーナブリーズさんが去った後、渡された小銭をジャラジャラとポケットから取り出しつつ『タダであげてもよかったんだけどなぁ』という想いがよぎります。いや、でも、そういうことじゃないよなぁ。
あのおもちゃを捨てなくてよかった。広告を掲載して、ラグーナブリーズさんに発見してもらって、本当によかった。自分がなんだか、ちょっと素敵なことをしたような気持ちになったのでした。
晴れやかな気持ちで、$10、チャリーン!
4)苦戦するもの、すぐ売れるもの。
広告を掲載してすぐに連絡があるものもあれば、連絡は来るけどなかなか販売に至らないもの、一切連絡がこないものなど、いろいろです。
反応がすこぶる良かったのが、こちら!
象印の電気鍋。こちらもお友達から譲ってもらったものなんですけどね(そんなんばっかり)。12月15日に掲載したら、すぐにリリーさんから連絡がありました。
半額に値切られたので、「掲載したばっかりで、もう少し高く売れるかもしれないから待って」と言ったものの、その後は誰からもオファーがなく、あっさりとリリーさんの手に渡ったのでした。
まいっかの気持ちで、$25、チャリーン!
他にも、ドーナツメーカーと、ホールケーキを置いてぐるぐる回すことができるおしゃれなケース(わかります?!)を掲載してみたけど、ウンともスンとも。キッチン用品の中古品を販売するのは、ちょっとハードルが高いのかもしれませんね。
売れたけど、一番苦戦したのがプリンセスベッドです。
問い合わせがあっては音信不通になり、という状態を何人かと繰り返した後、本気で買いたいというビアンカが登場します。
土曜日の9時にピックアップする、と言っていたビアンカ。10時近くになっても音沙汰がなかったので連絡してみると・・・
この時点で断ればよかったんですけどね。
ベッドを持っていって欲しい一心で、待ってしまいました。
11時になっても、来ない。
11時半、13時、13時20分・・・。
おい、ビアンカ、ばっくれか?!
2時22分、やっと連絡が来たと思ったら、言い訳のオンパレードです。
・・・って、んなこと知るかーい!
謝らずに言い訳ばかりって、アメリカ人あるあるだけど、ものすごーくカッコ悪いぞ。
エドゥアルドに続き、ビアンカにも裏切られ、もうベッドは売らずに捨てちまおうかと思った矢先、アレックスが登場します。
「娘のために、どうしてもベッドが欲しい」と連絡してきたアレックス。「金曜日が給料日だから、そこまで待ってくれ」と言います。
年末年始は旅行だからと伝えると「娘のために必要だからホールドしておいて」という本気っぷり。そんなアレックスの好感度は激上りで、「生活が厳しいから少し安くできないか」と言われたら、値下げするしかありません。
約束の日。アレックスは奥さん、娘ちゃんを乗せた車で時間通りに登場し、すぐに$20を渡してくれました。自らせっせとベッドを車に運び入れ、半ば強引にトランクを閉めたら、ニコニコ笑顔でお別れ。
「娘にどうしても必要だったんだ。サイズもいいね、完璧だ。安くしてくれて、本当に助かったよ。ありがとう!God Bless You!」
学生結婚なのかな。ものすごい若い夫婦で、頑張って働いて、一生懸命子育てしている感じが伝わってきました。
このプリンセスベッド、8人から問い合わせがあり、エドゥアルドとビアンカには嫌な想いをさせられたけど、最終的にアレックスに買ってもらえてよかったなぁ。
結果オーライで、$20、チャリーン!
5)少年の人生を変えた、かもしれない。
最後にして最大の案件、ピアノです。
12月にRhodes(ローズ)というエレクトリックピアノを購入したので、元々持っていたアップライトピアノを売ることにしました。
素敵でしょ?KAWAIのコンソールピアノで、カリフォルニアに来てすぐ、$1800で購入したものです。
さすがにネットでは売れないかも・・・と思っていたので、最終的には楽器屋さんに買い取ってもらうつもりだったんです。でも意外や意外、ちょろちょろと問い合わせをもらったんですよね。
いずれも試奏まではいたらなかったのですが、1月17日 7:09AM、ついに本気モードのリ・ユーさんという方から問い合わせが入ります。
すると今度は、同日8:49AMにクリスティという方からも連絡が。「$1500でピアノを買いたい」と、こちらもガチガチの本気モードです。
双方に別のバイヤーの存在を伝え、やりとりを続けると、どちらも購入価格としては$1500を考えているというではありませんか。ちと想定より安いけど、ま、いっか!
このタイミングを逃したら、ずっと売れないかもしれませんからね。こういうときは、タイミングと決断力が大切です。
問題は、どちらに売るか。
最初に問い合わせをもらったのはリ・ユーさんでしたが、「先生に試奏してもらいたいから、日程調整に時間がかかる」と。一方のクリスティは「今日これから試奏しにいきたい!」というではありませんか。
なんという急展開ww
実はクリスティには、母としての熱い想いがありました
わかる!わかるよ、クリスティ~(涙)!!
「同じ母として、あなたを尊敬します。今日は空いてます、ウェルカムです。息子さんを連れてピアノを弾きにきてください」と返信すると、昼過ぎにクリスティとご主人、息子さんの3人が我が家にやってきました。
息子さんは小学校高学年、かな?
ピアノを見て、目をキラキラ輝かせている。
「好きなだけ弾いて」というと、さっそく椅子に座り、モーツァルトのピアノソナタ、バッハのメヌエット、平均律、ベートーヴェンのエリーゼのために・・・と、次から次へと、定番クラシック曲を披露してくれました。
「あれー、身体が覚えていると思ったんだけど、おかしいなぁ!」「前はもっと上手に弾けたんだけどなぁ!」と、照れくさそうにしていた息子さん。
謙遜してたけど、とても上手だったよ。
「お母さん、僕、このピアノがいい!うん、このピアノしかないよ!」
息子さんの音楽への情熱が戻って、クリスティも嬉しそうでした。
1月17日、連絡をもらったその日に試奏し、購入を即決。すぐにピアノ配送が手配され、19日にはクリスティの元へと旅立っていきました。
運命を感じながら、$1500、チャリーン!
結びに・・・
アメリカでネットオークションをやってみたら、1カ月半で$1555を売り上げることができました。正直、手間もかかったし、嫌な想いもしたし、儲かった感じはしません。
でも、私が販売したアイテムを通じて、兄弟喧嘩が減ったかも。食卓がホットになったかも。お嬢ちゃんが、お姫様の気分で眠れるようになったかも。そして、将来のピアニストが誕生するきっかけになった・・・かも?!
世の中、いろんな人がいますね。普段だったら出会わないような人たちと、物品の販売という交差点ですれ違い、彼らの人生ドラマを垣間見ることができた、その体験はプライスレスだと感じています。
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