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モノポリー、それは非情の資本主義経済を学ぶうえで、この上ない教材ゲームである。

新年あけましておめでとうございます。
昨年末はNYに残り、様々なホームパーティーに参加して過ごしたのですが、どのパーティーでも「ボードゲームをやろう」という流れになり、久しぶりにUNOやジェンガ、モノポリーといった卓上ゲームに触れることができました。

ホームパーティーって、最初から最後まで「会話」が中心になるケースと、食事が終わったら「ゲームしようよ!」となるケース、色々あるかと思いますが、この年末はどういうわけか「ゲームしようよ!」の展開が多く。

国や育った環境が違えど、みんなで楽しめる。そんな卓上ゲームの素晴らしさに改めて気づいた年末でした。

さて、あるパーティーで、トイ・ストーリー4版のモノポリーゲームに出くわし、昨年モノポリーの記事を書いたことを思い出しました。ゲームに参加してみて改めて、日本で慣れ親しんだ「人生ゲーム」との違いを実感いたしまして。

世界中で愛され続けている米国発のボードゲーム「モノポリー」。日本では「人生ゲーム」のほうが有名だが、人生の紆余曲折をテーマにしている点や、運と知力で戦う点、老若男女が参加できる点など、大枠のコンセプトはよく似ている。
これまで時代とともに様々なバージョンが登場しており、「スター・ウォーズ」「ソニック」「マリオ」とのコラボ版のほか、昨年はミレニアル世代の消費傾向を面白おかしくゲームに落とし込んだ「モノポリー・フォー・ミレニアルズ」も発表されている。

とまぁ、実に多種多様なモノポリーゲームがあるのですが、一貫しているルールは「一人勝ち」が賞賛されていること。
この点で、すごろく式の人生ゲームとは大きく異なります。

まず、一般的なモノポリーのルールについておさらい。「モノポリー(独占)」という名の通り、資産を独占し、他のプレイヤーを破産させたプレイヤーが勝者となる。
プレイヤーが目指すのは、不動産の取引を通して、誰よりもお金を稼ぐこと。自分以外のプレイヤーからレンタル料を徴収するといったことを繰り返し、富を独占していくのだ。つまりは一人勝ちを賞賛するものであり、非情の資本主義経済を学ぶうえで、この上ない教材だといえるだろう。

また、記事を書くにあたりモノポリーの誕生について調べたのですが、それが面白かったぞ、というのも思い出しました。

一般的に、モノポリーの誕生は「1935年」とされていますが、実はその前にモノポリーの原型を作った人がいて、それはそれは”アメリカらしい” 搾取のストーリがありました。

モノポリーの原型を発明したのは米国人女性。作家で学者もあったエリザベス・マギーという方が「the Landlord’s Game(地主ゲーム)」というのを20世紀初頭に作ったそうです。(1904年に特許取得)

彼女は、強者による「市場の独占」に反対を唱えていた人物で、特に不動産の独占は貧困を拡大させる元凶だとし、このゲームを作ったそう。

コンセプトは「地主が土地を独占していくことで、いかにして貧困が拡大するのか」をゲームを通して学ぶこと。

ゲームを通して独占の問題点をあぶり出し、「だから土地は国民の共有資産であるべきで、平等に与えられるのが好ましい」の結論に、より多くの人を導いていくのが彼女の狙いだったそうです。

つまり、原型は現在のモノポリー(独占)とは逆、一人勝ちを奨励するものとは、反対のコンセプトだったわけです。

それがのちに、とある”あざとい”人物によって、アレンジされーーー。

のちにチャールズ・B・ダロウという男性が、マギーの作ったゲームを現在の“一人勝ち賞賛ゲーム”にアレンジして販売。彼は「自宅の地下室で独りで作った」と主張し、パーカー・ブラザーズという玩具メーカーに権利を売り、ゲームデザイナーとして史上初の億万長者になったーー

この「主張したもの勝ち」なところや、どこまでも「資本主義の国」であるところが実にアメリカらしいな、と。

ちなみに、エリザベス・マギーは、特許の取得とその手続きにかかった弁護士費用のほうが、ゲーム発案の収入よりも大きく、発明による儲けはないに等しく、他界するまで金銭的な富には縁がなかったそう。

このエリザベス・マギーの話、前々から米フェミニスト界(特にアカデミック方面)では、知られていたそうですが、一般的にはあまり認知されていなかったとか。

近年は、NASAを支えた知られざるヒロインたちについての伝記映画『ドリーム(原題:Hidden Figures)』しかり、歴史の中で過小評価されてきた偉大な女性たちのストーリーが積極的に語られるようになってきているので、いずれ、エリザベス・マギーの話も映画化されたら面白いんじゃないかなーと。

エリザベス・マギーが影響を受けた「ジョージズム」という政治経済的思想・イデオロギー(土地は人類全体の共有財産である)も興味深いで、この辺にも触れた、伝記映画を期待しております。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%82%BA%E3%83%A0

もしも、土地が人類の共有財産だったらーー。


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