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差別化と低コスト化は両立できるか?ーー「バリューイノベーション」とは

ビジネスでは、ライバル企業との差別化をいかに図るかが重要です。

一方で、差別化ではなく、低コスト化も重要という声もあります。

さて、差別化と低コスト化は同時に実現できるのでしょうか?


二律背反を克服する「バリューイノベーション」とは?


バリューイノベーションとは、コストを下げながら、顧客にとっての価値を高めることで、新しい市場を開拓する戦略です。この戦略は、W・チャン・キムとレネ・モボルニュが提唱したブルーオーシャン戦略の基本的な考え方です。

一般的に、低コスト化と差別化はトレードオフの関係にあります。つまり、コストを下げると、品質や機能が低下し、顧客の満足度も下がります。逆に、差別化を図ると、コストが上昇し、価格も高くなります。このように、低コスト化と差別化は相反する戦略と考えられがちです。

しかし、バリューイノベーションでは、低コスト化と差別化を同時に追求します。コストを下げることで、価格を低く設定できます。価格が低いと、顧客の購買意欲が高まります。また、顧客にとっての価値を高めることで、満足度やロイヤルティも高まります。価値が高いと、顧客は価格に敏感になりません。

このように、バリューイノベーションでは、価格と価値の両方を高めることで、競争のない市場を創出するのです。


どうやってバリューイノベーションのメリットを実現する?


バリューイノベーションを実現できれば、得られる効用は非常に大きいと言えます。まず、顧客のニーズに応えることで市場シェアや収益を増やすことができるでしょう。また、コストを削減することで、利益率を高めることもできます。

競合他社との差別化を図ることで、ブランド力や忠誠度を高めることができるでしょう。さらに新しい市場を開拓することで、成長機会を広げることができるのです。

では、バリューイノベーションはどう取り組めばいいのでしょうか。

4つのアクションを用います。それは、Eliminate(取り除く)、Reduce(減らす)、Raise(増やす)、Create(付け加える)の頭文字をとったERRCと呼ばれる手法です。

ERRCの手法は、自社の商品やサービスに対して、以下のような質問を投げかけることで、低コスト化と差別化の要素を見つけ出します。

  • Eliminate(取り除く):業界の常識とされているが、顧客にとっては必要ない要素は何か?取り除いたり排除できないか?

  • Reduce(減らす):業界の標準とされているが、顧客にとっては過剰な要素は何か?減らしたり削減できないか?

  • Raise(増やす):業界の標準よりも高いレベルに引き上げられる要素は何か?増やせるものはないか?

  • Create(付け加える):業界では提供されていないが、顧客にとっては価値のある要素は何か?新たに付加できるものはないか?

ERRCの手法を用いることで、自社の商品やサービスを見直し、無駄なコストを削減し、顧客にとっての価値を高めることができます。また、競合他社との差別化を図り、新しい市場を開拓することができます。

バリューイノベーション戦略とは、コストを下げながら、顧客にとっての価値を高めることで、競争のない市場を開拓する戦略です。この戦略は、ブルーオーシャン戦略の基本的な考え方です。バリューイノベーション戦略を実践するには、4つのアクションERRCを用いて、自社の商品やサービスを見直します。バリューイノベーション戦略を用いることで、顧客のニーズに応え、ライバル企業との差別化を図り、市場シェアや収益を増やすことができます。

(参考文献)
W・チャン・キム、レネ・モボルニュ『ブルーオーシャン戦略』ダイヤモンド社、2005年

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