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気候変動を「クライメート・チェンジ」とボカすのを辞めます宣言

 物事が変化するのは当たり前。その変化と、現代の環境の変化(Climate Change)は同じなのでしょうか。

 クライメート・チェンジ(Climate Change)という言葉に、そう疑問を投げかけたのは世界的に有名なカナダの作家マーガレット・アトウッド氏。2015年のことだった。

 5月の中旬、英誌『ザ・ガーディアン』はメディアとして、現在の気候変動の深刻さをより的確に伝えるために、今後は「クライメート・チェンジ」ではなく、より危機感のある言葉に変えることを表明した。

 クライメート・チェンジ(Climate Change)ではなく、クライメート・クライシス(Climate Crisis)。グローバル・ワーミング(Global Warming)ではなく、グローバル・ヒーティング (Global Heating)。

 同誌の編集長キャサリン・ヴァイナー氏はこう語っている。

「クライメート・チェンジという言葉は、どこか受け身な言い回しで、その深刻さを矮小化させてしまう傾向がみられます。科学者たちは人類にとっての大災害だと話している時に、それではあまりにも危機感が感じられません」。

 気候変動にまつわる言い回しを変えようとしているのは、同誌だけでなく「この分野の科学的専門家や、国際連合(UN)からイギリス気象庁(Met Office)まで数々の団体も」だと彼女は語っている。

「気候変動は、もはや ”未来に起こりうる” 問題ではありません。いま起きている問題として捉えるべきです」

 彼女は、そのことを共通認識として成り立たせることが非常に重要だと強調している。

 メディアが言葉を「ボカす」と言えば、日本でも性犯罪を「痴漢」「いたずら」といったボカし言葉で表現してきたことが、大衆の性犯罪への意識を低くしているという指摘があがっている。それとこれって、無関係ではない話だと思う。

 問題に対し、メディアが、影響力のある人が、どう切り取り、どう表現するか。

 HEAPS Magazineでいま、気候変動についての特集を発信しているので、ぜひご覧いただけますと幸いです。(本当は、世界環境デーの6月5日に配信したかったのですが、色々あって今週末に公開になったようです)

 今年の1月くらいから書き溜めていた気候変動に関連する記事を、「特集」としてバンドルして、一気に発信することに。全部で7−8本あります。

1、NYのリーダーは14歳「ひとりでも続ける」10代の“毎週金曜日”は現在進行形〈#fridays4future〉
2、「声をあげる」だけじゃない。10代の気候変動アクティビズムをメインストリームに押しあげた高校生〈ゼロ・アワー〉の毎日
3、誰も報じてくれない大気汚染。26歳が〈無料公開データ〉ではじめる市民革命「僕たちの国に、きれいな空気を取り戻す」
6、トップインフルエンサーとNPOがお金の話抜きで組む。次世代に向けたファッション展示会「環境に配慮しなかったから着る服」
7、ファッションとカルチャー誌も反応。トップクリエイターが参画、創刊された“気候変動マガジン”『Atmos』『Hot Hot Hot!』

どの取材も刺激的だったのですが、中でも「3」のマケドニア出身のエンジニアの男の子とのスカイプインタビューは、なんだか感慨深いものがありました。これについてはまた後日、書いてみたいと思います。

あ、追加で、最後にまた、ガーディアンの言葉ボカしません宣言について、もう一個。同誌は今年、アメリカで相次いで人工妊娠中絶を制限する州法が成立していることを受けて、女性の人権を守るため、これに関する言葉を変えることも表明しています。


 




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